Image: Adriano Contreras - Gizmodo US

正直あんまり変わってなくないですか?

M4搭載Macbook Proが発売されました。米GizmodoのKyle Barr記者は一足早く1週間ほど使ってレビューしています。今ならM3バージョンとどっちを買うか考える人もいるかもしれませんが、Barr記者のお勧めはどっちでしょうか?

まだM4 MacBook Proが発売される数カ月前、動画制作を手がける友人から「今セールのM3 BacBook Proを買うのと、M4を待つのどっちがいい?」と聞かれました。

その時点ではM4搭載MacBook Proは噂でしかなかったので、答えにくい質問でした。M4を搭載したiPad Proはすでにありましたが、MacBookに関しては、今年はシンプルなアップデート程度だといわれていたのです。

なので、彼には「M3でいいんじゃないか」と言いました。実際M4 MacBook Proを手にした今、その答えを検証できそうです。

M4 MacBook Proの発表時点で、画面の質も筐体デザインも基本的に同じとわかったので、買うかどうかの判断はパフォーマンス次第と認識しました。ProでもMaxでもない無印のM4バージョンはThunderbolt 5も非対応で、新機能もあまりありません。チップ以外のアップグレードは、SDRでの画面輝度が明るくなったことくらいです。

14インチ MacBook Pro(2004年モデル)

これは何?:M4チップ搭載MacBook Pro

価格:1,600ドル(日本価格24万8800円)〜

好きなところ:ベースのRAMがついに16GBに、M4のパフォーマンス、素晴らしいバッテリーライフ、画面が明るくなった

好きじゃないところ:Nano-textureディスプレイは100ドル差(日本での価格差は2万2000円)の価値を感じない、ベースモデルではSSDが512GBしかない、画面と筐体に古さを感じる

僕は14インチのM4 MacBook Pro(日本価格24万8800円)と、16インチのM4 Pro搭載 MacBook Pro(日本価格39万8800円〜)を1週間ほど使ってみました。

14インチのM4 MacBook Proにはスペースブラックがあり、今までのシルバーよりも良いと思います。バッテリー駆動時間は極めて長く、サイズの割に高いパフォーマンス、上質なディスプレイ、そしてお財布の痛む値札が付いています。

基本的に全部今までと同じで、ディスプレイの真ん中のノッチも変わりません。でも、もしまだIntelバージョンのMacBook Proを使ってる人なら、M4 MacBook Proに買い替えるのはまったく問題ないです。日々の仕事用にはもちろん、画像や動画処理やゲームといったGPUに負担のかかる使い方でも、しっかり受け止めてくれます。

M4 MacBook ProではスクリーンがSDRのコンテンツでも若干明るくなり、ベースモデルでもRAMが16GBになりました。Apple(アップル)は長年「MacBookのベースモデルは8GBで十分」と主張してきましたが、Apple Intelligenceを動かすにはやっぱり不足なんでしょうね。

M4 MacBook Proは、M3版よりは当然速いです。バッテリー持ちも引き続き素晴らしいですが、Windowsマシンも最新のIntelチップやAMDやARMベースのCPUのおかげで追い上げてきました。筐体デザインには古さが感じられつつあります。

友人からの質問に今答えるとしたら、「セールのM3で全然問題ない」と断言できます。それでもパフォーマンスや画面輝度の改善は良いことだし、とくにMシリーズチップのMacBookを使ってない人にはなおさらです。最新M4 MacBook Proで満足できないなら、何にも満足できないでしょう。

安定のパフォーマンス

Image: Adriano Contreras - Gizmodo US

1,600ドルという価格は恒例になってる気がしますが、結局はもっとお金を使うことになりがちです。今回のレビュー機は、CPU、GPUともに10コアのM4チップと16GBのRAM、1TBのストレージ搭載です。ストレージを1TBにするには、200ドル(日本では3万円)追加が必要ですが、長く使うことを考えるとついポチってしまいます。

このレビュー機はほぼベースモデルとはいえ、やはり上質なマシンです。ベンチマーク結果は全体的に素晴らしく、Geekbench 6のCPUテストでは、AMD Ryzen 9 AI HX 370、Intel Core Ultra 7 256 V、258 Vのどれよりも高いスコアを出しました。

ただし、IntelでもAMDでも、最高のチップを見つけるのは難しいです。最上位のSnapdragon X Elite with X1E-84は、今のところSamsung(サムスン)Galaxy Book4 Edgeにしか入っていません。とはいえ、M4はDell XPS 14など、このクラスの小さいノートPCのほとんどに対しては優位であることは間違いないです。

