アメリカ議会では2024年4月23日に「事実上のTikTok禁止法」とも呼ばれる規制法案が可決され、その後ジョー・バイデン大統領がこの法案に署名しました。法案の成立を受けてTikTokは連邦控訴裁判所に対し異議申し立てを行っていましたが、2024年8月15日にTikTokは「アメリカ政府はTikTokに対して事実誤認している」と主張しました。

EPLY BRIEF OF PETITIONERS TIKTOK INC. AND BYTEDANCE LTD.

(PDFファイル)https://storage.courtlistener.com/recap/gov.uscourts.cadc.40861/gov.uscourts.cadc.40861.2070338.0.pdf



TikTok disputes US claims on China ties in court appeal | Reuters

https://www.reuters.com/legal/tiktok-disputes-us-claims-china-ties-court-appeal-2024-08-16/

TikTok compares itself to foreign-owned American news outlets as it fights ban | AP News

https://apnews.com/article/tiktok-bytedance-ban-sell-china-e2d927825f1539c787c4b15b74b0919a

TikTok fights for survival in latest filing as ban approaches : NPR

https://www.npr.org/2024/08/15/nx-s1-5077782/tiktok-survival-filing-ban-approaches

2024年4月に成立した法律は「外国の敵が支配するアプリケーションがもたらす国家安全保障上の脅威からアメリカ国民を守る法律」と呼ばれるもので、TikTokの親会社であるByteDanceに対して9カ月以内にTikTokおよびTikTok傘下のアプリケーションを売却することが義務付けられています。売却に応じなかった場合、TikTokはアメリカ国内のアプリストアおよびウェブホスティングサービスの利用を禁止されます。

法律の成立を受けてTikTokは2024年5月7日に、コロンビア特別区連邦控訴裁判所への異議申し立てを行っていました。

TikTokがアメリカでの禁止措置をめぐり訴訟 - GIGAZINE



TikTokに対しアメリカ司法省は「このアプリは中国政府がアメリカ人の個人情報を収集し、視聴できるコンテンツの秘密裏の操作が可能になる」と主張しており、国家安全保障上のリスクが存在すると指摘しています。

一方でTikTokは「政府の懸念は臆測に過ぎず、確固たる証拠がありません」と反論。具体的には「アプリのコンテンツ推奨エンジンとユーザーデータはアメリカ国内に拠点を置くOracleが運営するクラウドサーバーに保存されており、アメリカ人ユーザーに影響を与えるコンテンツモデレーションに関する決定は全てアメリカ国内で行われている」と主張しました。



TikTokはこれまで「事実上の『TikTok禁止法』は憲法修正第1条で示された言論の自由に違反している」との立場を示してきましたが、司法省は「外国の事業体が所有しており、海外で活動する外国組織であるTikTokには、憲法修正第1条の保護を受ける資格がない」と主張。これに対しTikTokは「確かにTikTokのアメリカ部門は外国の事業体が所有していますが、それはドイツの出版社・Axel Springer SEが所有するPoliticoやBusiness Insider、タイの実業家・チャチャヴァル・ジアラバノン氏が保有するFortuneと同様で、これらのビジネス誌は外国の事業体が所有権を持っているからといって、憲法修正第1条の保護を失うことはありません」と批判しています。

アメリカ政府とTikTokを巡る口頭弁論は、2024年9月16日にアメリカ・ワシントンの連邦控訴裁判所で実施される予定です。