「闇バイトという言葉を作ったのは私」ルフィグループ最高幹部が独占取材で見せた”異様な自負”…「事件への後悔はないです」

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「闇バイト」の指示役とは、いったい何者なのか。なぜ実行役は、命令一つで見知らぬ他人の家に押し入り、強盗や殺人まで犯してしまうのか。

特殊詐欺や広域強盗事件の背後で暗躍する「トクリュウ」の実態に迫った話題の書『檻の中のルフィ 闇バイトを生んだ者たち』が発売された。フィリピンの収容所から犯罪を操った「ルフィグループ」を徹底取材した著者が、闇バイトという犯罪ビジネスの構造と実像を明らかにする。

「事件への後悔はない」

「闇バイトという言葉を作ったのは私です」

東京拘置所の面会室で向き合ったその男は、緑のセットアップの袖から両腕に入った龍の入れ墨を覗かせながら、堂々とこう打ち明けた。

小島智信被告(48歳)。'22〜'23年に8件もの広域強盗事件を引き起こし、日本中を震撼させた「ルフィグループ」の最高幹部だった男だ。

私の独占取材に応じた理由について、小島はよどみない口調でこう語った。

「正しく伝わっていない事件の裏側や、私たちの組織のことを正確に知ってほしい。それが、闇バイトの啓発・防止にも繋がるはずです。被害者への賠償ができない今、私にできることは正確に話すことだけですから。ただ……自分の起こしてしまった事件への後悔はないですね」

確かに「反省」はしているのだろう。ただ私にはこの言葉が、巨大な犯罪組織を作り上げたことへの「自負」を示したいという、小島の叫びのようにも感じられた―。

凶悪な「闇バイト事件」が頻発している。'24年8月から、関東近郊で18件もの強盗事件が発生。今年5月にも栃木県で、高校生4人が実行役となり、69歳の女性が殺害される凄惨な事件が起きた。

闇バイト事件では、SNSを通じて集められた実行役が、遠隔で指示を受け犯行を起こす。希薄な関係性の者同士による組織形態は、「匿名・流動型犯罪グループ」(通称・トクリュウ)として'23年7月に警察庁に定義された。

なぜ事件はなくならないのか

闇バイト事件の報道を目にするたびに抱く率直な疑問―。それは、なぜ実行役は顔も知らない指示役に従うのか。そして、これだけ逮捕者が出ているにも関わらず、なぜ事件がなくならないのか、ということではないだろうか。

その答えを明示する事例となるのが、フィリピンの収容所という「檻の中」から遠隔で指示を飛ばし、広域強盗事件を引き起こしたルフィグループだ。

冒頭のとおり、そもそも「闇バイト」という言葉を考案したのは自分であると、小島は語る。

「若者に響くであろう造語を考え、'19年頃から『#闇バイト』とSNSに打ち込み始めた。するとそれを真似する闇バイト業者が爆発的に増え、またたく間に広がっていった。

私は応募者を1000人近く「面接」してきました。闇バイトに応募する者の心理や、なぜ彼らが安価な報酬で凶悪な犯罪に手を染めるのかも熟知しているつもりです」

私は小島と40回以上面会し、200枚に及ぶ手紙も預かった。小島は物腰が柔らかく、とにかく弁が立つ。そして、異常とも思えるほどの記憶力を有しているのが特徴だ。

ルフィグループは、北海道にルーツを持つ者たちを中心に構成された組織である。「ボス」と呼ばれ崇拝された渡邉優樹(42歳)を頂点に、今村磨人(42歳)、藤田聖也(42歳)、そして、小島を加えた4人の幹部を中心に組織は運営されていた。

強盗事件では主に、今村が計画立案をし、藤田と共に指示役を担い、渡邉がカネの管理や運搬、小島は実行役のリクルーターの役割だった。今村がSNS上で自らを「ルフィ」と名乗ったことで、ルフィグループと呼ばれた。

闇バイトに応募する者の素性

もともとは、特殊詐欺が組織の収入源だった。フィリピンに拠点を築いた'18年から幹部たちが強制送還された'23年2月までの間に、約60億円を詐取。SNSで詐欺のかけ子を募集し、少なくとも200名が組織に加入するために日本から海を渡ったとされる。

では、闇バイトに応募する者の属性や動機はどんなものなのか。多くは若者だが、中年や60歳を超える者もいた。

「9割以上が、ギャンブルやネットゲームの課金などの遊ぶカネ欲しさや、数十万円の借金の返済のために気軽に組織に加入していました。私たちの組織では、事前に逮捕されるリスクも伝えていた。それでも、『まあ大丈夫です』とこちらが心配になるくらい軽い答えが返ってくる。

女性の場合は、ホストで売り掛け(つけ払い)をし、回収の見込みが立たず、スカウトから私たちに「売り込み」が来るケースが大半。一人あたり50万円で人間の「権利」を買い取っていた」(小島)

ルフィグループでは組織を「会社」と呼び、詐欺を「案件」と定義する。まるで一般企業で働くかのような意識をメンバーに植え付けた。

就業規則を設け、朝8時に出社して朝礼後にミーティング。業務は17時までとし、設定した営業目標にむけ、ひたすら詐欺電話をかけさせた。「箱」と呼ばれるグループをいくつか作って組織内で成績を競わせ、総務や経理の役割を与えられた者もいた。

【後編を読む】ルフィグループ「伝説のかけ子」からきた手紙の「衝撃の中身」…「指示役を父のように慕っていた」

「週刊現代」2026年7月6日号より

【つづきを読む】ルフィグループ「伝説のかけ子」からきた手紙の「衝撃の中身」…「指示役を父のように慕っていた」