BlenderでBMW車の画像を処理するテストでは、CPUとGPU両方使う設定で、M4 MacBook Proが2分42秒に対し、M3が3分36秒でした。Appleの言う通り高速化しているし、Intel Core Ultra 256 Vのようなほとんどの軽量ラップトップCPUより速いです。M4はGeekbenchやCinebenchのテストでAMDのラップトップ用CPUに差を付けていますが、ただベンチマークだけでは真価はわかりません。

MacBook ProのM4にはCPUが10コア、GPUが10コア載っているので、GPUが9コアのiPad ProのM4よりも若干ベターなはずです。問題は、これでGPU系タスクの性能が本当に改善してるのかということです。M4 MacBook Proで、『バイオハザード4』や『Death Stranding: Directors Cut』をプレイしてみたところ、どちらもネイティブより低い解像度がデフォルトになり、中〜高設定でフレームレートは70〜80FPSでした。

でも、解像度をネイティブの3024×1964に上げると、フレームレートはプレイできないレベルに下がります。MetalFXのアップスケーリングをパフォーマンスモードに設定しても、せいぜい40FPSをちょっと超える程度です。『Baldur’s Gate III』でも同様でした。プリセットのミディアム設定で、屋内でも野外でも60FPSちょっとで、Act IIIの都市では平均45FPSでした。解像度を上げると35FPSを超えるのがやっとでした。

でも、全体的にこの価格帯でこれ以上のものはそんなにありません。1,600ドル(結局1,800ドルくらいになりがちですが)にしては、健闘してると思います。

少し明るくなった画面

Image: Adriano Contreras - Gizmodo US

14インチのM4 MacBook Proに関しては、良いと思うところとそうじゃないところ、どちらもたくさんあります。SDカードスロットとHDMIポート、Thunderbolt 4ポート、MagSafe 3ポート搭載です。M4 ProマシンのThunderbolt 5ほどきらびやかじゃないにしろ、しっかりしてるし音も静かです。

ディスプレイは明るくなり、直射日光の下で見やすくなりました。画面輝度を最大にすると、M3 BacBook Proは260ニトくらいでしたが、M4 MacBook Proは360ニトになりました。

でも、明るい窓辺でもなければ、横に比べてもほとんど気づかないくらいです。僕のレビュー機の画面はNano-textureディスプレイで、グレアと反射を低減しているらしいですが、実際は光を直接反射せずに拡散させている感じです。

Nano-textureは確かに間接光の反射を低減できるんですが、これに追加で100ドル(日本だと2万円)かける必要はないと思います。僕はナノじゃないMacBook Pro 16インチを直射日光下で見てみましたが、ほとんど違いがわかりませんでした。14インチでも画面が明るいので、その点は問題ないはずです。Apple流mini-LEDのLiquid Retina XDRディスプレイは、それ自体カラフルできれいです。音も十分大きくて、動画を複数人で見ても十分楽しめます。

画面が明るくなったといっても、M4 iPad ProのタンデムOLEDほどではありません。みんなもいってることですが、OLEDのMacBook Proがまだ数年先かもなんて、正直意味がわかりません。

BloombergのApple預言者マーク・ガーマン記者は、OLED MacBook Proは最速でも2026年に延期されたと伝えています。今のLiquid Retina XDRでも黒が深くカラフルですが、Asus ROG Zephyrus G14みたいな最上のディスプレイをここ1年ずっと使ってきた者としては、Appleは過去で止まっているように思えます。

Webカムは1200万画素になり、センターフレーム機能によって、ビデオ通話中常にユーザーが画角の中心にキープされます。これは目的通り機能し、ビデオ会議中に居眠りして完全にのけぞった人まで追いかけたりはしません。

あとMacBook Proのカメラでは、今まではiPhoneと連携させて実現していた「デスクビュー」がMacBook Pro単体でできるようになりました。通話相手に折り紙を折って見せるとか、遠方の両親にMacでのスクリーンショットの方法を教えるとか、そんなときに便利です。

キーボードに関しては、これまた繰り返しですみませんが、前と同じMagic Keyboardとトラックパッドです。MacBook Airに慣れた人には、MacBook Proのキーボードは反発が強く感じると思いますが、それ以外は特に問題ありません。トラックパッドも役割は果たしていて、何がダメってことじゃないんです。ただ、あまりに変わらなすぎて虚しくなってくるので、Appleには早くもっと良くなったデザインを期待したいです。

バッテリーは文句なしの強力さ

Image: Kyle Barr - Gizmodo US

仕事で9時間ずっと使い続けても、バッテリーは30%残っていました。ほぼコンスタントにタイプし、画面は明るく、複数のブラウザとSlack、その他諸々のアプリを動かし続けてもです。

