四国の水がめ・早明浦ダム 空から見ると巨大な龍!
高知県の土佐郡土佐町田井と長岡郡本山町吉野にまたがって吉野川をせき止める早明浦(さめうら)ダムを空から見ると、まるで巨大な龍が後ろを振り向いている姿に見える。貯水位が下がっているときは、剥き出しになった地表面が輪郭線となり、よりはっきりと龍の姿を浮かび上がらせるのだ。早明浦ダムを管理する水資源機構池田総合管理所に聞く。
【写真】水位が下がると、この通り!…龍の輪郭がくっきり浮き出てきます
どの龍がお好み? 水位によって見え方が変わる
早明浦ダムは堤頂長400メートル、高さ106メートルのダムで、吉野川をせき止めている。ダムによって形成された「さめうら湖」が龍の頭で、中央部にある小島・通称「中ノ島」がちょうど目の位置にあることから、より龍らしさを増している。
「中ノ島には、1981年3月に建てられた、高さ6.5mのコンクリート製の『水の塔』があります」
また、さめうら湖の湖畔で営業するホテル「さめうら荘」の東側には「水の塔を望む碑」と「鳥居」があって、観光施設となっている。
この「中ノ島」へ行く手段は船のみで、ダム関係者以外の立ち入りは規制されているそうだ。
どんな条件のときに、いちばん龍らしく見えるのだろうか。
「Googleアースの画像は、平常時の最高貯水位(通常時の満水状態)付近と思われます。周辺にある森林の緑と水面の青が境界となって龍が見えます」
一方で、ダムカードのデザインになっているのは、ベージュ色の輪郭がくっきり浮かび上がっている姿だ。
「ダムカードの写真は、貯水位が下がってベージュ色の縁取りがあります。周辺にある森林の緑と地表のベージュ、そして水面の青が境界となって龍の形に見えます」
貯水位によって輪郭が見えたり見えなかったりするが、龍の形そのものが変わることはないという。
「貯水位は天候等によって変わりますし、龍の見え方にも好みがあると思いますので、ベストな時期がいつとは一概にはいえません」
自分の好みの龍の姿を見つける試みをしても面白いかもしれない。
レジャースポットとしても人気の早明浦ダム
早明浦ダムの総貯水容量は3億1,600万立方メートル(学校の25mプール約75万杯分)あり、九州、中国、四国地方で最も大きい貯水量を誇るという。
「四国内シェアは農業用水が約39%、水道用水は約22%、工業用水は約28%を占めております」
また、吉野川の洪水被害軽減や発電も行う多目的ダムとして「四国のいのち」と呼ばれているそうだ。
自然豊かな地域でレジャースポットとしても人気があり、アウトドアや湖面を活用した競技カヌー、レジャーカヌー、SUP、観光遊覧船などのアクティビティー、フィッシングなどが盛んだという。とくに今年の干支が辰年ということもあり、辰年記念のダムカードを特典とした観光スタンプラリーが行われている。
ダムカードとは、ダムへの理解を深めてもらうため、国土交通省と独立行政法人水資源機構の管理するダムで2007年から作成され、ダムの管理事務所やその周辺の施設で配布しているカードのこと。規格は全国共通で、おもて面はダムの写真、裏面はダムの形式、貯水池の容量、建設時の技術など基本的な情報をはじめ、ダムによってはちょっとマニアックな情報をコンパクトにまとめて掲載されているという。
「辰年記念カードは、自然王国白滝の里、道の駅土佐さめうら、村のえき(結いの里)、モンベルアウトドアヴィレッジ本山、さめうらレイクタウン周辺のうち4つの駅でスタンプをもらい、大川村の村のえき(結いの里)もしくは自然王国白滝の里で配布しております。これが、大川村へ訪れていただくきっかけのひとつにもなっています」
龍の全体像を地上から一望することは難しいが、巨大な龍の懐に抱かれに訪れてみてはいかがだろうか。
(まいどなニュース特約・平藤 清刀)