⾧野中央西地区の「未来につなぐ・人をつなぐ・門前都市ながの」を目指した「つなぐ」をテーマにしたまちづくり
長野市の市街地にある⾧野中央西地区は、⻑野駅から新田町交差点周辺までの中央通りを軸としたエリアです。長野市では「⻑野中央⻄地区市街地総合再生基本計画」を策定し、官民連携で魅力あるまちづくりを進めています。今回は「⻑野中央⻄地区市街地総合再生基本計画」の概要や重点プロジェクトについてレポートします。
⾧野中央西地区の特徴
長野中央西地区は、「長野駅周辺エリア」「新田町交差点エリア」の2つの拠点と、市街地の各エリアを結ぶ「中央通り」を有します。北は善光寺、南は⻑野駅、東に市役所、⻄に県庁と、行政・商業・観光・居住機能などの多様な都市機能が集まる中心市街地のメインエリアであり、魅力とにぎわいを生み出すまちの玄関口としての役割や、市民活動と情報発信により中心市街地の結節点となる地域としての役割が期待される、非常に重要なエリアです。
中心市街地のまちづくりの方向性は?
長野市も他の地方都市と同様に、老朽化した建物や低未利用地の増加による都市機能の更新が課題になっています。そのうえで、中心市街地全体の利便性や魅力、価値をより高めていこうと、下記の4点を目標にまちづくりを進めています。
1.まちなか観光「行きたくなるまち」
2.まちなか居住「住みたくなるまち」
3.まちなか回遊「巡りたくなるまち」
4.まちなか交流「交わりたくなるまち」
暮らしをより豊かに、快適に
鉄道が整備される以前から、善光寺の門前町として発展した長野市。明治期の鉄道整備と大正期の中央通りの拡幅整備により、現在の中心市街地の基礎が形成されていきました。また、昭和30年代(1955年~1964年)には、市役所や市民会館が現在の場所に整備されたほか、百貨店・大型店がオープンするなど、商業集積地としても発展しました。平成10(1998)年には⻑野オリンピックが開催され、表彰式会場として「セントラルスクゥエア」が整備されました(駐車場としての活用を経て、令和2(2020年)には憩い・活動の場となる都市公園として整備・活用されています)。平成19年頃までには、郊外にあったSBC信越放送と地元関係者が一体となって開発した複合施設「TOiGO(トイーゴ)」や、大型店撤退後のビルを長野市が取得してリノベーションした「もんぜんぷら座」がオープンし、市民の活動拠点としても活用されるようになりました。
アクセシビリティの向上
平成27(2015)年には北陸新幹線の金沢延伸に伴って北陸圏からのアクセシビリティが向上、長野駅舎がリニューアルするなど、まちの魅力が高まりました。まちなかには四季折々に楽しめる植栽やベンチ等が整備され、歩行者のための癒しの空間づくりが行われています。今後は、居心地の良さに配慮し、これまで以上に人を中心としたまちづくりを進めるための「中央通りウォーカブル推進事業」や、長野駅前のにぎわい創出に向けた「⻑野駅前 B-1 地区市街地再開発事業」といった重点プロジェクトも計画されています。
オープンスペースでワクワクするまちに
「中央通りウォーカブル推進事業」では、歩行者の利便性と快適性を高めながら「歩きたくなるまち」づくりが始動しています。具体的には商業施設などの民有地と歩道のオープンスペース化、建物低層部のオープン化等を進め、人にとって居心地のよい空間をつくるとともに、その場所を活用したイベントの実施などを想定しています。オープンスペースとは、誰でも無償で自由に交流・滞在できる場所であり、多様な人たちのコミュニケーションが生まれる場所になるものです。
もうひとつの重点プロジェクト「⻑野駅前 B-1 地区市街地再開発事業」についても見てみましょう。このプロジェクトは、⻑野駅前・表参道入口としての「区域の顔づくり(魅力づくり)」や「賑わい(人の流れ)の創出」、そして、「安心・安全な街づくり」をコンセプトにしています。事業予定エリアは長野駅寄りの中央通りの一角、0.6haほどのエリアになります。店舗、事務所、共同住宅といった用途のほかオープンスペース等も設け、多くの人々が集い、交流できるような活用方法を想定しています。
住民主体のまちづくりによる「まちの多機能化」
中央通りでは「善光寺花回廊~ながの花フェスタ~」(4月下旬~5月上旬)など大規模なイベントが季節ごとに開催されています。
まとめ
今回は「⻑野中央⻄地区市街地総合再生基本計画」の概要や周辺エリアを含めたまちづくりについて紹介しました。今回紹介したプロジェクト以外にも、多様な人々の交流支援を促す取り組みやオープンスペースの創出などといった、このエリアの特有性を活かした官民連携の取り組みを推進していく方向です。歩いて楽しく、魅力的なモノ・コト・ヒトに出会える⻑野中央⻄地区。持続可能な共生社会へ向けて、新たなまちの動きに期待をしていきたいですね。
※計画やプロジェクトの内容は2023年11月現在のものであり、今後、変更になる可能性もあります。