「イノウエは世界最高ではない」ネリ、完敗の井上尚弥に“未練” 米メディアでまさかの負け惜しみ「それほど強くなかった」

井上にとことん打ちのめされたネリ。しかし、試合後はいつもの饒舌ぶりだ。(C)CoCoKARAnext

「怪物」の牙城は崩せなかった。だが、敗者となった男は“舌好調”だ。

　東京ドームで行われたプロボクシングのメガ興行から一夜明けた5月7日、スーパーバンタム級の4団体統一王者の井上尚弥（大橋）に6回TKO負けを喫した元世界2階級制覇王者のルイス・ネリ（メキシコ）は、米ボクシング専門サイト『Boxing Scene』で決戦を振り返っている。

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　列島を沸かせたメガ興行はネリという「ヒール役」なしでは成り立たなかったのではないか。1ラウンドに井上に左フックを浴びせ、プロアマを通じて初のダウンを奪った29歳のメキシカンの存在は、この試合の価値を高める要因だと言えた。

　ただ、2ラウンド目からのネリは防戦一方。井上に冷静なジャブから組み立て直されると、2回、5回とカウンターの左フックでダウン。6ラウンドにはロープ際に追い詰められ、右ストレートを被弾。力なくキャンバスに沈んだ。

　試合後、ネリは病院に直行。予定されていた記者会見はキャンセルされた。そうしたなかで、一夜が明け、宿泊ホテルで『Boxing Scene』のインタビューを受けた悪童は、「気分はいい。まだまだやれるとわかっていたので少し悔しい。自分の力を発揮して1ラウンドでイノウエを倒すことができてうれしい」と回答。会場を騒然とさせた一撃を自画自賛した。

　一方で無敗の王者から喫したダウンシーンについては、「ああ、もう終わりだと思っていたけど自分のパワーを感じることができなかった」と悔やむ。そんなネリは、2ラウンド目から戦術を変えた井上を「俺を翻弄し、俺の頭の中に入り込み、ファイトスタイルを変えて動き回った」と称賛。そして、悔恨の念に駆られている。

「とてもいい選手だとは思う。信じられないほどのスピードを持っているが、それほど強さがある選手ではなかった。今でも俺はイノウエが世界最高の選手ではないと思っている。あいつはパウンド・フォー・パウンドでベストの選手ではないよ」

　敗れた悔しさを隠そうとはしないネリ。だが、「これからは“悪童の”イメージを捨てるのか？」という問いには、こう切り返している。

「いや、俺は相変わらずの悪童だよ。昨日の試合で俺はそれを示したろ。俺は(スティーブン・)フルトンや、他のやつらのように逃げ回るために日本に来たわけではない。戦いに勝つために来たんだ」

　すでに自らのXでフェザー級への転級を示唆している。井上との再戦に「もちろんチャンスが与えられるならいつでもやる」と意欲を示す男は、「イノウエは間違いなく、あの階級（フェザー級）でも何かを成し遂げられる」と太鼓判を押している。

　こうした言動を見るに、ネリの井上に対する“未練”は拭えていないのかもしれない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]