光学機器メーカーのニコンが光学顕微鏡で撮影したムービーやタイムラプス写真に焦点を当てるコンテスト「Small World in Motion Competition」の2024年度受賞作品が発表されました。

2024 Small World in Motion Competition | Nikon’s Small World

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◆1位:キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)の胚における有糸分裂の高まり

1位を受賞したのはマックス・プランク分子細胞生物学・遺伝学研究所のブルーノ・ヴェルティーニ氏が撮影した、キイロショウジョウバエの胚が有糸分裂を行う様子。わずか30秒のムービーで、染色体が分裂しながら細胞が増えて胚が分化していくまでの流れを見ることができます。

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ムービーはライトシート顕微鏡を用いて、対物レンズ倍率20倍で撮影されています。ヴェルティーニ氏は「最大の課題は、胚を正しく設置して、長時間にわたって鮮明で高品質の映像を撮るために撮影条件を最適化することでした。サンプルを傷つけないように光の露出をバランスよく調整することが非常に重要でした」とコメントしています。

◆2位:クジャクチョウの鱗粉(りんぷん)から蒸発する水滴

2位を受賞したのはクジャクチョウの羽を覆う鱗粉に落ちた水滴が蒸発するムービーで、撮影者はジェイ・マクレラン氏。対物レンズ倍率5倍のタイムラプスで撮影した複数の写真を重ね合わせて平均化する「画像スタッキング」で編集されています。

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チョウの鱗粉には水をはじく効果があり、チョウが雨の中でも飛ぶことができるのは羽が鱗粉で覆われているから。ムービーでは、鱗粉に載った丸い水滴が蒸発して次第に小さくなっていく様子を確認できます。

◆3位:ゼブラフィッシュの脊髄にあるオリゴデンドロサイト前駆細胞

オリゴデンドロサイト前駆細胞は、神経細胞の軸索を包む「髄鞘(ずいしょう)」を構成するオリゴデンドロサイトに分化する細胞のこと。ゼブラフィッシュの脊髄にあるオリゴデンドロサイト前駆細胞を共焦点顕微鏡の対物レンズ倍率20倍で撮影したムービーが3位を受賞しました。撮影者はオレゴン医科大学のジャーシン・リー氏。

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◆4位:微小管ベースの活性液晶における摩擦転移

バルセロナ大学材料科学および物理化学部のイグナシ・ベレス・セロン氏、フランセスク・サグエス氏、ジョルディ・イグネス・ミュロール氏が蛍光顕微鏡で撮影したムービーが4位を獲得。微小管の構成タンパク質であるチューブリンとキネシンを使った活性ネマチック液晶が摩擦によって相転移する様子をとらえています。

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◆5位:線虫に乗ったクマムシの赤ちゃん

暗視野顕微鏡・対物レンズ倍率10倍で撮影されたのは、うごめく線虫に乗る小さなクマムシ。ダイナミックに体を動かす線虫を、クマムシが足をわきわきと動かしながら器用に乗りこなしています。撮影者はクインテン・ゲルドホフ氏です。

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上記5本の受賞作にくわえ、ニコンのSmall World in Motion公式サイトでは佳作を受賞した31本も掲載されているので、気になる人はぜひチェックしてみてください。なお、Small World in Motion Competitionはニコンあるいは競合する光学機器メーカーの従業員以外の18歳以上であれば誰でも参加可能です。