©︎IMAGO/Sven Simon

 今週末より再開されるブンデスリーガ第17節では、試合会場のすべてのスタジアムにおいて先日に他界した、フランツ・ベッケンバウアー氏を偲び1分間の黙祷が捧げられ、さらに喪章も着用してプレー。またバイエルンではウォーミングアップにてベッケンバウアー氏の背番号5を身につけており、同氏が歌った『Gute Freunde kann niemand trennen〜良き友は決して引き離される事などない』はこの時、そしてホッフェンハイム戦での3得点目が決まったときにも併せて演奏されていた。その時に選手たちが着ていた試合用ユニフォームには、「ダンケ、フランツ」の文字が刻まれており、サイン入りで試合後にオークションへと出品。収益はフランツ・ベッケンバウアー財団に寄付されるという。アリアンツアレナは前夜からこの試合で人々が帰宅する午前0時まで、「ダンケ、フランツ」の文字と共に点灯され続けた。

 トーマス・ミュラーは「彼はまさにレジェンド。だからこそこの試合で全力で勝利を掴み、彼に敬意を示したかったんだ。それは僕たちはできたと思う。直接、彼がプレーする勇姿を目にできなかったことは残念だよ。でも彼の歩みから僕は本当に多くのことを学んできたんだ」と述べ、「人生についても、サッカーについても、共に勝利を収める喜びの大切さも。フランツはまさに模範的存在でありつづける人物だよ。彼なしでバイエルン・ミュンヘンという組織が存在しただろうか。それは誰にもわからない。僕たちにもたらしてくれた、そのことへの感謝の気持ちを示したいけど、良い言葉はなかなかみつからないんだ」と語っている。

ホッフェンハイムが守備力で奮闘

 なお試合自体はバイエルンの未来を担うジャマル・ムシアラが幸先よく先制弾を決めるも、コンパクトな守備で対峙するホッフェンハイムを相手に大半で苦戦を強いられており、「活発で意欲に満ちた素晴らしい準備を今週行えていた」と自信をのぞかせていたトゥヘル監督も、試合後には「まだ意欲や喜び、貪欲さという点でプレーに反映されていないし、一貫性の欠如が見られる。決して喜べるような内容ではない」と勝利後にも渋い表情を浮かべた。ミュラーも「軽快さが少し不足していたと思う。ただホッフェンハイムのように引いて守られると打開は決して容易なものではないし、ときに泥臭さも感じてしまう勝利かもしれないけど、それでも僕たちはいい仕事はしていたといえるんじゃないかな」と総括。

 ただトゥヘル監督は「それでも逆の展開になる可能性もあったわけで、特に3つの絶好期で決められずに済んだのだから」と2度のバイアーの好機とクラマリッチとの場面を指摘する。逆に試合後、ホッフェンハイムのバイアーは「最初は好セーブに阻まれたとはいえ、(ポストを叩いた)2度目は自分が情けなかった。あそこで追いついたら展開は違ったはずだ」と悔しさをみせ、マタラッツォ監督は「最終的には3失点したが、それでも守備に関しては良い前進は見られたのではないか」と評価、GKバウマンも「この試合はいけたと思う。今季前半戦は好調だったし、その勢いの乗ってこれた。かなりよかったし収穫もたくさんある」と前を向いた。

トゥヘル監督「ベストプレーヤーはジャマル」

 結局ホッフェンハイムにトドメを刺したのが、またしてもムシアラだった。追加点で再びチームは息を吹き返しており、指揮官も「今日は確実にジャマルがベストプレーヤーさ!彼だけが伸び伸びと、意欲と喜びをもってプレーできていたよ」と絶賛。逆にそのムシアラに2度お膳立てしたリロイ・サネについては「もっとフィジカルにプレーしていかないと。まだスプリント面などで伸びしろがある。彼は国際舞台も含めて決定的な存在になれる資質をもっているが、でもまだ十分とはいえないよ」更なる高みを要求。それでも改めてトゥヘル監督は、チーム全体について「何もすべてが悪かったといっているのではない」とも強調。「引き続き我々は取り組みをつづけていかなくてはならないっということ。もっともっと我々は強くなれるんだ」と、これからポルトガルで迎えるミニ合宿を前に更なる飛躍を期した。

ダイアーのポリバレントさに期待

 なお先日に獲得を発表したばかりのエリック・ダイアーについて、この日はメンバー外だったが「昨夜にサインしたばかりだよ。それでメンバー入りすれば過度な盛り上がりもみせるだろう。だからそれはやらないようにした。少し我慢も必要だ」と述べ、この日はあくまで個別調整に終始し土曜からチームと合流する予定となっているとのこと。特にキム・ミンジェがアジア杯で不在のため、29歳のイングランド代表ディフェンダーには「さっそく」戦列に加わる可能性は十分にあるだろう。今季は実戦経験での不足があるとはいえ経験豊富なベテランは3バックや4バックでのCBに加え、ボランチでもプレー可能。「仮に5人で守り切りたいときに、ゴレツカを敢えて下げるような必要もなくなるだろう」との考えもみせている。