海保知里さん

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海保知里さんインタビュー第4回

 かつて「サンデージャポン」や「はなまるマーケット」などの人気番組を担当した元TBSアナウンサー海保知里さん(48)。気さくで愛らしいキャラクターで“アイドル”的な人気を誇った。当時は「女子アナ」という言葉がもてはやされたが、時代は変わり、世の中での受け止められ方も変化している。海保さんの目にはどう映っているのか。(インタビュー第4回・全4回)

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 最近、「女子アナ」という言葉に注目が集まった。米大リーグ、ドジャースの大谷翔平が結婚を発表した時のことだ。当初、相手が伝えられなかったため、「一体、誰なのか」と関心が 高まった。後に、相手が元バスケット選手の田中真美子さんと判明すると、「女子アナじゃなくてよかった」との声が上がったのだ。

海保知里さん

 なぜ、女子アナウンサーに対して、ここまで厳しい目が向けられるようになってしまったのか。

「これまでの女性アナウンサーたちによって作り上げられた“女性アナウンサー像”というのがあると思うんです。それが一人歩きして、イメージが悪化しているようには感じます」

 かつて、「女子アナ」といえば、タレント以上に華があり、憧れの存在だった。今も知名度、存在感は抜群なのだが、最近は徐々に微妙な立場になってきているのかもしれない。

「私がずっと心がけていたのは、制作サイドの“パイプライン”役になることでした。どうやったら、番組がうまく成立するのか。ただ、制作サイドからは『もうちょっとこういう洋服を着てほしい』という要望も出てくる。そういう格好をすると男性視聴者を釘付けにできるからです。でも、私はそういうジャンルではなかったですが(笑)」

制作サイドから要求も

 出演していた「はなまるマーケット」では、海保さんが外国人俳優や監督にインタビューすることもあった。

「制作サイドからは、専門的な話よりももう少し柔らかい話を聞いてくれという要望がきたこともあります。そのほうが視聴者の興味を引くからです。映画の内容や映画論を聞いて放送しても、響かないことも多い。それよりも、食べ物のことや日本についての印象とか、柔らかい質問に答えてもらったほうが、興味を持たれるんです。そうした場面が切り抜かれて、軽いイメージに繋がっているのかもしれません」

 女子アナウンサーがタレントのように扱われるようになったのは、1980〜90年代くらいから。海保さんが活躍した2000年代は、“女子アナブーム”のピークともいっていい。

「この何十年かの間で、アナウンサーをタレント化してしまったという側面はあると思います。『私たち、ただの会社員なんです』という思いと、『テレビに出ている者として、制作サイドが求めるものを作らなきゃ』という思いで葛藤してきました。そうした部分は今も変わっていないと思います」

 TBS在籍時、児童用英語教材のDVDを作る仕事があり、キャンディという英語のお姉さんを務めたことがあった。当初の衣装はポロシャツだったが、撮影当日に渡されたのが、両肩が出たノースリーブで背中部分がパックリ開いた衣装だった。

「露出が多かったので、私が戸惑っていたら、スタッフがみんな で相談を始めたんです。教材の冒頭ではダンスシーンがあって、振付師の方や子役の子どもたちも来て練習していました。着るのが恥ずかしいと断れる状況ではなかった。でも、出来上がったVTRを見たら健康的でいやらしくなく、その世界観には合っていたので、結果的に良かったです」

 テレビの現場は、作り手と伝え手が試行錯誤しながら、どうしたら視聴者の目に留まるのか、切磋琢磨しているのは間違いなさそうだ。

デイリー新潮編集部