バッテリーのテストでは、画面低輝度でYouTube動画を表示し続けた場合、12時間後に55%残っていました。M4 Pro搭載のMacBook Pro 16インチより若干残量が少ないものの、良い結果には違いありません。

Appleは効率の良いチップとハードウェアで、バッテリーライフでは前々から頭1つ抜けています。Windowsマシンも最近のIntel Core UltraとQualcomm Snapdragonチップでだいぶ改善していますが、Lenovo Yoga 7xとかAsus Zenbook S 14といった軽量マシンのバッテリーでは、MacBook Proには全然かないません。

AI機能は…

Image: Kyle Barr - Gizmodo US

MacOS 15 Sequoiaは、すでにiPhoneミラーリングのような画期的機能をもたらしました。Sarafiやコントロールセンターの改善もナイスです。Mac OS 15 Sequoiaは、2018年以降のMacBook Proなら使えます。

ただ、Mac OS 15.1とこれから来る15.2のApple Intelligenceを使うには、Mシリーズチップ搭載のMacBookじゃなきゃいけません。Apple IntelligenceはIntelチップからMシリーズチップへの移行を促すための機能には違いないんですが、では実際にそれでどれくらいインパクトがあるんでしょうか?

僕はMacBook Proを手にして最初の数日間、すでに公開されたMacOS 15.1を試し、次にデベロッパー向けβ版のMac OS 15.2を試しました。15.1に関しては特に書くことがありません。メールのAIサマリーやAI通知サマリーでは、ノイズを選り分けるのに使えるような細かい情報があまりありませんでした。テキストサマリーではメールやメッセージの重要なポイントを排除していました。不確かな情報を堂々と書いてしまうようなライティングツールは使いたくありません。

なので15.1は完全にどうでもいいんですが、15.2はもっと変です。SiriにChatGPTが統合されて、AIアート生成機能「Image Playground」も使えます。普通のChatGPTと同じく、有料版にしなければ得られる回答数は限られてます。それでもSiriは、毎回ChatGPTを使うわけではないです。

僕は最近ホメロスの『オデュッセイア』をベースにした小説『キルケ』を読んでいたので、背景を知りたくてホメロスの叙事詩についてSiriにいくつか質問してみました。SiriはChatGPTを使って回答してきたんですが、『オデュッセイア』の本当の結末を聞いたときはすごく素っ気ない回答だったのに対し、『キルケ』とギリシャ神話の違いを聞くと、よくあるリンクのリストを送ってきました。

SiriはChatGPTを通じてWikipediaからテキストを丸ごと持ってきて、それをぶつ切りで段落も整えずに出してきます。ただ、毎回ChatGPTを使うかどうかは選択できます。ChatGPTを使うと役立つこともたまにありますが、それは今までのGoogle検索と同じ程度です。ChatGPTを直接使うなら過去の質問ログも残りますが、Siriの場合は簡単には見られません。

Image Playgroundはベータ版でもあり、無意味以下で、マンガみたいな顔画像を作り出すだけの道具です。画像の下に変なテキストが入ったものを生成することもありましたが、これは文字の入った画像で訓練していた名残なのでしょう。

ただ、僕が使ったMacOS 15.2の機能はすべてベータ版なので、12月の正式リリース時にはある程度改善しているとは思います。

M3でいい気がする

Image: Adriano Contreras - Gizmodo US

M4 MacBook Proはもちろん今まででベストではありますが、それは当然です。他社も追随しているとはいえ、Appleは今もノートPCのパフォーマンスやバッテリーライフにおいてトップにいるからです。M4は非常にしっかりしたチップだし、RAMが増強されたのも安心材料です。

さらに画面は明るくGPUのパフォーマンスは高くなり、(Macでプレイできるゲームであれば)ゲーミングもしやすくなりました。

では、なぜM4 MacBook Proについて熱弁したいことが特にないんでしょうか? それは来年も同じことを言っているんじゃないかという恐怖があるからです。

何も毎年新しいデザイン考えて!ってことじゃないんです。それでも今回のマシンは、パフォーマンスが上がってるとかはさておいて、過去数年のMacBook Proから変わらなすぎるんです。

Apple IntelligenceはMシリーズMacすべてにやってくるので、特にM4にこだわらなくてもいいわけです。友人にはM3 Macbook Proで十分だと伝えたいです。もちろんM4でもいいんですが。

大丈夫じゃないことが1つあるとしたら、Image Playgroundの生成画像です。あれは夢に出そう…。

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