侍J先発よりも困難なショートリリーフ カギを握るのは種市篤暉と北山亘基だと思う【吉井理人の野球術 season3】#1
【吉井理人の野球術 season3】#1
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先発とリリーフでは準備の仕方も、求められるパフォーマンスもまったく違う。
登板間隔や試合開始時間が決まっていて、初回から徐々に自分のペースで投げていく先発に対して、リリーフはそうじゃない。
事前に「七回からいくよ」と言われていたとしても、展開によって投げるタイミングは前後するから、肩をつくることを含めたルーティンの時間は変わってくる。しかもマウンドに上がったら初球から100のパフォーマンスを出すことを求められる。他人がつくった試合の流れやムードの中に入っていって、いきなり能力を最大限に発揮するのは容易ではない。現役時代に先発もリリーフもやった自分の経験から言っても、難しいのは明らかにリリーフの方だった。
侍ジャパンでそのリリーフ陣に辞退者が続出した。平良(26=西武)、石井(28=阪神)、松井(30=パドレス)の3人だ。ケガなどのアクシデントだから、あくまでも想定外なのは理解できる。けれども、代わりに選ばれた隅田(26=西武)と金丸(23=中日)は先発、リリーバーは藤平(27=楽天)ひとりだ。
藤平も含めてリリーフ専門の投手は大勢(26=巨人)、松本(29=ソフトバンク)の3人しかいない。4日間で3試合を消化する1次ラウンドで、試合終盤の七回以降を3人だけで賄えるとは限らない。球数制限があるし、その日の調子によってイニングの途中で代えなければならないケースだって出てくるし、ケガや体調不良もあり得るからだ。そうなった場合、必然的に残る11人の先発の中から何人かを終盤のショートリリーフに回すことになる。
WBC限定でリリーフとして起用されることになる彼らは普段、先発の調整をして、大会が終わる1週間後には開幕だから再び先発に戻る。本人はもちろん、所属球団からしても乱暴な話かもしれないが、物理的にやらざるを得ない事態は想定しなければならない。
本番まで壮行試合4試合と強化試合2試合、計6試合しかないが、その中でリリーフに回る可能性のある先発には経験を積ませる必要がある。
極めて困難な役割を担うことになる投手の中で、カギを握るのは種市篤暉(27=ロッテ)と北山亘基(26=日本ハム)だと思っている。
北山はプロ1年目に55試合にリリーフ、9セーブ、16ホールドをマークした。種市はプロ3年目の2019年、僕がロッテの投手コーチになった1年目に開幕から8試合にリリーフ登板して2ホールド、防御率0.90と好成績を残した。ともに先発ながらショートリリーフの適性はあるだけに、難しい役割もこなしてくれると期待している。
