この記事をまとめると

■70歳以上の免許更新には高齢者講習という制度が設けられている

■座学と実技をそれぞれ1時間受ける必要があり75歳になると試験や医師の診断が加わる

■合格率は90%ほどといわれているが事故が多いのも事実で課題は多い

高齢者講習の気になる中身

 高齢者による事故が話題になったこともあって、一時、免許返納が増えたものの、最近は停滞気味。ただ、「返納しなければ普通にクルマを運転していいのか?」というと、そのようなこともなく、社会問題になったのをきっかけに導入されたのが、高齢者講習と呼ばれるものだ。70歳以上になると、免許更新はそれまでどおりではなく、各種講習やチェックをクリアする必要が出てくる。

 当然のことながら若いうちは興味がなくて当たり前なのだが、免許を持っていればいずれ親は関係してくるし、自分も歳を取るのはあっという間だけに、知識として免許制度がどうなっているのかは頭に入れておいて損はないだろう。

 高齢者対策は大きくふたつにわかれ、まず更新期間満了日の年齢が70歳から74歳までに課せられるのが高齢者講習だ。住んでいる都道府県内の指定自動車教習所や免許センターで受けられ、これを受講しないと免許更新はできない。内容は所持している免許で異なるが、普通自動車免許では座学と実技をそれぞれ1時間ずつ(教習所では1時間以上ずつ)となる。ただ、試験ではないので講習を受ければOKではある。

 そして、75歳になると試験や医師の診断が加わる。流れを整理してポイントで紹介すると、まず医師が認知症であると診断すると免許は取り消しとなる。認知症でなければ上記の高齢者講習を受けて免許の更新が可能だ。

 また、一定の違反歴があると実技が加わる。通常の講習でも違反履歴があると、ない人に比べると受ける時間が長くはなるが、この場合は高齢化による運転能力の低下が疑われるため、実技を行うという意味がある。

 問題は運転技能検査と呼ばれる実技試験で、繰り返し受験が認められているものの、期間内にパスできないと免許の更新はできない。実際に受けてみたら簡単で、「こんなのに意味があるのか?」という意見もあるが、70歳を超えると更新ごとにハードルが設けられているのは確か。とくに75歳を超えるとハードルは高くなるといっていい。

 ただ、実際の合格率は全国で見ると9割ぐらいで、更新できなかったのは1割だ。返納率は75歳以上で5%ぐらいなので、ほとんどの人がそのまま運転していることになる。公共交通機関がないところではクルマは唯一の足でもあるだけに、今後さらにこの問題については制度設計も含めて考えていかないといけないだろう。