「卵巣がん」になると現れる初期症状や原因はご存知ですか?ステージについても解説!

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乳がんになりやすい人の特徴とは?Medical DOC監修医が乳がんになりやすい人の特徴・症状・原因・予防法や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

≫「乳がんの原因」となる食べ物はご存知ですか?予防法も医師が徹底解説!

監修医師:
山田 美紀(医師)

慶應義塾大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、総合病院や大学病院にて形成外科、外科、乳腺外科の研鑽を積んできた。医学博士。日本外科学会 外科専門医、日本乳癌学会 乳腺認定医、検診マンモグラフィー読影認定医(A判定)の資格を有する。

「乳がん」とは?

乳がんは乳房の組織にできる悪性腫瘍です。乳腺は乳管と小葉からできており、多くは乳管から発生します。乳がんは女性がかかるがんの中で最も多く、女性の9人に1人が一生涯のうちに乳がんにかかるといわれています。

乳がんになりやすい人の特徴

乳がんになりやすい人の特徴や生活習慣についてご紹介します。

高身長

閉経前後にかかわらず、成人期の高身長は乳がんの発症リスクを確実に高めると報告されています。栄養状態が良いことや成長ホルモンや女性ホルモンの影響が考えられます。

閉経後の肥満

閉経後の肥満は乳がんの発症リスクを高めます。乳がんの発症にエストロゲンという女性ホルモンが関係していますが、脂肪細胞からのエストロゲンの供給が原因と考えられます。肥満はさまざまな病気の原因となるため、太りすぎないように生活習慣に気を付けましょう。

飲酒

アルコール飲料の摂取は、閉経前後にかかわらず、乳がん発症リスクを高めます。また、飲酒量が増えるほどリスクが高まることもわかっています。アルコールが乳がんにどのように影響を与えるかの詳細は明確ではありません。

喫煙

喫煙が乳がん発症リスクを高めることはほぼ確実です。受動喫煙も乳がん発症リスクを高める可能性があります。また、喫煙している人は、禁煙した時点から発症リスクが下がります。喫煙はさまざまな病気の原因となります。なるべく早く禁煙することをおすすめします。

月経のある期間が長い

乳がんの発症にはエストロゲンが関係しています。エストロゲンへさらされている期間が長い、すなわち月経のある期間が長い人ほど乳がんの発症リスクが高いと考えられます。初経年齢が早い人ほど、閉経年齢が遅い人ほど、乳がん発症リスクが高いことがほぼ確実です。ただし、初経が遅いから、閉経が早いからといって、乳がんにならないというわけではありません。

出産経験がない、授乳経験がない

乳がんの発症にはエストロゲンが関係しているため、出産や授乳も乳がん発症リスクと関連があります。出産経験のない人は出産経験のある人と比較し、2.2倍乳がんになりやすいといわれています。授乳経験がない人も乳がんの発症リスクが高いことは確実です。ただし、出産や授乳経験があるからといって、乳がんにならないというわけではありません。

家系内に乳がん患者さんがいる

ご家族に乳がん患者がいる場合、乳がん発症リスクが増加します。血縁関係が近いほど、人数が多いほどリスクは高くなります。親、子、姉妹の中に乳がん患者がいる女性は、いない女性に比べて2倍以上乳がんになりやすいことがわかっています。祖母、孫、おば、めいに乳がん患者がいる女性は、約1.5倍のリスクがあります。ご家族に乳がん患者がいる場合は、定期的な乳がん検診を怠らないことが大切です。

乳がんの代表的な症状

乳がんの代表的な症状をご紹介します。

乳房のしこり

乳がんの症状として、一番多いのが乳房のしこりです。乳がんによるしこりは硬く、動きが悪いという特徴があります。痛みはないことが多いです。良性の乳腺腫瘍や乳腺症、皮膚腫瘍でもしこりを自覚することがあります。触れただけでは分からないので、早めに乳腺科を受診してください。

血性乳頭分泌

乳頭から液体が出てくることを乳頭分泌といいます。水や乳汁のような分泌は問題ないことが多いですが、赤や茶色などの血性分泌物がみられた場合は要注意です。乳管内乳頭腫などの良性腫瘍のことが多いですが、乳がんの可能性もあります。早めに乳腺科を受診してください。

乳頭乳輪のただれ

乳頭や乳輪の皮膚の湿疹が改善しない場合、パジェット病という特殊な乳がんの可能性があります。皮膚科を受診し、良くならない場合は乳がんの可能性もあるため、乳腺科を受診してください。

乳房の変形

乳がんにより乳房の大きさや形の左右差がみられることがあります。乳がんが皮膚の近くにあると、皮膚や乳頭のへこみがみられることがあります。新しく出現した変形は乳がんの可能性があるため、早めに乳腺科を受診してください。

皮膚の赤み

炎症性乳がんという特殊な乳がんの場合は、乳房の皮膚に赤みがみられます。皮膚が浮腫み、毛穴が目立つため、オレンジの皮のような皮膚になります。症状がある場合は、早めに乳腺科を受診しましょう。

乳がんの主な原因

乳がんには遺伝や環境要因などさまざまな原因があります。原因があるからといって、必ず乳がんを発症するわけではありません。定期的な乳がん検診を行うことが大切です。

女性ホルモン(エストロゲン)へさらされる期間が長い

乳がんの発症はエストロゲンと密接に関連しています。エストロゲンにさらされている期間が長いほど乳がんの発症リスクが高まります。初経が早い、閉経が遅い、出産経験がない、授乳経験がないなどがリスクとなります。また、更年期障害に対するホルモン補充療法により乳がん発症リスクがわずかに高くなります。行うメリットとのバランスを考えて婦人科で行うかどうかを相談しましょう。併せて定期的な乳がん検診を行うことが大切です。また、経口避妊薬や低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬の使用により、乳がん発症リスクはわずかながら高くなる可能性があります。

