事故現場に貼り出した、遺族の思い。「孫達を溺愛(できあい)していた母」とある=2024年6月22日、札幌市西区西野4条9丁目、新谷千布美撮影

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 ブレーキとアクセルを踏み間違え、3人を死傷させたとして自動車運転死傷処罰法違反(過失運転致死傷)の罪に問われた札幌市西区の無職里村香純被告(81)の初公判が27日、札幌地裁(加島一十裁判官)であった。

 里村被告は起訴内容を認め、検察側は禁錮4年6カ月を求刑して即日結審した。

【地図】蛇行運転や逆走した1.5キロの道のり

 起訴状などによると、里村被告は2022年8月1日午前9時20分ごろ、札幌市西区の道路でブレーキとアクセルを踏み間違え、青信号を渡っていた藤田明美さん(当時70)を車ではねて死亡させた。里村被告はその後もアクセルを踏み続け、最大時速136キロで暴走。複数の車両に衝突し、男性運転手2人に胸骨骨折や頸椎(けいつい)ねんざなどのけがを負わせたとされる。

 公判には、被害者参加制度を使って藤田さんの遺族も参加し「母にはやり残したことがあった。被害者が70歳でよかったなどとは絶対に思わないでほしい」と訴えた。

 検察側は論告で「被告は過去にも不注意で事故を重ねていた」と指摘し、「運転操作を誤った過失は重大で、遺族の心情も最大限考慮すべきだ」と主張。弁護側は「被告は日頃から慎重に運転しており、事故当時は極度のパニック状態だったと想像できる。被害者や遺族に反省の意思も示している」とし、執行猶予付きの判決を求めた。

 里村被告は「これから自分が犯した罪を一生背負っていこうと思います」と謝罪した。判決は7月24日に予定されている。(鈴木優香、上保晃平)