秋元康が「永遠のアイドル」と評した柏木由紀。熱愛報道も世間の反応は“ほぼ好意的”だったワケ

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 昨年10月に17年在籍したAKB48からの卒業を発表し、今年の4月30日にグループを去った柏木由紀。人気メンバーのひとりで、握手会での振る舞いは“神対応”と言われ、多くのファンを獲得してきた。
 先輩や同期はもちろん、数々の後輩メンバーも柏木より先に卒業していったが、「30歳までAKBは卒業しません」と公言していた通り、“アイドル25歳定年説”や“30歳の壁”を軽々と乗り越えていく姿に、「このまま40歳ぐらいまで、いや、なんならおばあちゃんになっても現役アイドルとして活躍するんじゃないか」とすら感じていたので驚いた。

 昨年出版したスタイルブックのタイトルも、『いくつになったって、アイドル』だった。

◆柏木由紀はなぜAKB48を卒業したか

 そんな柏木は、卒業を決意したきっかけを、卒業コンサート翌日に放送されたトーク番組でこのように語っていた。

 仕事終わりに一人で訪れたショッピングセンター「ららぽーと豊洲」のフードコート。かき氷を食べながらふと周りを見ると、そこにいたのは幸せそうな家族やカップルばかりだった。

「AKBを卒業したら、こういう人生も巡り会う可能性もあるのかも」

 そう感じたことが、「いくつになってもアイドル」の卒業を決意させた。

 それは、「普通の女の子に戻りたい」という昭和を駆け抜けたアイドルグループ・キャンディーズの解散理由が少し重なる気がした。

 “普通の女の子”になるわけではないが、アイドル時代に得られなかった幸せを、ここから探しにいきたくなったんだなぁと、なんとなく納得した。

◆世間は熱愛報道を笑って受け入れた

 そこから半年後に飛び出したのが、「NEWSポストセブン」での、お笑いトリオ「ぱーてぃーちゃん」の、すがちゃん最高No. 1との熱愛報道である。

 柏木の過去の熱愛報道のお相手を振り返ると、歴代チャラめのお相手の印象が強いが、すがちゃんもまた、チャラみをウリにしながらもけっこうなポンコツぶりで、そこをいじられることが笑いになったり、今回の直撃取材の受け答えもそうかもしれないが、それでいて素直そうな一面も見られるなど、どこかにくめない部分が見えてきたことで人気を上昇させてきた芸人だ。

 それゆえ、すがちゃんに対しては一般層もどこか笑っちゃうというか、甘い一面があるのか、「まさかのぱーてぃーちゃん!?」「ゆきりん、すがちゃんでいいの!?」など思いつつも、「すがちゃん、いい人そうだしな」など、どこか笑って受け入れているような反応が多くみられたことも印象的だった。

 柏木自身も、ガチすっぴんからのメイク動画や、バラエティ番組などでのぶっちゃけトークのレベルの高さなどから、着飾らないアイドルとしての親近感や好感度が高くなっていたことも、そのような反応につながった理由のひとつかもしれない。

 ふたりがこの先どう進んでいくかわからないが、柏木は、すがちゃんという存在によって、あの日見たフードコートの光景に少し近づけたのだろうか。近づけたとしても、やっぱり「すがちゃんでいいの!?」となってしまいそうだが。

◆恋愛や結婚をしても応援されるアイドルが増えてきた

 ある種の「擬似恋愛」的な側面も持つため仕方ないことなのかもしれないが、多くの場合、アイドルは現役活動中に恋愛面での幸せを獲得することはできない。それは、アイドルという「職業」からの卒業によって獲得するというのが多いケースだろう(活動中の恋愛で処分されるケースもままあるが)。

 そのいっぽうで、4人中2人が結婚したが卒業や脱退することもなくアイドル活動を変わらず継続できており、アイドルとしての人気も保ち続けている、ももいろクローバーZや、メンバー3人全員がママとなってもなお活動を続けるNegiccoというグループも存在する。

 安っぽい言い方だが「多様性の時代」であり、応援するアイドルが幸せな人生を歩めていそうであれば、恋愛しても結婚しても、その幸せを共有しながら応援するというのもひとつのかたちだ。

 序盤に述べたスタイルブックの帯文に、秋元康総合プロデューサーはこんなコメントを寄せている。

「柏木由紀がAKB48の19期に応募して来たら、僕はまた、合格させるだろうなあ。彼女は永遠のアイドルだ」

 グループを卒業しても、恋愛や結婚をしても、この先アラフォーになっても。柏木由紀が秋元プロデューサーが言うように「永遠のアイドル」なのだとしたら、アイドルの獲得する「幸せ」の新しい形を、この先見せてくれるのかもしれない。すがちゃんと一緒に(笑)。

 という着地をついついしたくなるカップルであることは、間違いない。

<文・太田サトル>

【太田サトル】
ライター・編集・インタビュアー・アイドルウォッチャー(男女とも)。ウェブや雑誌などでエンタメ系記事やインタビューなどを主に執筆。