スバルの最新「コンパクトSUV」がスゴい! 過酷な状況でもびくともしない!? 「クロストレック」の悪路での実力はどんなもの?
クロストレックで雪道を走ってみた!
スバルの「安心と愉しさ」はどこから感じられるのか、それを知るにはリアルワールドはもちろんですが、とくに日常よりもちょっと過酷なシーンで走らせるのが一番です。
そこで今回はクロスオーバーSUVシリーズの末っ子「クロストレック」で青森の様々な道を走ってきました。
といっても、暖冬の影響もあって雪はまばらで、場所によっては舗装路面が顔を出す箇所も。ただ、時々刻々と変わるコンディションのほうが、クルマの素性はわかりやすいので好都合です。
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クロストレックについて少しだけおさらいを。現行モデルは2022年に登場。従来は「XV」と呼ばれていましたが、世代交代に合わせて世界統一ネームに変更されました。
クロストレックとは「クロスオーバー」と「トレッキング」の造語で、「アーバンからアウトドアまでどこにでも行け、トレッキングのようにカジュアルにアクティビティを楽しんでほしい」という想いが込められています。
ボディサイズは、扱いやすい全長4480mm×全幅1800mm×全高1580mm(ルーフレール無は1550mm)ながらも、スバルのSUVシリーズのなかで最もダイナミックかつスマートなスタイルで、個性的だけど目立ち過ぎない絶妙なバランスが嬉しいところです。
インテリアは大型センターインフォメーションディスプレイを中央に配した新世代スバル共通のインターフェイス。もう少しアソビ心があってもいいかなとも感じられるのですが、機能性は非常に高いといえます。
後方に向けて絞り込んだキャビン、低いルーフラインなどで後席の居住性やラゲッジスペースが犠牲になっているように思われがちですが、パッケージの工夫で先代同等のスペースを確保。
今回は、大人3人の荷物+雪道のレスキューセットを積んだコンテナ(約20L)を楽々収納することができました。
パワートレインは2リッター自然吸気エンジン(145馬力/188Nm)+1モーター(10馬力/65Nm)の「e-BOXER」。
ハードは先代と変わっていませんが制御を刷新(第3世代)しており、モーターをより積極的に活用にする味付けで、アクセル開度が少なめかつ3000rpmくらいまでの過渡領域では確実に力強さは増しています。
ただ、ハイブリッド車にも関わらず燃費はそこそこ。もう少し頑張ってほしい所でしょう。
シャシ系はフルインナーフレーム構造のスバルグローバルプラットフォーム(SGP)に加えて、2ピニオン式の電動パワーステアリングなど、上級モデルと同じアイテムを惜しみなく投入。
タイヤは、標準装着はオールシーズンタイヤですが、今回はスタッドレスタイヤ(ヨコハマ・アイスガードG075)を装着しました。
視界の良さが「安心と愉しさ」につながるわけとは?
1月という冬本番の青森ながら、街中や幹線道路には雪はなくドライ路面です。
クロストレックは、コンパクトモデルとは思えない直進性の高さや、無駄な姿勢変化を抑えたボディコントロール、4輪を効果的に使って曲がるコーナリング、最低地上高200mmを感じさせない一体感の高さなど、クロスオーバーという枕詞が不要なくらいのレベルを備えたハンドリングを見せてくれ、スタッドレスタイヤと組み合わせてもほぼ変わりません。
厳密にいえば、スタッドレスタイヤ特有のヨレや応答遅れが無いわけではありませんが、ドライバーが丁寧な操作を心がければ気にならないレベルです。
山岳部に登るにつれて路面はだんだん狭くなる上に、路面は雪がまばらに積もった状態に。しかも、雪がちらちらと舞い始めました。普段の走行よりも緊張感が増しますが、そんな状況でも不安より安心感のほうが上回ります。
多くの人は、スバル車のシャシ性能やAWDシステムに目がいきがちですが、それに匹敵する大きな要因のひとつが「視界の良さ」です。
スバルでは「0次安全」と呼んでおり、視界の良さや運転が疲れないパッケージを性能のひとつと認識し、徹底してこだわっています。
その理由は、道も風景も真っ白な雪道をはじめとする厳しい場所での瞬時の状況判断は、直接視界に勝るものはないからです。
ちなみにクロストレックはハッチバックの「インプレッサ」よりも着座位置が高いため、より遠くまで見渡しやすい所も強みとなっています。
雪道が舗装路面より滑りやすいのは言わずもがな、そんな路面でもクロストレックはドライバーの意図通りに素直に曲がってくれます。
雪道で一番不安な下りコーナーでは「アンダーステアが出たらどうしよう」とアウト側になかなか寄せられず、イン側を走る人が多いですが、クロストレックはタイヤのグリップ感がドライバーにわかりやすく伝わるので、安心してアウト側ギリギリのラインに余裕で寄せることが可能です。
これこそが、シンメトリカルAWDとフルインナーフレーム構造SGPの実力になります。要するに4つのタイヤにグリップを効果的かつ最大限に発揮させることができるフットワークというわけです。
クルマが信頼できると、自然と走りも楽しくなります。それこそがスバルの提唱する「安心と愉しさ」の本質です。
これは決してカタログなどのスペックでは表わすことができない部分ですが、実際に乗ると一目瞭然。
雪道の長時間ドライブは普段より疲れを感じやすいものですが、クロストレックならそれも最小限に抑えられます。
「疲れにくい」→「ミスをしにくい」→「安全運転」に繋がるのです。
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ちなみに今回の試乗会でスバルのスタッフに「このまま東京へ戻ってもいいですか?」と聞いたのは本当の話。
それほどクロストレックは疲れにくく、どんな状況でも安全に走ることができるクロスオーバーSUVだったというわけです。