同事件で、5月、家宅捜索に向かう捜査員ら(写真・共同通信)

「繁殖に使えなくなった犬を生かすと経費がかかる」

 2024年5月、埼玉県毛呂山町にある自宅敷地内の飼育場で、犬3匹を袋などに入れて窒息死させたとして動物愛護法違反の容疑で逮捕された渡部幸雄元ブリーダー(81)は、捜査員にこう語った。飼育場ではポメラニアンやトイプードルなど、約180匹の犬が飼育されていたという。

「経営者は渡部元ブリーダーですが、管轄の保健所に動物取り扱いの届出をしていたのは親族だったそうです。

 5月におこなわれた家宅捜査では、捜査員に『じゃあどうするの?もらい手がいないのに』『おたくら、給料もらってるでしょ、オレは給料もらえないんだよ』『エサ代も15万から30万かかる』などと話している姿をTBSのカメラが捉えていました。

 繁殖させた子犬はペットオークションなどに出していたようですが、直販もしていたと聞いています。警察の調べでは2022、2023年には計約3600万円を売り上げていたそうです」(週刊誌記者)

 飼育環境は劣悪だったようで、近隣では異臭騒ぎもあったという。保健所が2022年〜2024年にかけて計12回の立ち入り調査を実施。飼育ケージが小さすぎるなどの指導をしたという。

 動物福祉活動をおこなっている女優の杉本彩も逮捕の報道を受け、6月27日に自身のXを更新。ニュース記事を引用し、《コストを削減し利益を求めると飼育環境は悪くなり動物は苦しむ。挙げ句の果てに殺傷という最悪の事件だが、ペットの大量流通という今の業態がある限り、事業者による虐待・殺傷はなくならない》《事件を起こした繁殖屋たちは皆一様に罪の意識がない。動物の命をただの商売道具としか思っていないから》とポストしていた。

 残酷極まりない事件だが、7月18日までに川越簡易裁判所が出した判決により驚きが広がっている。判決は、渡部元ブリーダーに罰金40万円の略式命令。あまりに軽すぎるという怒りの声が、Xでも続出している。

《犬3匹殺して、なんで略式起訴? なんでたったの罰金40万円? さんざん金儲けのために利用して産めなくなったら「責任を取るつもり」という身勝手極まりない理由で殺したのに》

《まだこんな連中から犬猫買いますか?次々と生体販売業者が摘発されているのに》

《罰金だと!軽すぎるだろ》

 今後、ペットブームの陰で起こる悲劇はなくなるのだろうか。