新川浩嗣氏

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 一風変わった言動から「宇宙人」とも評された財務省の神田眞人財務官が7月いっぱいで退任する。後任は三村淳国際局長だが、同時に行われるのが、事務次官人事だ。現次官の茶谷栄治氏に代わって、新しく就任するのは、主計局長の新川浩嗣(しんかわひろつぐ)氏(61)である。

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「新川氏は香川県の丸亀高校、東大経済学部を卒業。今夏の霞が関人事では、4人の香川県出身者が事務次官に昇格して話題になっていますが、新川氏は早くから将来の次官候補と目され、出世の道を歩んできた。今回の昇任は順当な人事といえるでしょう」(財務省担当記者)

官房長が日銀入行を阻止

 新川氏は1987年の入省(当時は大蔵省)。就職活動では日本銀行からも内定をもらっており、当初、本人は大蔵省が本命ではなかったといわれている。

新川浩嗣氏

「それを知った当時の小粥正巳官房長が、日銀入行を阻止するために、部下を使って本人を説得し、最終的に入行を辞退させたといわれています。大蔵省としてはそれほど欲しい人材だったということです」(同)

 その新川氏がキレ者ぞろいの財務省の中で頭角を現したのは、2009年から2年間務めた、主税局税制第二課長時代だったといわれている。

 財政に詳しいジャーナリストが言う。

「税制第二課は消費税の担当です。ご存じのように消費税は14年に5%から8%へ。さらに19年には、10%へと引き上げられていますが、新川氏は勝栄二郎氏(元次官・現IIJ社長)のもと、消費税増税法案につながる下地作りを指揮していました」

歳出カットでも手腕

 一方、税金を取るだけでなく、歳出のカットでも手腕を発揮した。

「税制第二課長の後に務めた主計局主計官(厚生労働係)の時は、ジェネリック医薬品の利用拡大を急がせ、薬価の切り下げに奔走しています。一方で診療報酬の実質的なマイナス改定を断行したことで、医療界からは反発の声も上がりました」(同)

 その後は総理秘書官、官房長、そして主計局長と次官コースの王道を走ってきたわけだが、キャラクターはというと、「直言居士」との評判も。

 過去の次官には、月刊誌で財政のバラマキを批判した矢野康治氏もいる。新事務次官のメッセージに注目が集まっている。

「週刊新潮」2024年7月25日号 掲載