Claris International Inc. は、ローコード開発プラットフォーム「Claris FileMaker 2024」の提供を開始した。Claris FileMaker 2024では、AIを利用することで、既存のデータをより活用できる検索方法を実現するほか、WebRTC(Web Real-Time Communication)に対応したことで音声や動画などのリアルタイム通信が可能になるなどの機能強化が図られている。



Claris FileMaker 2024では、大規模言語モデル(LLM)を使用し、検索対象について正確な知識がない場合でも、自然言語を用いた検索で関連性の高い検索結果を返す「セマンティック検索」が実行できる。Claris FileMakerのカスタム Appが持つデータの中でも、アンケートの自由記述欄に入力されたコメントやコールセンターでの顧客対応履歴の記録など、従来のテキスト一致検索では効果的な検索が難しかった場面で、求める結果がより得やすくなるという。セマンティック検索は、既存の、またはこれから作成するClaris FileMaker カスタム Appに容易に実装できるとのことだ。「Claris FileMaker 19」から、Appleの「Core ML」を使用してカスタム Appに機械学習を組み込み、高速なセンチメント分析、オブジェクト検出、顔検出、入力予測、話者識別などができるようになっていたが、今後は、AI(人工知能)と ML(機械学習)をあわせてビジネスで容易に展開できるように継続的に機能を強化していく。

また、AppleやGoogle、Microsoftなどが参画するオープンソースのプロジェクト「WebRTC(Web Real-Time Communication)」に対応したことにより、FileMaker カスタム Appの中で Web会議など、音声や映像を利用したリアルタイム通信をサポート。専用のアプリケーションやソフトウェアのインストール不要で、この機能を実装できる。

さらに、日本のユーザーのリクエストに応える形で「HTTPS トンネリング」を実装し、「Claris FileMaker Pro」および「Claris FileMaker Go」が「Claris FileMaker Server」と通信する際に使用するセキュリティポートを FileMaker専用の「5003」から 「443 (https)」に変更できるようになった。高いセキュリティレベルを確保するための一般的な対策の多くがhttps通信を前提としており、本機能強化によって、大規模ユーザーなど特に高いセキュリティ要件を求める組織においてFileMakerの導入が容易になる。Claris FileMaker Goでは、同じく日本のユーザーの要望で5つの新機能が採用されている。詳細はこちらをご覧いただきたい。

そのほか、 Data API、JSON、トランザクションをより効果的に活用するための機能をはじめ、高速かつ効率的にアプリケーション開発を行うための新機能、システム管理者のサーバー管理を簡素化し、より安全に展開するツールなど、さまざまな新機能を提供すると同時に、開発者からのフィードバックで得たパフォーマンス、互換性、信頼性に関連する約200の問題を修正している。

価格は、Claris FileMaker Cloudで利用する場合は1カ月あたり2,365円から(支払いは年単位、契約は5ユーザー以上より)となる。購入に際しては販売ページにアクセスし、希望のプランを選択する。無料評価版も用意しており、45日間の試用が可能(Claris Connectでも無料利用枠を用意している)。

オンプレミスのFileMaker Serverを利用する場合は、1ユーザー1カ月あたり1,936円から(支払いは年単位、契約は5ユーザー以上より)。

シングルライセンスはダウンロード版が69,696円で、アップグレードは41,800円。パッケージ製品およびDVD付きダウンロード製品は6月下旬の販売開始を予定している。