「一人じゃ神輿は担げねぇからな」朝ドラ女優・伊藤沙莉の原点にある《ビックママ》の存在

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「伊藤さんしかいない」

半年間にも及んだNHK連続テレビ小説『虎に翼』がついにフィナーレを迎えた。主人公・猪爪寅子を演じたのが女優の伊藤沙莉(30)だ。

「通常、朝ドラはオーディション形式でヒロインのイメージに合った女優を探します。しかし、今回は制作サイドが伊藤さんに対して直々のオファーをかけて実現。ドラマの制作統括・尾崎裕和氏は記者会見で起用理由について『この作品の主役は伊藤さんにやっていただきたいと私からお願いしました。猪爪寅子の前向きさや明るさ、チャーミングさは伊藤さんしかいないと思いました』と明かしています」(NHK関係者)

そんな伊藤の女優業に大きな影響を与えたのが自身の母である。

前編記事『『虎に翼』伊藤沙莉の「壮絶すぎる幼少時代」…父の蒸発で一家離散「母は牛乳配達、塗装屋で家計を支えた」知られざる伊藤家の過去』につづき、ビックママと伊藤の関係について紹介する。

伊藤が家族で頻繁に通っていたのが彼女の地元・千葉県にある「韓国料理店 ほんがね」だ。同店を営む李さんが語る。(以下「」は李さん)

「伊藤さんたちはいつも決まってお店の奥の座敷席に座ってご飯を食べていますよ。頼むメニューもホルモンにハラミ、ギヤラ。それに海鮮ちゃんぽんが定番。沙莉ちゃんは辛党なので唐辛子で辛さを倍増しています。いつも家族でワイワイ賑やかに食べています」

その輪の中心にいるのが伊藤の母だ。

塗装業で汗を流すビックママ

「身長も高く、体格もあって、頼りがいがある人。お母さんは子供たちだけじゃなくて叔母さんなどと食べにきてくれることもあります。作業服の姿で来店する時もありってカッコいいですよ」

伊藤が最後に店を訪れたのは今年1月3日だったという。

「沙莉ちゃんはお母さんや叔母さん、お兄さん、それに姉夫婦に生まれたばかりの姪っ子ちゃんまで連れてきていました。私が沙莉ちゃんに『忙しいでしょう』と聞いたら『そうですね』と笑って答えてくれていました。A子さんも『最近は娘も忙しくてなかなか会えなくて、久しぶりなんです』と嬉しそうに話をしていました」

『虎に翼』では伊藤の姪っ子が極秘出演していたことが判明し、話題となった。

「撮影前はお母さんが『うちの孫が今度、ドラマに出るんです』って嬉しそうに話していましたよ。撮影には沙莉ちゃんのお姉さんも付き添っていたでしょうから、お姉さんが一番心配だったでしょうね」

昨年7月、出演したバラエティ番組で伊藤は母のことを「ちゃきちゃきの人。塗装屋なんですけど親方感がある人ですかね。こういう仕事を小さい時からやってるので(いつも言うのは)『感謝の気持ち忘れてないだろうな。色んな人に支えられてやれてるんだぞ。一人じゃ神輿は担げねぇからな』って」と説明。

その思いは芸能人となった娘にも受け継がれている。李さんが続ける。

「普通の家族」

「沙莉ちゃんは『わたしは女優だから』みたいにお高く止まるような素振りは全くないです。一度、彼女のマネージャーさんが近くに来たから寄ってご飯を食べてくれたんですけど、その際も『沙莉さんからよろしくお伝えくださいと伝言を預かっています』と言ってくれました。偉そうにするどころかこちらに気を使ってくれる優しい子なんです」

取材の最中、李さんがしきりに口にしたのが「普通の家族」という言葉だった。

「伊藤さんのところはお兄さんも含めてテレビに引っ張りダコですが、ご飯を食べている姿は普通の家族ですよ。変わったことなんて何もないです。普通の、本当に普通の仲の良い家族です」

父の蒸発による一家離散。生活のため、塗装業で家計を支えた母。伊藤自身も低迷期した子役時代を過ごすなど決して平穏とは言えない時期を過ごした伊藤家にとって「普通の家族」こそ母や伊藤が必死に守り抜いた風景だったのかもしれない。

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