Googleは検索エンジンやブラウザ、広告出稿サービスなどインターネットに関するさまざまなサービスを展開しています。そんなGoogleが「検索エンジン市場を違法に独占している」として、アメリカ司法省から訴えられているのですが、この訴訟の中でGoogleは2021年にブラウザのデフォルトの検索エンジンになるために263億ドル(約3兆9400億円)もの資金を投じていたことが明らかになりました。

Google paid $26.3 billion in 2021 to be the default search for Apple, Firefox, and more - The Verge

https://www.theverge.com/2023/10/27/23934961/google-antitrust-trial-defaults-search-deal-26-3-billion



インターネットを使って何かしらのコンテンツを閲覧する際に使用するのがウェブブラウザと検索エンジンです。Googleは独自のブラウザとしてChromeを開発・提供しており、統計ツール・Statcounterのデータによるとブラウザ市場におけるChromeのシェアは2023年9月時点で63.45%です。当然、Chromeではデフォルトの検索エンジンにGoogle検索が設定されています。

Source: StatCounter Global Stats - Browser Market Share

ブラウザにはChrome以外にも複数の選択肢が存在しますが、GoogleはAppleデバイスのデフォルトブラウザとして知られているSafariでデフォルトの検索エンジンをGoogle検索にしてもらうために、2020年に40〜70億ドル(当時のレートで約4300〜7500億円)をAppleに支払ったことが明らかになっています。

「GoogleがiPhoneのデフォルト検索エンジンになるために支払った金額」が独禁法訴訟で言及されてAppleの弁護士が抗議 - GIGAZINE



Googleが検索エンジン市場において独占禁止法に違反しているか否かを審理するこの裁判では、新たにGoogleが複数のブラウザやスマートフォン、プラットフォームでGoogle検索をデフォルトの検索エンジンにしてもらうために、2021年に総額263億ドルという大金を支払っていたことが明らかになりました。

これはGoogle検索の責任者であるプラバカール・ラグァヴァン氏に対する尋問時に明かされた数字です。この数字は2023年10月の第4週の初めにGoogleおよびアメリカ司法省、裁判を担当するアミット・メータ判事との間で具体的な数字を公開するか議論が行われたのち、公表されました。メータ判事は裁判全体でさらなる情報開示を求めており、今回の情報も公に共有されるべき重要な新情報のひとつであったと説明しています。

なお、Googleの親会社であるAlphabetは、Google検索の広告ビジネスが2022年に約1650億ドル(約24兆7000億円)の売上を記録したと報告しているため、単純計算で1年間の広告収益の約16%をGoogle検索がデフォルトの検索エンジンになることに費やしていると海外メディアのThe Vergeは指摘しました。



2021年にGoogleがデフォルトの検索エンジンになるために費やした263億ドルのうち、ほとんどがAppleへの支払いに費やされています。The New York Timesは「Safariのデフォルト検索エンジンになるためにGoogleは2021年に約180億ドル(約2兆6900億円)を支払った」と報じています。

GoogleはGoogle検索をFirefoxのデフォルト検索エンジンにするために開発元のMozillaに支払いを行っており、他にもSamsungのGalaxy端末のデフォルトの検索エンジンになるためにも資金を投じている模様。この他、Google検索をデフォルトの検索エンジンにするべくデバイスメーカーや無線通信事業者、プラットフォーマーとも契約を結び、資金を支払っているそうです。

ラグァヴァン氏はGoogleがTikTokやChatGPTといったアプリ・サービスの登場で、常にユーザーを失う危険にさらされていると証言したところから、あらゆるデバイスやサービスでデフォルトの検索エンジンになることがどれだけ重要かについて語りました。ラグァヴァン氏はYelpやAmazonといったサービスもGoogleの競合相手であるとして、熾烈な争いを続ける市場においてGoogleはさまざまなプラットフォームと関連性を維持し、競合するには「できる限りのことをしなければいけない」ならないとも述べました。