遺伝

乳がんの5~10%は遺伝性であるといわれています。血縁のあるご家族に乳がんや卵巣がんの患者がいる場合、遺伝性の可能性があります。遺伝性乳がんの多くの人で、BRCA1遺伝子またはBRCA2遺伝子に病的バリアント(DNAの違い)がみられることがわかっています。この病的バリアントは50%の確率で親から子に伝わります。検査できる医療機関は限られますが、BRCA1、BRCA2病的バリアントの有無を調べる遺伝学的検査は採血で行うことができます。検査を行わなくとも遺伝性の可能性が高い場合、定期的な乳がん検診を行うことが大切です。

糖尿病

糖尿病は高インスリン血症、高血糖によって、がんの発症リスクが高くなる可能性があります。糖尿病の人は、糖尿病でない人と比べて、約1.3倍乳がんになりやすいといわれています。糖尿病と診断されている方は、定期的に乳腺科で乳がん検診をうけることが大切です。

増殖性の乳頭良性疾患がある

増殖性の乳腺良性疾患が乳がんの発症リスクを増加させることは確実です。増殖性の乳腺良性疾患とは、乳腺内の細胞が過剰に増えることによって生じる非がん性の状態です。これは乳がんではありませんが、乳腺の細胞が増えるため、しこりや異常な組織が形成されることがあります。特に「異型を伴う増殖性病変」がある場合は乳がん発症リスクが高いです。組織診でこのような診断になった場合は、乳腺科で慎重に経過観察を行います。

放射線被ばく

高線量の放射線被ばくや頻回のX線検査や胸部への放射線治療などの医療被ばくが乳がん発症リスクを高めることがわかっています。特に若年期に被ばくした場合にリスクが高くなります。病気の診断や治療のために必要な医療被ばくはやむを得ないですが、必要以上に被ばくしないことが大切です。

乳がんの予防法

運動

運動は性ホルモンに関与することが知られています。閉経後では、運動習慣が乳がん発症リスクを下げることがほぼ確実です。閉経前では高強度の運動をすることで乳がん発症リスクが低くなる可能性があります。閉経後の女性はウォーキングやジョギングなどの運動習慣をつけましょう。閉経前の女性も無理のない範囲でエアロビクス、サイクリング、水泳、テニス、ランニングなどの高強度の運動を行いましょう。

バランスの良い食生活

食事と乳がんの関連についてさまざまな研究がなされています。大豆食品やイソフラボンが乳がん発症リスクを下げる可能性があります。また、乳製品が乳がん発症リスクを下げる可能性が示されています。しかし、過度な摂取は逆にリスクを増加させる可能性があるので適度な摂取を心がけましょう。また、サプリメントの服用が乳がん発症リスクを減少させるという根拠もありません。食事からバランスよく栄養を摂ることが大切です。アルコールはリスクを高めるので、飲みすぎに注意しましょう。

禁煙

喫煙は乳がん発症リスクをほぼ確実に高めます。禁煙した時点から乳がんの発症リスクが低くなるため、なるべく早く禁煙しましょう。受動喫煙もリスクとなるため、ご自身だけでなく周りの人を守ることにもなります。

「乳がんになりやすい人」についてよくある質問

ここまで乳がんになりやすい人の特徴を紹介しました。ここでは「乳がんになりやすい人」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

乳がんになりにくい人の特徴について教えてください。

浅野 智子 医師

喫煙をせず、運動習慣、バランスの良い食習慣を心掛けることで乳がんになるリスクをおさえることができます。

乳がん発症のリスクを高める可能性のある食べ物について教えてください。

浅野 智子 医師

アルコールは乳がん発症リスクを高めることが確実といわれています。その他、乳がんの発症リスクとなると報告されている食べ物はありません。バランスの良い食生活を心掛けましょう。

編集部まとめ

乳がんになりやすい人の特徴、生活習慣、原因についてご紹介しました。乳がんの5~10%は遺伝性であるといわれていますが、多くは食生活などの環境要因が複雑に関わって発症していると考えられます。少しでもリスクを下げるために、喫煙や過度な飲酒は控え、バランスの取れた食生活と運動習慣を心がけましょう。そして、定期的な乳がん検診を行うことが大切です。

「乳がんになりやすい人」と関連する病気

「乳がんになりやすい人」と関連する病気は2個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

内分泌科の病気

糖尿病

婦人科の病気

卵巣がん

糖尿病がある場合、乳がん発症リスクが高くなる可能性があります。また、BRCA1またはBRCA2遺伝子の病的バリアントのある卵巣がんの場合、遺伝性乳がんを発症する可能性があります。

「乳がんになりやすい人」と関連する症状

「乳がんになりやすい人」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

乳房のしこり

血性乳頭分泌

乳頭乳輪のただれ

乳房の変形

皮膚の赤み

乳がんの症状として乳房のしこりなどがあります。これらの症状は、乳腺の良性疾患や皮膚腫瘍でも自覚する場合があります。自己判断せず、乳腺科を受診しましょう。

参考文献

乳癌診療ガイドライン2022年版(日本乳癌学会)

患者さんのための乳がん診療ガイドライン2023年版(出典先)