「漢方」の「西洋薬」との違いやメリットを解説 男性不妊にも効果があるってホント?

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「漢方薬」というとどんなイメージがあるでしょうか? 昔ながらの「苦い」「薬草」といったイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、最近ではさまざまな疾患治療に漢方が用いられ、保険が適用されるものも多くあるのだそうです。そこで、漢方治療やその対象疾患などについて、園ペインクリニックの松本 園子先生に解説してもらいました。

≫「漢方薬が痛み止めに効く」理由を専門医が解説 痛みを緩和する西洋医学の薬と漢方の違いとは?

監修医師:
松本 園子(園ペインクリニック)

2005年、大学卒業後、医師免許を取得。順天堂大学の光畑裕正元教授に師事し、痛み治療の専門的な知識と技術を学ぶ。昭和大学横浜市北部病院やがん研有明病院でも研鑽を積む。2022年、生まれ育った亀戸に「園ペインクリニック」を開院し、院長就任。医学博士、日本麻酔科学会専門医・指導医、日本ペインクリニック学会ペインクリニック専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本緩和医療学会緩和医療認定医。Instagram

漢方薬とは? 専門医が解説

編集部

漢方薬は、普通のお薬と異なるのですか?

松本先生

「漢方薬」に明確な定義があるわけではありませんが、皆さんが普段処方される多くのお薬(西洋薬)とは少し異なります。自然界に存在する植物や動物、鉱物などの薬効となる部分を「生薬(しょうやく)」というのですが、この「生薬」を基本的には2つ以上組み合わせてつくられたお薬を漢方薬と呼びます。

編集部

組み合わせて使われることが多いのですね。

松本先生

漢方薬の多くはエキス剤(煎じてできた液を加工して粉末や錠剤にしたもの)となっていますが、もちろん個々の生薬を使う時もあります。しかし、生薬によっては副作用の強いものもあります。そういった生薬を使うとき、先人達はその副作用を抑える生薬を複合的に含ませることによって、処方薬全体の副作用を抑えるといった工夫をしてきました。

編集部

西洋薬と比べてどんなメリットがあるのですか?

松本先生

西洋薬は、時として身体に負担をかけてしまうものや長期的に飲み続けるのがやや心配なものもあります。そのためAという薬による負担を緩和するために、Bという別の薬を出さなければならないこともあります。一方の漢方薬は、自然由来で副作用も少なく体に負担の少ないお薬です。

編集部

ほかにはどんなメリットがありますか?

松本先生

診断名だけでなく、体質や体の状態によって足りないところを補うような最適な薬をさまざまな組み合わせで処方することができるのも大きなメリットです。いわゆる「オーダーメイド」の治療ができるといえます。

編集部

では、どんなデメリットがありますか?

松本先生

処方できる医師が、西洋薬と比べると少ないことでしょうか。自然由来の漢方薬は、体への負担が少ない代わりに、専門的な知識を用いて本当にその人に合った処方をしないとまったく効果を発揮しないということがあります。

漢方薬はどんな疾患、どんな人におすすめ?

編集部

漢方薬は、効果が現れるのに時間がかかるというイメージがあります。

松本先生

西洋薬と比べてそういうイメージがあるのかもしれませんが、漢方薬にもすぐ効果の表れるものは多く、「しばらく飲み続けないと効果が実感できない」といったものはむしろ少数です。痛みに対しても、即効性のあるお薬はたくさんあります。

編集部

漢方薬はどんな人・どんな疾患に向いていますか?

松本先生

基本的にどんな人、どんな疾患でも対応していますが、西洋薬とは異なり、いわゆる冷えや倦怠感などの不定愁訴に対する効果もあるため、そういった症状に悩む方にもお勧めです。昔は粉のお薬がほとんどだったので、粉薬や嫌な方には勧めにくかったのですが、今は錠剤も出ていますので、粉薬が嫌だという人にも向いています。とくにアジア人には、効果が出やすいという点でも、この記事を読んでいる方の多くには向いているといえます。

編集部

男性不妊にも効果があるのですか?

松本先生

そうですね。例えば西洋薬のバイアグラなどのような「飲んですぐに男性機能不全を改善」といった使い方はしませんが、男性不妊の原因となっているところを整えることで男性不妊の改善が期待できます。とくに50~60代で増えてくる「腎虚」という状態は、漢方薬で高い効果が期待できます。

漢方薬はどこで出してもらえるの? 保険は?

編集部

漢方薬はどこで出してもらえるのですか?

松本先生

病院やクリニックの「漢方内科」などで処方してもらえます。通常の内科や整形外科などで漢方薬が処方されることもありますが、必ずしも漢方が出るとは限りませんので、漢方治療を希望する場合は、ホームページや電話などで事前に確認しておくと良いかもしれません。ホームページでは、医師が「漢方専門医」の資格を持っているかもチェックすると良いでしょう。

編集部

漢方薬は保険が使えるのですか?

松本先生

基本的には保険適用と考えて良いのですが、一部そうでないものもあります。先ほどお伝えした、男性不妊に対する漢方薬も「不妊治療目的である」など、一定の条件が揃えば保険が適用できる場合もあります。医療機関にもよりますので、事前に確認したり「保険適用の薬を希望します」と伝えたりしておくと安心だと思います。

編集部

最後に、Medical DOC読者へのメッセージをお願いします。

松本先生

漢方薬というと「病気を治すものではない」「“未病”や“不調”のためのもの」というイメージもあるかもしれませんが、高血圧、糖尿病、不整脈や痔などでも漢方薬での治療が可能なケースもあります。また、ブロック注射と併用することで、さまざまな痛みの改善が期待できます。とくに、肛門部まわりの痛みなどには高い効果が期待できます。漢方薬の素晴らしさを、もっとたくさんの人に知ってほしいです。

編集部まとめ

副作用が少なく、個々の体質や体の状態に合わせたオーダーメイドな治療が提供できる漢方薬が、保険適用でも処方可能なのだそうです。即効性のあるものも多いとのことでした。興味のある方は、一度お近くの「漢方専門医」を探してみてはいかがでしょうか?

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