”世界王者の遺伝子”ジャック・ドゥーハンがアルピーヌから来季F1デビュー!勢力を増すオセアニア人ドライバー
ドゥーハンは来季、ガスリーとコンビを組むC)Getty Images
F1のアルピーヌは8月23日、テスト兼リザーブドライバーのジャック・ドゥーハンを来季のレギュラードライバーに起用すると発表した。父は二輪のロードレース世界選手権旧500CCクラスで1990年代に5連覇したオーストラリア(豪州)出身のミック・ドゥーハン。カテゴリーこそ違うもののモータースポーツの世界チャンピオンの遺伝子がF1のシートを射止めた。ハースへの来季移籍を決断したエステバン・オコンの後釜となり、ピエール・ガスリーとコンビを組む。
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「チームの上級経営陣の信頼と信念にとても感謝している。F1デビューのために多くの仕事が控えているが、ステップアップに向けて多くの情報と知識を吸収するため、全力を傾けたい」とドゥーハンはコメント。二輪経験はなく、レーシングカートから四輪畑を渡り歩き、昨季はFIA−F2でランキング3位を獲得した。育成プログラムのアルピーヌアカデミーの出身でもある。
近年はオセアニア出身のF1ドライバーが増えている。過去10年間で4人。ベテランのRBのダニエル・リカルド(豪州)を筆頭に今季はマクラーレンのオスカー・ピアストリ(豪州)がハンガリーGPで初優勝。ニュージーランド(NZ)出身でも2023年にはアルファタウリ(現RB)でリアム・ローソンが代役出場ながらF1デビューを飾り、17、18年にはブレンドン・ハートレーがトロロッソに所属した。
ただ、世界選手権になった1950年以降、両国出身の選手は意外と少なく、豪州は12人。ニュージーランドは8人。エントリー数21人の日本よりも実は少ない。それでも1959、60、66年のジャック・ブラバム(豪州)、67年のデニス・ハルム(NZ)、80年のアラン・ジョーンズ(豪州)と3人が世界チャンピオンになった。
オセアニアは南半球にあり、欧米と比較すると季節が逆転しており、冬季でもレースを経験できる利点がある。そのため海外から遠征する選手も多い。例えば、NZの入門用フォーミュラカーシリーズ「トヨタレーシングシリーズ」(現フォーミュラ・リージョナル・オセアニア選手権)からは角田裕毅、ローソンのほか、ランド・ノリス、ランス・ストロール、周冠宇ら多くの人材を輩出している。
ドゥーハンも4輪デビュー2年目の2019年にアジアを転戦するF3アジアに参戦した際に2月にマレーシアで開催された冬季シリーズにもスポット参戦。このほか冬季に行われるインドのフォーミュラカーシリーズにも出場した。冬季以外のレースにもエントリーしており、4輪デビュー直後の2年間で90戦近くをこなした。
かつてはブラジル人選手が席巻した時代もあったが、今ではF1では0人に。それに代わってオセアニアが幅を利かせている。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]