第1話「うちの子に限って」1


【漫画】本編を読む

「うちの子に限って」そう思っていたが、実は娘がいじめをしていた。そんな事実を知らされたとき、親はどうすればいいのだろう。「いじめ」の加害者と被害者、双方の親の視点から描かれたしろやぎ秋吾さんの漫画『娘がいじめをしていました』に注目が集まっている。

いじめた本人でもいじめられた側でもなく、何があったか直接は知らない保護者の視点で淡々と描かれる2つの家族が、いじめと向き合っていく物語だ。今回は、第5話「そんな子に育てた覚えないわよ」までの試し読みを紹介するとともに、作者のしろやぎさんに制作秘話を伺った。

第1話「うちの子に限って」2


第1話「うちの子に限って」3


第1話「うちの子に限って」4


■「まさかうちの子が!?」2人の子を持つ親としてのリアルな視点

いじめる側、いじめられる側ではなく、「その親」が視点になっている本作。セミフィクションの題材として編集者から「いじめっ子の親の話」を提案されたことが、制作のきっかけだったという。しろやぎさん自身にも、小学3年生の息子と1年生の娘がいる(※学年は連載当時)。

「この本の主人公のように『まさか自分の子どもが…』と思いながら、いつそうなってもおかしくないなとも思いました。加害者、被害者、第三者の親がそれぞれどんなことを考えて、どんな悩みを持ってどう着地するのか考えてみたいと思ったんです」

しろやぎさんはSNSで読者から募集した怖い話や家族のエピソードを描くことでも人気を集めているが、今回の物語自体はフィクションだ。しかし、登場人物の心情を極限までリアルにするため、配偶者や編集者に何度もネームを見てもらい、作り直したと振り返る。

創作に行き詰まった際には、SNSで「子どもがいじめをしていたとき」「子どもがいじめをされていたとき」の体験談を募集。100件以上の声が寄せられたが、いじめの実体験を漫画化することの難しさを痛感し、体験談はあくまで親の心情の参考にするにとどめたという。

■いじめの実態をあえて「隠す」演出に込めた意図

本作を描くうえでこだわった点について、しろやぎさんはNPO法人「ストップいじめ!ナビ」への取材を挙げる。そこで加害行動につながると考えられる「ストレッサー(ストレスの要因)」について知ったことが、作品の方向性を決定づけた。

「子どもが抱えるストレスの要因を具体的に描いてしまうと、どこかの1つの事例として読まれてしまい、共感しにくいと考えました。できるだけ何に問題があるかわからないように、一見『普通』の家庭で起こった出来事にしようとしました」

加害者が何をしたのか、被害者が何をされたのか。子どものいじめの実態についても、あえて読者には明確に描いていない。それは、「1話ずつ、親の視点と同じように悩みながら、疑いながら読んでもらいたい」という思いからだ。

また、作中で描かれる保護者説明会のシーンでは、当事者ではない第三者の親の目線がリアルな恐ろしさを醸し出している。有名人の過去のいじめ問題やネットでの晒し上げなど、現代社会のさまざまな事象を反映して生まれたシーンだ。「ただ、ネットへの告発が悪だとも思わないです。そうするしかなかった状況があるのだと思います」と、しろやぎさんは複雑な胸中をのぞかせる。

※記事内に価格表示がある場合、特に注記等がない場合は税込み表示です。商品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。