インターネット通販大手のAmazonでは、顧客の利便性向上のために返品の際の手続きやルールを簡便化しています。しかし、Amazonマーケットプレイスでは、出品者に対しジャンク品を返送する「詐欺返品」が相次いでいることが報告されています。

Amazon Sellers Plagued by Surge in Scam Returns - WSJ

https://www.wsj.com/business/retail/amazon-sellers-plagued-by-surge-in-scam-returns-04c86665



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https://www.pymnts.com/amazon/2024/amazon-merchants-battle-wave-of-bogus-returns/

Amazonでは効率的な配送システムの構築と顧客の満足度向上のために、返品の際の手続きを簡便化しています。しかし、この取り組みがマーケットプレイスの出品者への大きな負担となっていることが指摘されています。

実際にAmazonマーケットプレイスでアパレル製品を販売していたニコール・バートン氏は、有名アパレルブランド「コーチ」の財布を販売した購入者から無名ブランドの財布が返送されてきたり、ナイキのサッカー用スパイクがビーチサンダルになって返ってきたりとの被害を受けていました。

このような「使用済みの石けんが返品されてきた」「ナイキの帽子を販売したはずなのに、ナイキのステッカーが貼られた薄汚れた帽子が送られてきた」といった被害はインターネット上で多数報告されています。



返品詐欺被害を受けた場合、出品者はAmazonに申し立てを行います。しかし海外メディアのウォール・ストリート・ジャーナルによると、Amazonによる処理には数週間を要し、たとえAmazonがこの申し立てを受理したとしても全額が返ってこないケースもあるため、時間と労力の割に合わないことが多いとのこと。バートン氏もAmazonに助けを求めましたが、やはり事態は解決しませんでした。その後バートン氏は自身のマーケットプレイスをペット用品などの消耗品の販売に切り替えることで、詐欺返品被害を大幅に減少させることに成功しています。

基本的にこのような返品詐欺は、故意に出品者をだまそうとする個人と、オンラインフォーラムで不正な返品の方法について学んだ大規模なネットワークを持つ詐欺師グループの両方から行われます。アメリカ最大のオンラインショッピングプラットフォームであるAmazonは、返品詐欺の大きな標的となっています。

Amazonの広報担当者は「同社はAmazonでの不正な返品を容認していません」と述べ、不正返品問題を専門とするチームを雇用するなど、不正の発見と防止に多額の投資を実施していることや、出品者が不正返品被害を報告した際に補償を行うサービスも提供していることを報告しています。また、Amazonは2023年に「REKK」と呼ばれる国際的な返品詐欺グループに対して法的措置を取っています。

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しかし、全米小売業協会(NRF)は「返品詐欺が私たちの業界にとっての大きな問題になっています」と指摘しました。NRFによると、2023年に受けた返品の約13.7％は不正なもので、小売業者の損失総額は1010億ドル(約15兆円)に上るそうです。NRFは「近年ではより多くの消費者がオンラインショッピングを利用していますが、それにつれて返品詐欺が増加しています。Amazonは返品詐欺を防止するのに十分な対策を講じていません」と批判しました。

Amazonのジェフ・ベゾスCEOは2004年頃に「何よりも、返品に関しては顧客のニーズを第一に考えなければなりません。その上でシステムとデータを駆使して悪質なユーザーを摘発する必要があります」と述べました。しかし、Amazonの元副社長であるケイシー・ロイ氏は「当時は出品者と顧客のニーズのバランスを取るのは簡単でした。しかし、Amazonが巨大なオンラインショッピングプラットフォームに成長し、自動化が進むにつれてこのバランスを取るのは非常に難しくなっています」と指摘しました。