左から藤原紀香、MEGUMI

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 最近よく見かけるざくろ入りの新商品。韓国でも美容やダイエットに効果があるとして人気なのだそう。「新・美のカリスマ」MEGUMIもざくろのペーストを炭酸割りで愛飲中とか。研究が進む、スーパーフードの全容をリポート。

【写真】生のザクロの食べてはいけない部分

“子宝”や“子孫繁栄”の象徴

「最新の研究で、ざくろはアンチエイジングに絶大な効果があることがわかってきたんです」

 そう話すのは、九州大学大学院の片倉喜範教授。さまざまなメディアでざくろの美容パワーを紹介する、ざくろと長寿遺伝子においての専門家だ。

 ルビー色が印象的なざくろは、古くから「女性の果実」と呼ばれ、美容と健康を助ける薬用植物として食べられていた。

「日本でも以前から女性ホルモンを活性化させる美容によい果物として注目されてきました。ひとつの果実の中にたくさんの実がなることから、“子宝”や“子孫繁栄”の象徴ともされてきました」(片倉教授、以下同)

 現代ではサプリメントや飲料、化粧品の成分としても使用されており、芸能界でも愛用者は多い。

 タレントのMEGUMIさんも雑誌『美的』で、お気に入りの美容アイテムとしてザクロペーストを挙げ、《女性ホルモンに働きかけてくれるので、胸のハリ感が出た気が》とコメントを寄せていた。

 叶姉妹の恭子さんは、かなり以前から美容と健康のために毎日ざくろ入りのスーパードリンクを愛飲していると明かしている。ざくろと20種類のフルーツ、野菜をミックスしているそう。

 ブログでは美香さんがメロンとざくろとパパイヤの“ビューティーサラダ”を紹介。恭子さんが美香さんのために作ったそうで、ざくろはホルモンバランスを整えてくれるのだと投稿していた。

 女優の藤原紀香さんもざくろを絶賛。自身のインスタグラムに《柘榴は強い味方 無脂肪ヨーグルトに、無農薬・有機栽培で育てられた栄養価豊富なザクロのペーストをプラスしてインナーケア》と独自の取り入れ方を投稿している。

 また、東尾理子さんも妊活をしていたころ、ブログにざくろエキスが幾度となく登場。積極的に取り入れていたようだ。

 芸能界でも美容にこだわりのある女性たちが愛用しているざくろ。具体的な成分や効果はどのようなものなのか。

「ポリフェノールやアントシアニンといった抗酸化物質が豊富に含まれています。肌トラブルや老化などの原因となる活性酸素を除去する抗酸化作用はアンチエイジングが期待されています」

ハリ、シワ、シミなどさまざまな美肌効果が期待

 ポリフェノールは動脈硬化などの生活習慣病の予防にも役立つといわれている。最新の研究で特筆すべきなのが、“ウロリチン”というポリフェノール成分。若返りを促す効果があるという。

「老化した細胞はサーチュイン遺伝子(長寿遺伝子)の活性化によって修復できる。そのサーチュイン遺伝子はざくろの成分“ウロリチン”によって活性化できることがわかってきています。ウロリチンとは、ざくろ由来の“エラグ酸”の腸内代謝物です」

 ちなみにウロリチンを生成するエラグ酸は、いちごやブルーベリーなどベリー系やナッツ類に多い成分だが、ザクロは特に豊富で、いちごの約6倍、ブルーベリーの約164倍も含まれているのだとか。

「ウロリチンは肌の水分量回復やハリ、シワ、シミなどさまざまな美肌効果が期待できるといわれています。ざくろにはその他にもプニカリン、プニカラジンといった特有のポリフェノール成分があり、長寿遺伝子の活性化が高い。中性脂肪の増加抑制や抗がん作用もあるといわれることもあります」

 気をつけたいのがざくろを摂取しても、人によってはその効果に差があるということ。

「全体の50%くらいの方は、残念ながら効果がありません。なぜなら、人によってはざくろを摂取しても腸管でエラグ酸からウロリチンをつくれないからです」

 そして、摂取の際には気をつけたい点が。

「最近はザクロ酢やザクロジュースが流行していますが、摂取する際は必ず100%かつ無糖のものを選ぶようにしてください。砂糖が入ったザクロジュースは飲みやすいのですが、頻繁に飲んでいたら血糖値が上がってしまいます」

 ザクロ酢も同様に加糖されているものが多いので注意が必要。

「100%ザクロジュース(無糖)は酸っぱくて飲みにくいかもしれませんが、ほとんど甘くないので血糖値が上がりすぎる心配はありません。できればそのまま飲むことをおすすめします」

 加工されていない生の果実が手に入ればそれがベスト。

「ざくろを果実から摂取する際には、皮を食べないように気をつけてください。ざくろの皮には、条虫(サナダムシ)の駆除に使われているペレチエリンという成分が含まれている場合があります。それが過剰に体内に入ってしまうと、有毒作用を引き起こし、下痢や吐き気、めまい、さらには中枢性運動障害を引き起こす可能性があります」

 ちなみに、ポリフェノールなら赤ワインなどにも含まれていることは有名だが─。

「赤ワインに含まれるポリフェノール、レスベラトロールもアンチエイジングに効果的な成分です。ただし、必要な量のレスベラトロールを赤ワインからとろうとすると、アルコールで肝臓が先に悪くなる可能性も」

認知機能が回復したという論文も

 いくらアンチエイジングや健康にいいからといっても、ジュースやアルコールなどの飲みすぎはNGだ。

 ポリフェノール以外にも、ざくろにはビタミンやミネラルなど美容にいい成分が豊富で中高年の女性にとってうれしいかぎり。

「エストロンという成分が含まれていて、女性ホルモンのエストロゲンと似た働きがあるため、更年期に伴うさまざまな症状を緩和するといわれています」

 現在、海外ではざくろについてさまざまな研究が進んでおり、

「ヨーロッパでは1日1杯のザクロジュースを飲むだけで、認知機能が回復したという論文も非常に有名です。ざくろに含まれる成分が脳の血行をよくするため、記憶力の改善に効果があると考えられています」

 というから「近ごろ物忘れが気になる……」という人にも朗報だ!

取材・文/諸橋久美子

片倉喜範教授 九州大学大学院教授。東京大学農学部卒、博士(農学)。2004年農芸化学奨励賞受賞。専門は食品機能学。アンチエイジング食品創製に向けた食品機能学的研究や老化・寿命制御の分子基盤の解明と創薬への応用などの研究を行う。