TikTok禁止法案が下院で可決、一方でTikTokは「アメリカ経済に240億ドルの貢献」とアピール
アメリカの連邦議会下院で「外国の敵が管理するアプリケーションからアメリカ国民を守るための法案」が可決しました。法案ではTikTokが名指しで非難されており、TikTokを運営するByteDanceはアメリカ国内で事業を売却しなければTikTokの運営を禁止されることとなります。
TikTok ban moves forward as House passes bill; fight shifts to Senate
Live updates: House passes bill that could lead to US ban of TikTok
https://edition.cnn.com/politics/live-news/tiktok-ban-bill-house-vote-03-13-24/index.html
China says TikTok ban would 'come back to bite' the US - BBC News
https://www.bbc.com/news/world-us-canada-68554075
Oxford Economics Reports: TikTok Contributed $24 Billion to U.S. Economy in 2023 | TikTok Newsroom
https://newsroom.tiktok.com/en-us/tiktok-economic-impact-report-2024-smb
「外国の敵が管理するアプリケーションからアメリカ国民を守るための法案」は2024年3月5日(火)に提出された法案で、「『外国の敵対者の支配下にあるアプリケーション』に対して、敵対者との関係を断たない限りアメリカ国内でのアプリストアおよびウェブホスティングサービスの利用禁止する」というものです。法案では「外国の敵対者の支配下にあるアプリケーション」の事例として中国企業のByteDanceが運営するTikTokが挙げられており、実質的にTikTokを禁止するための法案として注目を集めていました。
TikTokをホスティングするアプリストアを罰する法案が登場 - GIGAZINE
当然、TikTokは法案に反対の姿勢を示しており、法案が提出された直後にはTikTokのアプリ画面上に「議会に電話して規制法に反対しよう」という通知が表示され、電話が殺到したことにより国会議事堂の電話回線がパンクする事態が発生しました。しかし、TikTokの対応は逆に議会の反感を招く結果となり、2024年3月7日(木)には下院エネルギー・商業委員会で「法案を推進する」という方針が50対0の全会一致で可決。さらに翌日にはジョー・バイデン大統領が「もしも法案が可決された場合、私はこの法案に署名するつもりです」と発言し、法案の支持を表明しました。
そして、2024年3月13日(水)には下院で法案の審議が行われ、352対65の賛成多数で可決しました。なお、反対票の内訳は民主党議員が50票で共和党議員が15票です。
法案には「ByteDanceに対して法案成立から165日以内にTikTokおよびTikTokに関連するアプリケーションの売却を義務付ける」「アプリストアが『外国の敵対者の支配下にあるアプリケーション』の配布を続けた場合、アプリストアに対して当該アプリケーションに『アクセスおよびアップデート』したアメリカ人ユーザー1人当たり5000ドルの罰金を科す」という条項が含まれており、今後のByteDanceやアプリ配布プラットフォームの対応へ注目が集まっています。
一方で、TikTokは2024年3月14日(木)に「TikTokは2023年だけでアメリカのGDPに242億ドル(約3兆5700億円)も貢献した」「TikTokを用いる企業によって22万4000件の雇用が生まれた」といった調査結果を公開し、アメリカ経済への貢献をアピールしています。
また、中国外務省の汪文斌報道官は下院での採決に先立って「TikTokが国家安全保障を脅かすという証拠は見つかっていない」「公正な競争を阻害するこの種の行為は、企業の正常な活動を阻害し、国際投資家の信頼を損ない、正常な国際貿易秩序を損なう。最終的に、これはアメリカ自身に跳ね返ることになる」と述べ、法案を非難していました。
なお、TikTokを巡っては、2023年3月11日(月)にドナルド・トランプ氏が「TikTokがなければFacebookはより大きくなる。Facebookは国民の敵だと考えている」と発言し、TikTokを擁護するような姿勢を示したことも話題となっています。
ドナルド・トランプが「TikTokを禁止すると国民の敵Facebookに力を与えてしまう」と発言 - GIGAZINE
また、Activiision BlizzardでCEOを務めた経歴を持つボビー・コティック氏がTikTokの買収を検討していることも報じられています。
Activiision Blizzardの元CEOがTikTokの買収を検討中であることが報じられる - GIGAZINE