開幕から1か月、ドラフト1位選手の状況は? 度会隆輝のインパクト、「東都神セブン」は明暗分かれる
度会(左)や西舘(右)らが存在感をアピールしている(C)TakamotoTOKUHARA/CoCoKARAnex、(C)産経新聞社
3月29日に開幕したプロ野球は早くも1か月が経過。今回は各球団のドラフト1位選手について、ここまでの動向をまとめてみたい(成績は4月29日現在)。
【動画】これが見たかった!ドラ1度会が高梨から豪快な満塁弾を放ったシーン
■濃い1か月を過ごした度会
新人ながら、プロ野球ファンの注目を最も集めたと言っても過言でないだろう。DeNAのドラフト1位・度会隆輝(社会人・ENEOSより入団)のことである。
卓越した打撃センスと天真爛漫さに溢れる21歳の左打者は、オープン戦首位打者の勢いそのままに、開幕戦から「1番・ライト」の座を確保。開幕戦からいきなり2試合連発の離れ業を見せ、その後不振で一時8番に下がるも4月26日の巨人戦では左腕リリーバーの高梨雄平から満塁弾をマーク。数字以上に強烈なインパクトを残している。
上記の満塁弾の際、度会が涙をグッとこらえる表情が印象的だった。お立ち台でも決め台詞の「サイコーでぇす!!!」を言わずに、淡々と感謝を述べた。怖いもの知らずのルーキーが「プロ野球選手」になった瞬間なのかもしれない。改めて、濃い1か月を過ごしたのだと思う。
■武内、西舘勇が好調の一方で…
今季のドラ1には東都大学リーグの好投手が7名いる。人呼んで「東都神セブン」。開幕から1軍で活躍する者もいれば、いきなり苦境に立たされる者もいる。
3球団競合の末に國學院大から西武へ入団した左腕・武内夏暉は、4月3日のオリックス戦で初登板初勝利。山下舜平大を向こうに回し、7回1安打無失点の快投を演じた。ここまでは3試合に先発し、防御率2.14。全ての登板で7回を投げきり、QS率は100%だ。
中央大から巨人に入団した西舘勇陽は、リリーフの適性を見出され、勝ちパターンを担っている。デビューから10試合連続無失点と抜群の内容を見せ、同時に10試合連続ホールドの新人最多タイ記録を達成。早くもチームに欠かせない存在となっている。
1軍デビューを果たしたのはこの2名で、他の5名はこれからという状況だ。最速158キロを誇る細野晴希(東洋大→日本ハム)は、4月20日のオイシックス戦(鎌スタ)で2軍戦ながら初登板初先発。1回無失点と無難にデビュー戦をこなした。
青山学院大のエースだった常廣羽也斗(広島)、専修大で主戦を張った西舘昂汰(ヤクルト)は入団直後のコンディション不良で調整が遅れている。今後の巻き返しに期待したい。そして、下村海翔(青山学院大→阪神)と草加勝(亜細亜大→中日)はトミー・ジョン手術を受け、来季以降のデビューを目指す。
■ソフトバンク・前田悠伍は3軍で初先発
高校ナンバーワン左腕だった前田悠伍(大阪桐蔭高→ソフトバンク)は、4月20日の2軍・広島戦(タマスタ筑後)でプロ初登板。失策が絡み1回2失点の内容だった。翌週の3軍韓国遠征では初先発に挑戦し、高陽ヒーローズを相手に3回無失点の好投を見せている。
前田と同じく高卒ドラ1の横山聖哉(上田西高→オリックス)は4月中旬に2軍デビューを果たし、打率.348、5打点の好成績をマーク。WBC戦士・郄橋宏斗(中日)から走者一掃の適時打を放つなど、将来が楽しみな大型遊撃手だ。
ロッテのドラフト1位・上田希由翔は、明治大の4番打者を務めた勝負強さを早速1軍でも発揮している。4月2日に昇格すると、4日のソフトバンク戦(ペイペイ)で初安打、12日の楽天戦(楽天モバイルパーク)で初打点。次は初本塁打を見たい。
桐蔭横浜大から楽天に入団したサウスポー・古謝樹は2軍で「無双」中。防御率(0.86)、勝利(3勝)、奪三振(38個)でリーグトップを走っている。出どころの見にくいテークバックから投げ込む速球は威力抜群。1軍デビューの日はそう遠くないだろう。
[文:尾張はじめ]