肥満は交通事故を起こしやすい? 居眠り運転や突然死リスクの裏にある病気

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肥満の人に多いといわれる「睡眠時無呼吸症候群」(Sleep Apnea Syndrome:SAS)について、呼吸器内科医の池田雄次先生(ふらットクリニック稲毛院長)に詳しく解説してもらいました。睡眠時無呼吸症候群は、熟睡感が得られず目覚めが悪くなるだけでなく、居眠り運転による交通事故や突然死とも関連していると言われている疾患です。

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監修医師:
池田 雄次(ふらットクリニック稲毛)

千葉大学医学部を卒業後、国立千葉病院(現・国立病院機構千葉医療センター)、塩谷総合病院(現・国際医療福祉大学塩谷病院)、千葉大学医学部附属病院などで経験を積み、2003年、今の「ふらットクリニック稲毛」の前身である「医療法人以仁会小中台クリニック」院長となる。2022年より、院名「ふらットクリニック稲毛」の院長となる。院名は、医療者と患者さんが平らな関係(フラットな関係)であり、ふらっと立ち寄っていただける医療機関を目指し、名付けられている。

睡眠時無呼吸症候群とはどんな病気? 内科医が徹底解説

編集部

睡眠時無呼吸症候群とはどのような病気ですか?

池田先生

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に一時的に呼吸が止まるか、呼吸が浅くなってしまう疾患です。

編集部

睡眠時の無呼吸のほかにはどんな症状が出ますか?

池田先生

直接的に見られる主な症状としては、睡眠中に何度も起きる、いびき、寝汗、起床時の頭痛、昼間の眠気や倦怠感などがあります。なかでも、いびきは睡眠時無呼吸症候群の特徴と言われています。

編集部

仕事や日常生活に影響がありそうですね。

池田先生

例えば昼間の眠気や倦怠感は、居眠り運転による交通事故や作業中のミスによる事故などに発展することも考えられます。さらに、睡眠中に呼吸が停止したり、浅くなったりすると、体が十分に酸素を得られないため、脳血管障害や心筋梗塞など、重篤な病気の発症リスクを高めるというデータもあるのです。また、突然死との関連も報告されています。

睡眠時無呼吸症候群になりやすい人っている? 放っておくとどうなるの?

編集部

睡眠時無呼吸症候群になる人は多いのですか?

池田先生

かなり多いと言われています。しかし、寝ている間の無呼吸なので、自分ではなかなか気付くことができず、診断されていないまま放置している患者さんがほとんどです。中等度以上の睡眠時無呼吸症候群だけでも日本に900万人以上(※)というデータもあるくらいで、決して珍しいものではありません。

※睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疫学
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/109/6/109_1059/_pdf

編集部

どんな人が睡眠時無呼吸症候群になりやすいのですか?

池田先生

最も注意が必要なのは肥満の人です。睡眠時無呼吸症候群は、主に仰向けに寝たときに舌の根元が気道を塞ぐことで呼吸が止まったり、浅くなったりしてしまうのですが、肥満だと首の周りにも脂肪がつきやすいので、喉が狭くなりやすい傾向にあるのです。また、肥満でなくても顎が小さい人や首が細い・喉が狭い人もそのような状態になりやすいですね。

編集部

睡眠時無呼吸症候群を放置しているとどうなるのですか?

池田先生

先述のように、交通事故や作業中の事故、脳血管疾患や心疾患などのリスクが出てきます。睡眠時無呼吸症候群であるにもかかわらず、治療をしないで放置しておくとどうなるかという海外の有名な研究があります。 その研究では、中等度以上の睡眠時無呼吸症候群で無治療の人と治療した人たちの生存率を比較したところ、何も治療しなかった人たちは8年後に63%しか生存していませんでした(※)。やはり、早期に発見し、早期に治療することがとても大事なのです。

※National Library of Medicine
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/3289839/

睡眠時無呼吸症候群の治療はどのようなものがある? 生活習慣の見直しも必要?

編集部

睡眠時無呼吸症候群の治療にはどのようなものがありますか?

池田先生

軽症の場合はマウスピースでの治療、中等度以上であれば「CPAP治療」が選択されます。これは、睡眠中に鼻マスクをつけて気道に空気を送り、気道の閉塞を防ぐ治療法で、一定の診断基準を満たしていれば保険が適用されます。並行して、生活習慣の見直しなども行なっていきます。

編集部

どのような生活習慣の見直しが必要ですか?

池田先生

最も危険な因子は肥満なので、過体重の人は減量すること、肥満ではない人も、太らないように意識することが大事です。そのためには食事量を適正にし、適度な運動習慣をつけるように指導します。また、酔っていると症状が悪化する傾向にありますので、飲酒量も気をつけていただきたいです。

編集部

痩せれば、睡眠時無呼吸症候群は治りますか?

池田先生

完全に治るかどうかは個人差がありますが、肥満の人が痩せると喉の狭さが緩和されるので、かなり効果はあります。軽症であれば完治することもあります。

編集部

最後に、Medical DOC読者へのメッセージがあればお願いします。

池田先生

いびきは睡眠時無呼吸症候群に見られる特徴的な症状ですが「いびき=睡眠時無呼吸症候群」ではありません。当クリニックでも、いびきで受診した人が10人いたとして、実際に検査をして睡眠時無呼吸症候群と診断されてCPAP治療となる人は1人か2人なので、過度に心配する必要はありません。しかし、やはり放置しておくのは危険なので、いびきのある人や肥満の人、寝汗や倦怠感のある人などは、まずは一度、きちんと検査しておくことをお勧めします。

編集部まとめ

眠っている時の呼吸状態なので、ご自身で気付きづらいですが、知らずに放置していると事故や脳血管疾患・心疾患、突然死などのリスクもありますので、いびきを指摘されたことのある人や肥満の人、寝汗や起床時の頭痛などが気になる人は、ぜひ一度、専門機関に相談してみてはいかがでしょうか?

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ふらットクリニック稲毛

所在地〒263-0031千葉市稲毛区稲毛東1-16-11 F+ビル1階

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診療科目内科、小児科、皮膚科、整形外科

043-301-2177

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