熟成醤油ラーメン肉そばや丸源餃子などが名物の「丸源ラーメン」

写真拡大

 今や日本人の国民食になっており、子供からお年寄りまで大人気のラーメン。しかし、そのラーメン店の倒産が増えている。東京商工リサーチに調査によれば、2023年度のラーメン店の倒産(負債1000万円以上)は、63件(前年度比173.9%増)で、前年度の2.7倍増と大幅に増加、過去最多を大幅に更新した。
 ラーメン店は全国に約1万8000店舗あり、そのうち約半数が個人店(経済産業省の経済センサス活動調査)であり、需要は6000億円市場と推計される。需要の割に競合店が多く、競争が激しくなっているのだ。

◆資本力のない個人店の淘汰が進む

 資本金や従業員数の少ない個人企業のラーメン店も孤軍奮闘しているが、店を取り巻く環境が厳しく、存続が難しい状態である。物価上昇やエネルギーコストの上昇などの状況が変わらなければ、今後もさらに倒産件数の増加が予測される。

 各店とも、価格、正さ方法、麵やスープに使う独自の食材の工夫、トッピング内容などで差別化を図っているが、競争優位に立つのは難しそうだ。

 ラーメンはいわゆる「1000円の壁」があり、1000円未満と内的参照価格(消費者が頭の中で抱いている基準価格)で判断する人がまだ多く、値上げに躊躇する店が多い。そのため、採算割れする店が増えて、資本力のない個人店の淘汰が進んでいるのが実情である。

◆有名チェーンの動向は?丸千代山岡家

 ラーメン店にとっては、水道光熱費の上昇、円安影響も含めた原材料高、人手不足や人件費の高騰は経営を困難にしているが、ブランド力のある店は採算性を重視した値上げを順調に進められて利益を確保している。また、インバウンド客から見れば、海外と比較して安く、円安も加わって高い価値を評価しており、満足度が高いようだ。

 丸千代山岡家は1980年、お弁当屋のフランチャイズとして開業し、1年間ノウハウを習得したのち、直営店を展開。1988年に「ラーメン山岡家」をオープンし、極煮干し本舗、味噌ラーメン山岡家 煮干しラーメン山岡家、餃子の山岡家を運営。直近1年では店舗を11店も増やし、計185店を展開している(2024年4月時点)。

 セントラルキッチンを持たず、各店舗でスープを仕込んでいる。100店舗以上のラーメンチェーン店で、セントラルキッチンや濃縮スープを使わず、手作りによるスープの仕込みや、食材の店内調理を実施していることが大きな特徴であり強みとなっている。

 効率より効果を重視し、ラーメン好きのお客様の満足度を追求しているのが、他社との明確な差別化になっているようだ。店舗立地は主要国道沿いの大型駐車場を併設した店舗が中心となり、24時間営業を基本としている。新規客を常連化し、固定化させて絶対的な支持客を確保し顧客基盤が盤石なようだ。

◆最新の決算資料を見ると…

 2024年1月期の丸千代山岡家の決算資料を見ると、売上は、264億9400万円(前期比41.9%増) 経常利益は21億3200万円(前期比266.1%増)である。経常利益率8%を達成し、過去最高を更新するなど業績を伸長させている。コロナ収束後の人流復活の恩恵を受け、曜日・時間帯を問わず、来店客数が前期比32.5%と大幅に増えている。

 この客数の増加は営業基盤の盤石さを物語っているようだ。原価率は低く28.2%、人件費は34.0%と若干高め、外食の重視する指標であるFLコスト(原価+人件費)は62.2%と理想の60%を少し超えているが、売上が伸びた分の変動費の増加だからそう問題ではないと思う。

 売上・利益とも好調に推移しており、先行きが明るいようだ。財務の安定性も、自己資本比率34.6%あるから大丈夫である。

【丸千代山岡家の決算(2023年1月期〜2024年1月期】