過去最高売り上げ…朝倉未来『ブレイキングダウン』一人勝ち 若者の“タイパ重視”で岐路に立つ格闘界

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格闘技界でも“時短ブーム”が到来するのか――。

格闘家・朝倉未来がCEOを務める1分間格闘技大会『ブレイキングダウン12』が6月2日、アリーナ立川立飛で行われた。

素人ケンカ自慢が集まり、1分間(延長あり)最強を決める大会。メーンイベントは元K-1王者の安保瑠輝也とRIZINヘビー級に出場するスダリオ剛が激突し、安保が44キロの体重差を覆し判定で勝利した。このほか、ブレイキングダウン常連の瓜田純士やこめお、昨年、ジャニー喜多川氏の性加害を告発したカウアン・オカモトなどが出場し、全23カードが目まぐるしく行われた。

同大会は会場で観戦することも可能だが、オンライン決済システムPPVでも観覧可能。関係者によれば、今大会は過去最高の売り上げを記録したという。

当然、主催者サイドはウハウハだ――。

朝倉が手掛ける事業は年商30億円以上で、個人の年収は

「10億円を超える」(格闘技関係者)

とも。最近も「工事の音がうるさい」という理由で、300平米の高級マンションから、家賃200万円の40階タワーマンションに引っ越したことで話題となった。

「ブレイキングダウン関連のYouTube動画も総じて驚異的な再生回数を記録しており、格闘系YouTuberでは一人勝ち状態。元K-1王者だった安保選手がブレイキングダウンにやって来たのも、シンプルに“人とお金が集まる場所”だからです」(格闘技ライター)

体重差のある安保VSスダリオはブレイキングダウンでしか実現しない一戦。今後はプロ格闘家の夢対決も定着させていくという。

「やっぱり金満な団体は選手にとっても魅力だと思いますよ。今大会メーンを飾った安保選手には朝倉CEOが試合後に100万円の追加ボーナスを提案していました。出場者が逮捕されるなど、何かと批判の多いブレイキングダウンですが、格闘界の台風の目になっていることは間違いありません」(同・格闘技ライター)

また、時代にもマッチした。

若い世代ではコスパならぬ「タイパ(タイムパフォーマンス)」が優先される傾向にある。YouTubeでは長尺の動画よりもショート動画が好まれ、日々のニュースはTikTokやX(旧ツイッター)で簡略的に入手する人が増えている。RIZINのようにプロ格闘家同士の間合いや駆け引きを楽しむ人がいる一方で、3分3ラウンドの試合ですら

「だらだらと長い」

という声があるのも事実だ。

そうなると、最も割を食いそうなのがプロレスだ。前座試合でも5分以内で終わるのは稀で、タイトルマッチともなれば「時間無制限1本勝負」や「60分1本勝負」で白熱した長期戦が繰り広げられることもザラだ。

そうした中、米国のプロレス団体「WWE」はSNSに特化した新たなブランド『WWE Speed』を設立。試合時間は3分もしくは5分。入場シーンはなく、試合はXのタイムライン上で完結する仕組みだ。

案の定、プロレスファンからは

「こんなものは認めない」

という声も上がっているが、若い世代には総じて好評だという。

「すべてのスポーツはファン層が時間とともに入れ替わっていきます。プロレスの60分1本勝負を耐えられる世代が減少し、ダイジェスト版のように数分で終わる試合を好む世代がこれからの主流になっていくことも考えられます。WWEの新たな取り組みはいずれ日本のプロレス界でも検討せざるを得ないでしょう」(スポーツ紙記者)

ブレイキングダウン12ではプロレスラーの飯伏幸太や女子プロ界のレジェンド・神取忍が審査員席に座った。直面する時代の変化に何を感じたのだろうか――。