「推し、燃ゆ」で芥川賞を受賞した宇佐見りんさん

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第164回芥川賞受賞作「推し、燃ゆ」で知られる作家の宇佐見りん氏が、25日までにX(旧ツイッター)を更新。実写映画化が決定した自身のデビュー作「かか」の“改変”に複雑な思いをつづった。

宇佐見氏は「内容について時期的に明かせないのですが今度出る実写映画について、『作者にもご理解いただいた』=『作者が容認した』ではなく、『こういうことを母が大切な主人公は絶対にしない、この一文は守ってほしいと何度言ってもつきかえされ、もぎ取ったり奪われたりした結果に苦しみながら頷いた』であって」と、製作側と内容に関して食い違いがあった経緯を明かした。

さらに、「SNSで色々いうと最終的に自作の評価を落とすと、わかっているのですが、何度考えても、映画だけ見た人に自分の作品として認識されてしまうことは苦しいと感じポストしてます」と投稿した事情を説明した。

脚本を読んだ段階では「実写化していただいてよかった!ありがたいな」と感じていたものの、撮影後に一部内容が変わっていたという。そのことについて製作側を責める意図はないと強調し、「内容については触れられませんがとても良い映画だと思います。汲んで変更していただいたところもありますし、俳優さんの演技にも、空気を撮る技術にも、本当に感動しました」と称賛したが、「それでも、一番真ん中の筋が違う、別物なのです」とした。

その上で、「だから原作も、映画も、どちらもたのしんでほしいです」と呼びかけつつ、「公開前のタイミングでの投稿だと、私が一方的に言うことはできても作品を観て判断してということがどうしてもできないわけで、フェアではないですね……。本当にすみません。また公開したら、感動した部分の話もまたどこかでできたらと思います。宜しくお願いいたします」とつづった。

「かか」は宇佐見氏のデビュー作で、19年に第56回文藝賞、20年に第33回三島由紀夫賞を受賞。8月2日の投稿で「デビュー作の『かか』の映画化が決定いたしました!」と報告し、「全編『かか弁』のあの作品、どんなふうになるのだろうと、お話をいただいたときには本当に驚きましたが、やっと告知することができうれしいです」とつづっていた。