【珠海時事】中国南部・広東省珠海市で自動車が暴走し、35人が死亡、43人が負傷した事件で、地元警察当局は初動捜査の結果、現場で拘束した容疑者の男(62)が離婚後の財産分与に不満を募らせていたとの見方を示した。

 男は犯行後、車内で首などを刃物で切り付けて自殺を図り、病院で治療を受けている。

 13日付の香港紙・星島日報はインターネット上で広がった病院の診断書の情報として、男は遼寧省錦州市出身で、無職だと伝えた。警察当局は関係者の証言などを踏まえ、離婚後の財産分与の結果に対する不満が犯行の引き金になったと判断している。

 中国のニュースサイト、南方網は論説記事を掲載し、男について「離婚後の財産争いで社会に報復し、私憤を晴らすために公然と罪のない市民の命を奪った」と非難。「何とゆがんだ暗い心か」と断じた。

 男は11日午後7時50分(日本時間同8時50分)ごろ、小型のスポーツ用多目的車(SUV)を運転してスポーツ施設敷地内に進入。路上で運動していた大勢の市民らを次々とはねた。

 中国では公共の場所での無差別襲撃事件が相次いでおり、景気低迷で社会の閉塞(へいそく)感が高まっていることが影響しているとの見方もある。上海市では9月、スーパーマーケットで男が刃物で客らを切り付け、3人が死亡し、15人が負傷。男は金銭トラブルを抱えており、鬱憤(うっぷん)を晴らすために事件を起こしたと供述している。

 今回の暴走事件を受け、北京の日本大使館は在留邦人に対し、外出の際は不審者や車、バイクの接近などに気を付けるよう注意喚起。昼間でも日本語で大声で話すことを控え、日本人同士で騒ぐなど目立った行為を避けるよう呼び掛けている。