石破茂総裁について語った野田佳彦元首相(カメラ・瀬戸 花音)

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 23日の代表選で野党第一党である立憲民主党の代表となった野田佳彦元首相(67)が、このほどスポーツ報知の単独インタビューに応じた。自民党の石破茂新総裁(67)をプロレスラーのハーリー・レイスに例え、「逆エビ固めでタップさせたい」と政権交代へ向け宣戦布告した。次期衆院選にむけ、がっぷり四つに組んだ党首討論がみられそうだ。(樋口 智城、瀬戸 花音)

 同い年で、血液型はB型、日本酒が好きで、キャンディーズではミキちゃん推し…と共通項の多い両党党首。野田氏は「堂々と相手の意見にもちゃんと耳を傾け、こちらもそれに答えていく。力と力をぶつける議論が出来る相手だと思います」と石破氏を認め、「たまには一致点を見いだすような与野党の論争があってもいい」と語った。

 石破氏もまた、野田氏のことを「尊敬できる友人」と称している。23日の立憲代表選で野田氏が新代表となった際には、石破氏からショートメールが届いたという。「『おめでとうございます』って来ちゃいましたからね(笑い)あなたも頑張ってと返しました」

 プロレス好きで知られる野田氏。石破氏はプロレスラーに例えると「美獣」と呼ばれたハーリー・レイスだという。当時世界最高峰だったNWA世界ヘビー級王座を8度獲得。日本では全日本プロレスを主戦場としたが、ジャンボ鶴田ならぬ、“ジャンボ野田”として“レイス石破”を「逆エビ固めのストロングスタイルで押さえ込んで、タップさせたい」とギブアップさせるイメージもしっかりと描いている。

 野田氏が目指すのは政権交代だ。そのために年内に行われるであろう次期衆院選で自公の議席を過半数割れに追い込みたい。野党共闘は必須だが、現在、立民の衆院選公認内定者は約190人。維新とは約110の小選挙区で候補が競合する構図で、共産との政策一致もいばらの道だ。

 それでも自民「裏金議員」の選挙区では特に共闘するべきだと考える。「裏金議員を落とし、ペナルティーを与えるということは極めて合理的な目的。そこに関しては政策の合意がなくたっていいじゃないですか。これは野合ではなく、高度な選挙戦略。そのことを説明しながら、共闘の可能性を探っていきたい」

 仮に衆院選で勝利しても、ねじれ国会となる。だが、思い返せば11年、初の野田内閣もねじれの中にあった。「ねじれで法改正は難しかった。でも、自分たちが責任をとるならば、法改正でなくとも、閣議決定や予算の上げ下げも実現出来ることはある。そういう意味では私は変な経験がありますから、どんとこいです」。出そろった両新党首。試合開始のゴングが鳴る。

 ◆野田 佳彦(のだ・よしひこ)1957年5月20日、千葉県船橋市生まれ。67歳。早大政治経済学部卒。千葉県議2期を経て93年に衆院初当選。千葉4区、衆院当選9回。11年9月から12年12月まで内閣総理大臣を務める。

 ◆ハーリー・レイス(本名・ハーリー・リーランド・レイス)43年4月11日、米・ミズーリ州生まれ。“ハンサム”ハーリー・レイスと名乗り、NWA、AWAなどで活躍。68年、初来日。73年、NWA世界ヘビー級王座を奪取。以後、通算8度同王座を獲得。19年3月に肺がんを告白し、同年8月に76歳で死去。