JR京葉線は、2024年3月のダイヤ改正で快速が大幅に減りましたが、沿線の反発もあり、9月という異例のタイミングでダイヤ変更を実施。一部の各駅停車を「快速化」するなど速達性が改善されました。しかしその陰で「あおりを食った駅」もありました。

発表後修正して3月ダイヤ改正→さらに9月ダイヤ変更

 2024年9月1日、東京〜蘇我間を結ぶJR京葉線でダイヤの一部変更が実施されました。JRのダイヤ改正は例年3月に実施されますが、このタイミングで時刻が変わるのは異例です。


京葉線の蘇我駅(和田稔撮影)。

 事の発端は、2023年12月に発表された2024年3月ダイヤ改正の内容です。京葉線の通勤快速上下2本ずつ計4本を各駅停車に変更し、さらに朝夕の快速運転も取りやめ各停にするというものでした。

 しかし、通快はそれぞれ外房・東金線、内房線と直通運転をしており、蘇我以遠の利用客にとっては所要時間が増加。快速運転の時間帯縮小とともに都心部との利便性が低下するとのことで、発表直後から千葉県の沿線自治体が猛反発し、社会的な話題となったのも記憶に新しいところです。

 これを受け、JR東日本は2024年1月16日、朝の上り2本を快速に変更することを表明し、さらに3月のダイヤ改正を経て5月30日には、一部の各停を快速にするダイヤ変更を9月1日に実施すると発表しました。

 注意しておきたいのは、これらの変更は純粋に快速を増発したわけではなく、各停を快速に変えたことです。つまり、快速化により速達性が向上した駅がある一方、同じ千葉県内でも各停しか停まらない市川塩浜・二俣新町・新習志野・幕張豊砂の4駅は、9月1日から停車する本数が減少したのです。

 新習志野駅がある習志野市は7月29日、JR東日本千葉支社に対して停車本数の増加と再改正に至った経緯の説明を求める要望書を提出しました。実際のところ、新習志野駅ではどのような変化が生じたのでしょうか。

「快速化」に翻弄される各停駅

 JR東日本によると、新習志野駅の1日あたりの乗車人員は1万1655人(2023年度)。そのうち定期外3835人、定期7819人であることから、7割近くが通勤・通学定期券の利用客であることが分かります。

 しかし、9月のダイヤ変更後の平日上り7〜9時台は、毎時1本ずつ、計3本が快速化されています。オフピーク定期券の対象外となる「ピーク時間帯」を見ると、新習志野駅は6時50分〜8時20分です。この「ピーク時間帯」に2本減は、利用客にとっても疑問符が残るところでしょう。


京葉線の蘇我駅(和田稔撮影)。

 ほかに各停の快速化が発生した時間帯を見てみると、平日は下りが9・10・20・21時台に1本ずつ計4本。土休日は上りが7・8・16・17時台に1本ずつ、9時台に2本で計6本、下りが9・10・16・17・20・21時台に1本ずつ計6本となります。午前中の上りに集中した印象です。

 新習志野駅の乗車可能回数の増減を追ってみると、2023年12月15日の初回発表時点では平日32回、土休日42回と、大幅に増える予定でした。ところがわずか1か月後の2024年1月16日に上り2本の快速化が発表され、増加は平日30回、土休日40回に変わり、3月のダイヤ改正を迎えます。

 そして9月1日のダイヤ変更でさらに平日7本、土休日12本が快速化され、乗車可能回数は2023年度に比べて平日23回、土休日28回の増加という結果になりました。

 こうした変化を見る限り、新習志野駅にとって乗車可能回数は3月改正以前に比べ増えたままで、利便性が向上したことは事実です。しかし、いったん増えた本数が段階的に減っていったのは、決して好印象をもたらすものではありません。まさにあおりを食ってしまった駅といえるのではないでしょうか。

 路線自体が比較的新しく、沿線住民の足としても成長を続ける京葉線。テーマパークやショッピングモールなどの観光要素とともに、蘇我以遠の通勤利用者を支え続けているのも事実です。鉄道事業を営むJR東日本にとって列車ダイヤは看板商品のひとつですが、2025年のダイヤ改正でどのような変化が起こるのか注目していきたいところです。