「金メダルをあげたい!」減量失敗→当日失格で揺れたインド女子レスラーが意味深な無言投稿 “悲劇のヒロイン”に母国も激励
まさかの失格騒動に揺れたビネシュ。すでに現役続行の意思を示している彼女の新たな投稿が話題となっている。(C)Getty Images
無念の失格処分から再起を遂げられるか。29歳のインド人レスラーのキャリアが注目を集め続けている。パリ五輪女子レスリングフリースタイル50キロ級のビネシュ・フォガトだ。
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今夏に彼女に降りかかったのは、世界を騒然とさせた騒動だった。1回戦で日本の須崎優衣に勝利して快進撃を続けたビネシュは、勢いのままにファイナルまで到達。だが、サラ・ヒルデブラント(米国)との決勝当日にまさかの計量失敗。約100グラムの体重超過により、表彰台にも立てなかった。
1回戦から準決勝までの3試合を消化する間に栄養補給などを行っていたビネシュは、決勝前日の晩に2キロの増加が判明。通常体重56キロである彼女は、大幅に戻ってしまっていた体重を落とそうと、水抜きはもちろん、散髪、さらには採血も実行。過度の脱水状態で病院へ搬送されるほどの壮絶な減量を行ったが、リミット以下に落としきれなかった。
過酷な減量を強いられた実態も明るみになり、インド国内では銀メダルの授与を求める声が相次いだ。ビネシュ側も失格処分の取り消し求め、CAS(スポーツ仲裁裁判所)に提訴したが、「計量に失敗したという点に議論の余地はない。リミットを超えないようにするのは、明らかに選手自身の責任だ」と棄却。裁定が覆ることはなかった。
このCASに「銀メダル授与を認めるべき理由がない」とも断じられ、失格処分の撤回とメダル獲得の可能性はなくなった。これを受けてか、ビネシュは自身のInstagramを更新。須崎戦で勝利した瞬間のガッツポーズを捉えた自ら画像を、一言のメッセージも記さずに投稿したのだ。
CASや関係団体への“無言の抗議”なのだろうか。国内で「悲劇のヒロイン」とされている彼女の投稿にはフォロワーからもコメントが殺到し、「必死に努力した彼女に金メダルをあげたい!」「チャンピオンはチャンピオンだ」「インドの誇りだ」「努力は無駄ではない」「まだ戦える」といったエールが相次いだ。
17日に帰国した際には、国民の熱狂的な歓迎を受け、首都デリーで盛大なパレードが催されるなど、国内での知名度と人気を高めているビネシュ。すでに「私の中にある闘志は、いつだってそこにある」「私は本当に幸運だと思う。私の闘いを支えてくれてありがとう。まだ終わっていない、闘いは続く」と現役続行の意思を公表している29歳の挑戦を興味深く見守りたいところだ。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]