これ、笑っていいの…?SNSに激ヤバ感想が噴出したテレ東・柴田理恵×マユリカ中谷出演「実験番組」の驚愕の中身

写真拡大 (全6枚)

ネット騒然…!

これはホラーなのか、感動ドラマなのか、それともバラエティなのか……的確なラベル付けも形容もできない「謎の番組」が放送され、ネットが騒然となっている。

<人選といい、内容と言い、観る方のキャパを超えてた>

<意味わからんすぎて涙引っ込んだ(笑)>

放送終了後、SNS上にこんな感想が飛び交った。9月30日深夜の24時30分からテレビ東京で放送された「ナキヨメ」。タレントの柴田理恵とお笑いコンビ・マユリカの中谷が、怪奇現象が起こるといわれる、とある療養所を訪問。その療養所にちなんだ人間ドラマをVTRで観て号泣した後に、見たこともない方法で二人が「お清め」に臨む…という構成だ。

感動モノとして観るのが一番「ラク」かもしれない。しかし、番組内に登場するあるアイテムと、二人が臨む「お清め」の方法を見て、勘の鋭い視聴者はこう思うはずだ。

「え、これ……笑っていいヤツなの…?」

番組側からは、始まりから終わりまで何の説明もなされない。こういう気持ちで観てください、という案内もヒントもない。まさに番組のつくり自体が「怪奇」なのだ。

制作したのは、テレビ東京入社二年目の牧島俊介氏。実験的な取り組みを好むイメージのあるテレ東だが、深夜枠とはいえ二年目の若手に特番を作らせるのは異例だろう。牧島氏にこの「怪作」の制作意図を聞き、番組の観方の補助線を引いてもらった。

従来の枠組みを疑って

「今年の春、テレビ東京内で30歳以下のディレクターから特番の企画を募るコンペが行われたんです。当時私は入社1年目だったのですが、採用された企画は深夜枠に放送されるということで、『これは自分のやりたいことを実現する絶好のチャンスだ』と思い企画を提出しました。テレ東は若手に機会を与えてくれる会社だと思いますが、レギュラー番組や形式の決まった特番ではなく、イチから番組を作っていいというのは実はなかなかないものですから。

どんな企画を提出しようかと考え抜いて、たどり着いたのが『従来のテレビの枠組みを壊す番組』というコンセプトでした。

ほとんどのテレビ番組は、タイトルや放送前の番組宣伝で『この番組は、こういう内容です』『こういう感じで観て楽しんでください』ということを丁寧に説明しますよね? たとえばグルメバラエティで、『出された料理をすべて食べつくすまで終われない』というような企画の場合、冒頭で

<人気タレントたちが絶品グルメを食べつくす!しかし…食べ終わるまでは帰れない『天国と地獄』のバラエティ!>

というように、初めて番組を観る人、たまたまテレビにチャンネルを合わせた人が興味を持ちやすいよう、丁寧な説明が入ります。その必要性ももちろんわかるんですが、このテレビ界の常識を破ってみたいという気持ちがありました。

たとえば芸人さんがコントをするときに『このコントにはこういう登場人物が出てきてこういう設定なんで、楽しんでください』とは言いませんよね。5分なら5分、10分なら10分の中で、観ている方は『こういう設定で、こういうキャラクターのコントなんだな』と理解していって、次第に引き込まれていく。それと同じように、番組からの説明はなく、観る側に理解をゆだねる番組があってもいいんじゃないかと常々思っていました。

そこで思いついたのが今回の企画です」

主軸は柴田さんの涙

「主軸となっているのは『柴田理恵さんの涙』です。泣くという感情は非常に複雑です。泣いている人を見るとこちら側もその人の感情に合わせて泣いてしまいそうになりますが、一方で『泣き芸』という言葉があるように、『ここで泣けるなんて、この人はとんでもなく鋭い感性だな…!』と、時に人を笑わせることもあります。

なかでも柴田さんの泣き芸は一級品で、もう古典芸能と言ってもいいぐらい。複数の意味を持つ柴田さんの涙を起点にすれば、観たこともないような番組を作れるんじゃないかと思い、『ナキヨメ』が誕生しました」

まだ観ていない方はぜひ確認してほしいが、柴田さんが涙を流す瞬間は、あまりに完璧すぎる。「このタイミングで泣くの…!?」という驚きを感じるとともに、番組を包む重たい雰囲気と見事な泣き芸とのミスマッチに挟まれて、笑いの感情がこみ上げてくるはずだ。「あそこで笑っていいんですよね?」と尋ねると、「それは観る側の自由です」と明答を避けながら、牧島氏はこう続ける。

