宝塚記念 レース写真

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 日中は重馬場で前残り。各ジョッキー外を選択というトラックバイアス。雨も小康状態だったのだが、ゲートインが行われているところで強めの雨に見舞われた。2年前のフランス凱旋門賞、あの時も直前に大雨が降り出して結果はご存知の通り。波乱を予感させるレースの幕開けだった。

 12番枠からスタートしてブローザホーンは後方から。1、2コーナーを回ったところではドウデュースと並ぶように外を追走していった。向こう正面でも馬場の良さそうな外目を通って1番人気馬の外をスムーズに追走。終始マークするような形で勝負どころでも大外を堂々と上がっていき、直線では外ラチ沿いから突き抜けた。

 ブローザホーンは戦績の通りで、不良馬場での実績、スタミナも十分、馬体重も最軽量で天候と馬場を味方に最高の騎乗で鞍上がエスコートした。もし牝馬なら凱旋門賞へと想像したくなる素晴らしい適性を発揮。嬉しいG1初制覇となった。

【動画】雨の宝塚記念…ドウデュースは敗れる重馬場巧者が上位を占める
宝塚記念・ソールオリエンスと横山武史騎手

 2着ソールオリエンスも重馬場巧者。2023年皐月賞で後方から強烈な差し脚を繰り出したのは記憶に新しいところ。母スキア、この血統にも重馬場には適性のある産駒が多いという印象だ。後方待機から坂の下りを使って勢いよく進出。ブローザホーンの後を続くように外から差し脚を伸ばした。勝ち馬には離されたものの、馬場も味方に状態も含めて復調の2着だった。

 3着べラジオオペラも大阪杯に続いて好走。この馬もスプリングステークスを重馬場で勝っている一頭。好位をマイペースで進んでいたが、3、4コーナー下りで外からローシャムパークに絡まれるような展開に。行かざる得ない形で早め先頭でも見せ場は作った。しぶとく粘ったが、後方待機勢にまとめて交わされてしまった。勝負どころでもう少しゆっくり下りたかったのが本音だろう。

 4着プラダリアも重で2勝と重馬場巧者。スローペースの2、3番手をスムーズな競馬。京都でも勝ち鞍があり、ここでの好走は不思議ではない。後続の早めの押し上げにもしっかりと踏ん張り、最後までしぶとく粘り込んだ。上位3頭とは馬場適性の微妙な差のように思える。

 5着ローシャムパークは3コーナー過ぎから先頭に押し上げていくかなり強気の競馬で進出。終始外外の展開で、トラックバイアスも鑑みてなのか、早めの押し切りを図ったものの押し上げきれずに直線でもジリジリとした伸びで5着。稍重では2勝を挙げており、他馬よりは適性があったようにも思う。現状の力は出し切っていたか。

ドウデュースは展開、馬場、噛み合わず
宝塚記念 レース写真

 そして1番人気ドウデュースはまさかの6着敗退。前半からいつものポジションであったが、終始絶好と言えるポジションには見えず。道中も外に出せる場面は4角あたりまでなく、前半から外にブローザホーン、勝負どころではソールオリエンスがポジションを取っており、一時最後方にまで下がる場面もあった。直線入口では進路を勢いよく内に切り替えて進出。一気に押し上げるかと思われたが、そこからの反応も今ひとつで伸びもジリジリとした形にとどまった。

 トラックバイアスも外伸びで、結果的に特に 1、2着馬は大外を進出での豪快な伸び脚。気分よく運べるなら馬場の良い大外という選択もあったのだろうが、勝負どころの手応え、既に余力としても厳しかったのではないか。距離ロス嫌って内から押し上げたにせよ直線ではあまり伸びていない。

 上がりを比べてみても 1、2着馬は34.0で伸びていったのに対して、ドウデュース自身は34.6を記録。ポジションを見ても伸び負けした形で、上位勢の成績と比較をすれば、明確な馬場適性の差があったことは想像出来る。「道悪のせいにはしたくない」と武豊騎手。この結果を経て、秋はどういう路線を進むのか競馬ファンの注目は高い。