【アニメ】神回・オブ・ザ・ウィーク

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 毎週、「ほとんどの作品を観ている」アニメライター・はるのおとによる週刊連載「【アニメ】神回・オブ・ザ・ウィーク」。9月23日から9月29日に放送された分から注目の“神回”をピックアップ!(編集部)

参考:『キン肉マン』の“完璧な”再アニメ化に大感激 リアルタイム熱狂世代が語るカッコよさ

 『【推しの子】』第2期の最終話となる第24話が10月6日19時以降に地上波で放送されることが発表されました。と言っても19時ちょうどから放送されるのはTOKYO MXだけで(ABEMAでも同時に配信されます)、あとはBS11とサンテレビが20時台、その他は深夜の放送なので多くの人にとっては「ふーん」という話かもしれません。

 ただ『ドラゴンボールDAIMA』すら深夜に放送されるなか、ゴールデンタイムに地上波で深夜発のアニメが放送されるのはかなり珍しいし、どんな反応があるか興味深いところ。『【推しの子】』レベルに広く認知されている作品だからこその試みでしょうが、今後もこういった思い切ったチャンレンジは見てみたいものです。

 さて秋クールも徐々に始まっていますが、ひとまず夏クール最終週を彩ったエピソードを紹介します。

●『NieR:Automata Ver1.1a』第24話 よくわからんが、とにかくすごい最終回だ!

 人気ゲームをアニメ化し、アンドロイドと機械生命体の壮大な戦いを描いていた2クール作品が見事に完結しました。今夏放送された第2クールはSF的なギミックも多く、正直なところ途中から設定があまり頭に入らない(※作中ではしっかり説明されているため、筆者の理解が悪いだけです)まま観ていたものの、それでも端正かつ迫力ある映像や話のテンションで楽しませてもらっていました。

 その最終回は後半の主人公格だった9SとA2の戦いから始まり、そこから何だかんだあってふたりは倒れてバッドエンド気味に早々と終了。エンディングが流れ始めます……しかしスタッフロールが途中で止まり、これまで主人公達に随伴していたAI・ポッド042とポッド153の会話が聞こえ始め、彼らによる機械生命体に対して反逆がスタート。これまでは番外編的なCパートにおけるギャグ描写ばかり印象に残っていたポッド達がやってくれた!

 そんな展開の最終回は『シュタインズ・ゲート』の神回と『翠星のガルガンティア』の神回を足してさらにリッチにしたといった風情で、結局話を4割くらいしか理解できないままでしたが今回ピックアップしたくなるくらいすごかった! もちろん話をちゃんと理解していたら100倍くらい楽しめたんだろうから、年末にちゃんと見直したいアニメ暫定1位です。

●『しかのこ(再)』第1話再放送の番組情報でも魅せるサービス精神

 最近の1クールアニメは12話で完結し、TV放送において残り1話分の枠は再放送となることが増えている気がします。以前は温泉回を始めとするサービス回や声優さんが登場する特番の放送もあった気がしますが、予算の都合などもあるのでしょう。

 その1話分の再放送で、神回的な特別なエピソードがセレクトされると筆者はかなりうれしいのですが、残念ながら順当に第1話が再放送されることが多いのが現状。『しかのこのこのここしたんたん』も例によってその通りだったのですが、番組情報に「何故か帰ってきたのこたん!」などと入れてギャグアニメとしての矜持を見せてくれました。さすがこの夏、あの手この手で視聴者を楽しませようとしてくれた『しかのこ』。

 どうせならこの再放送内で本放送時との違いや何らかの新情報の発表を見せてくれたら最高でしたが、それは欲しがり過ぎでしょうか。

●『このふか』第13話「名は体を表す」というか「体で名を表す」というか

 最後はVRゲーム内のファンタジー世界が舞台の『この世界は不完全すぎる』の最終回です。デバッグ(バグチェック)を生業とする主人公のハガが、ログアウトできなくなったゲームから脱出しようとするという一風変わった本作。そんな設定だけあって、これまでも普通のアニメではなかなか見られない絵面や様子のおかしいエピソードが多々ありこの連載でもいつか取り上げたいと思いつつ最終回を迎えてしまったのですが、その最後がとんでもなかった!

 物語の終盤でハガがなぜか地下1000階のダンジョンにワープ、までは「こんな急展開して最終回でちゃんと終わるのか?」ってな心配をする程度でしたが、その後現れたダンジョンボスのサイレンスを倒すことに成功します。その間にはほかのキャラクターの描写もありつつ、晴れてエンディングに突入……したと思ったらCパートでボスが超巨大な男性器のような第2形態になって復活!  ハガたちの戦いはどうなる!?  というところで番組は終了!

 未見の人も、このCパートだけでも観てもらえればそのすさまじさが伝わるはず。最後の画面には「『何がto be continued?』だ!」とツッコミたくなるほどあまりに唐突な幕引きで、ここ数年では『アルスの巨獣』最終回クラスの驚きです。

 普段はこういったネガティブっぽい話題に本連載では触れないのですが、この最終回については公式のXでも「#このアニメは不完全すぎる!?  と思った方は、是非、原作をチェック」と言及しているため、ネタにしてもいいのでしょう。アニメとして不完全にすることで作品として完全にする……潔く、見事なタイトル回収でした。

 そんな“破れかぶれ”さが見事だった『このふか』最終回の紹介をもって本連載もひとまず終了です。秋クールも続けられたら2024年アニメ全体をカバーできたので、「#この連載は不完全すぎる」感もありますが、これまで読者のみなさんに未知の神回を1話でも紹介できていたら幸いです。今後も神回に立ち会うのを楽しみにしながらアニメを見続けましょう!

(文=はるのおと)