「実は、『ナキヨメ』にたどり着く前に、柴田さんの涙でマングローブの樹を育てる番組が出来ないかとも考えたんです。ところが、実際に検討してみると圧倒的に涙の量が足りない(苦笑)。

一方、今回の『ナキヨメ』のスタイルだと、涙の量はあまり関係ありません。柴田さんサイドに出演を打診したところ、最初は『怪談系のタイプの番組には出演したことがない』とお断りされたんですが、最終的な企画意図を繰り返し説明して、なんとか出演OKをいただきました。柴田さん抜きではこの番組の成立は考えられませんでしたから、ホッとしました」

「ナキヨメ」の意味

牧島氏が言うように、この番組の要は柴田理恵さんの涙にある。番組中では柴田さんが泣くためのポイントがいくつも仕掛けられてはいたが、もしそこで泣かなかったら……そんな恐れはなかったのだろうか。

「あの映像で柴田さんが涙を流さなかった場合も想定して、いくつもの『次の手段』を準備していました。それでも泣かれなかった場合は……そのときはもう、ただ柴田さんと中谷さんが『この場所に行ってみた』というだけの番組にするしかないと腹はくくっていました。その場合、完成度としては30%。話題にもならないことは覚悟して。ただ、そこは柴田さん。プロフェッショナルです。こちらが想定するよりも早く涙を流されました。

とはいえ、それは制作側の意図を感じ取ってということではなく、本当に感受性が豊かな方なんです。純粋にVTRを観て、その登場人物たちに感情移入されて、結果的に涙を流された。ほっとすると同時に、プロの仕事を間近で見せてもらったという感動もこみ上げてきました。

一方の中谷さんも感情豊かな方ですが、おそらくは柴田さんの涙を見て『これは俺もそろそろ泣かないと、現場が変な空気になるぞ……』と察したのではないかと。そこはもう、中谷さんにも一流の芸人としての仕事をしていただいたと思っています」

番組の最大のポイントは、その涙の使いどころだ。観ている途中から視聴者は二人の涙の流し方に「なにか変だぞ……」と気づくはずだが、最後にその「活用法」を知ったときに、番組のタイトルである「ナキヨメ」の意味に気づき、人によっては笑いをこらえきれず、人によってはここでまた「笑っていいのか?」と自問する。それこそ「説明のない企画」ゆえの自然な反応だが、「不謹慎だ」と怒り出す人がいるかもしれないとは考えなかったのか。

「前提として決して誰かを小ばかにしたり、なにかの現象を茶化す意図はありません。それは番組を通して徹底していますし、観ている方には理解していただけると信じています。それになにより、柴田さんのコメントをみれば『不謹慎』という気持ちは吹き飛ぶと思います」

テレ東ならでは

「どんな方法であれ、柴田さん自身が『こういうやり方があってもいいと思う』とおっしゃっているので、観ている方にもその気持ちを共有していただきたい。そのコメントも含めて、柴田さんに助けられっぱなしの番組です。本当に、タレント力とは何か、がわかる番組でもあると思います」

最後まで観てようやく、あるいは観終わった後にもう一度観直して「ああ、それがやりたかったのか」と理解できる。牧島氏は「こうした作りができるのは、『テレ東深夜』だからだ」と本音を明かす。

「何の説明もなく始まる番組が、他局の深夜で放送されていたら、視聴者は違和感もなく『感動モノかな』と思って観続けると思うんです。ところがテレ東の場合、深夜にいきなり謎の番組が始まると、観る方も構えてくれると考えました。『テレ東でなんか不思議な番組が始まったな……これはきっと何かあるに違いない』と警戒しながら観てくれるのではないか、と。それがテレビ東京という放送局の利点であり、この番組はその利点を存分に活かしているとも自負しています。

もちろん、普通に感動モノ、あるいは怪談モノとして観ていただいても、うれしいです。ただ、そういう人が『テレ東の番組なんだから、何かあるはずだ…』とSNSやネットの反応を観て、『そういう視点で観ればいいのか!』と気づき、二度目を観ていただくのが理想です。良質なコントは、一度観て登場人物の感情や結末が分かったうえでもう一度観ると、新たな気づきがありますよね。その感覚を、番組でも味わってもらうことが出来ればうれしく思います」

テレビ東京で9月2日から5週にわたって放送された「トライアルマンデー」という企画枠のひとつである『ナキヨメ』。この番組のほかにも、4人の若手ディレクターの力作が揃っており、TVerで10月いっぱいは視聴可能だ(『ナキヨメ』は11月25日まで)。俊英たちの才覚を、番組を通じて感じてみてほしい。

フワちゃんの衝撃の発言は“口癖”だった…関係者が「こうなる予想はあった」と語る“危うい前触れ”