「健康診断の血液検査で“貧血”と診断された…」貧血になる3つの原因を医師が解説!
健康診断の時期、血液検査で「貧血」と診断された女性は多いのではないでしょうか。今回は、貧血の3つの原因について「ハレノテラスすこやか内科クリニック」の渡邉先生に解説していただきました。
※この記事はMedical DOCにて【「血液検査で貧血と診断された…」血液内科の専門医が原因・症状・対処法を徹底解説】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
監修医師:
渡邉 健(ハレノテラスすこやか内科クリニック)
鹿児島大学医学部医学科卒業。その後、横浜市立みなと赤十字病院、横須賀共済病院、がん・感染症センター東京都立駒込病院などに勤務、東京医科歯科大学医学部附属病院(現・東京医科歯科大学病院)特任教授、東京医科歯科大学血液内科学教室助教などを務める。2019年、埼玉県さいたま市に「ハレノテラスすこやか内科クリニック」を開院。日本内科学会総合内科専門医、日本血液学会専門医・指導医。ICLSインストラクター、JMECCインストラクター。
編集部
血液検査では、どのようなことを調べているのですか?
渡邉先生
基本的に、健康診断などでおこなう血液検査では、白血球数(WBC)や赤血球数(RBC)、血色素量(ヘモグロビン)、血小板数など様々な成分の量を測ります。それぞれの数値には意味があり、例えば赤血球数が少なければ貧血が疑われ、貧血かどうかの診断はヘモグロビンの数値によって評価されます。
編集部
貧血についてもう少し詳しく教えてください。
渡邉先生
「赤血球中のヘモグロビン値が低下すること」を貧血と言います。ヘモグロビンは赤血球に含まれる成分で、体の隅々まで酸素を運ぶトラックのような役割をしています。ヘモグロビンが少なくなると体内で十分な酸素が循環しなくなるため、「疲れやすい」「動いたときに息切れや動悸がする」などの症状が出ます。
編集部
なぜ、貧血になるのでしょうか?
渡邉先生
わかりやすく言うと、貧血の原因は以下の3つに分けて考えられます。・材料の不足
・工場の異常
・作ったものが消える
編集部
それぞれ、簡単に説明をお願いします。
渡邉先生
まず「材料の不足」とは、鉄、ビタミンB12、葉酸、銅などヘモグロビンを作るのに必要な材料が不足することです。摂取不足(無理なダイエットや偏った食生活)や吸収障害、持続的な出血による鉄の喪失などが貧血の原因になります。
編集部
次に「工場の異常」とは?
渡邉先生
血液のがん(白血病、多発性骨髄腫など)、血をうまく作れない病気(骨髄線維症、骨髄異形成症候群、再生不良性貧血など)、がんの骨髄への転移などにより貧血が起こることを指します。これらの病気を発症しているとヘモグロビンだけでなく、正常な白血球や血小板などの数値も低下します。
編集部
最後に「作ったものが消える」とは、どういうことでしょうか?
渡邉先生
溶血性貧血や脾機能亢進、肝硬変などにより、正常に血液が作られても壊され、赤血球寿命が短くなることで貧血になることを指します。
編集部
貧血は女性に多いように思いますが、いかがでしょうか?
渡邉先生
貧血の原因として「鉄欠乏性貧血」が最も多いため、多くの人がこのようなイメージを持っています。しかし先ほど述べたように、「赤血球が作れない」あるいは「壊されてしまう」という疾患についての男女差はないので、鉄欠乏と決めつけず判断することが重要です。