特殊詐欺被害品、刑事が不正使用か その後「特殊詐欺捜査課」へ異動
特殊詐欺事件の被害品の電子マネーを不正に使用していた疑いがあるとして、大阪府警は7日、茨木署に勤務していた40代の男性巡査部長を電子計算機使用詐欺容疑で書類送検した。
捜査関係者への取材でわかった。巡査部長は今春から、府警本部の特殊詐欺捜査課に所属している。
■大阪府警、懲戒処分の方針
巡査部長は府警の聴取に対して容疑を一部否認しているというが、府警は巡査部長を懲戒処分にする方針だ。
捜査関係者によると、巡査部長は当時、同署刑事課で特殊詐欺の捜査などを担当していた。その間、高齢の被害者が容疑者側にだまされ、コンビニエンスストアで電子マネーのカードを購入させられる特殊詐欺の被害が複数あったという。
この電子マネーは、カードに記されたコード番号をネット上で取り込むことで、支払いなどに利用できる仕組みだ。被害者はカードの購入後、容疑者側にコード番号を伝えていたが、正確に伝わっていなかったとみられるものがあり、実際には使われていないものがあったという。
■「被害者の財産守ろうと」
捜査関係者によると、巡査部長は昨年末〜今春、こうした電子マネーを自身のスマートフォンに取り込んで計約80万円分を使用できる状態にしていた疑いがある。電子マネーの一部はスマホゲームの課金などに使われていたとされる。
巡査部長は府警の調べに対し、「電子マネーを自分のものにしようというつもりはなかった」「被害者の財産を守ろうと思った」などと説明しているという。
巡査部長が現在所属する特殊詐欺捜査課は、特殊詐欺の対策強化のため2022年に発足した。それまでは汚職事件や企業犯罪などに対応する捜査2課内の特殊詐欺対策室が担当してきたが、約40人を増員して課として独立させた。府警が把握した特殊詐欺の被害総額は22年は31億円で、23年は36億円に増えている。(光墨祥吾)