レーティング世界一位に輝くイクイノックスもヘイローのクロスを持つ(撮影:下野雄規)

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【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆知っておきたい! 血統表でよく見る名馬

【ヘイロー】

 現役時代にアメリカで芝G1を勝ったものの、ダート競馬が主体のアメリカでは目立つ存在ではありませんでした。ただ、その当時売り出し中だったノーザンダンサーの従兄弟にあたる良血だったこともあり、種牡馬として成功。1983、89年の二度、北米チャンピオンサイアーの座についています。エキセントリックな気性、アメリカ馬らしくない細身の馬体は、その父ヘイルトゥリーズン譲り。サンデーサイレンスを筆頭に、グッバイヘイロー、サザンヘイロー、グローリアスソング、その全弟デヴィルズバッグなど、多くの一流馬を出しました。芝・ダート兼用の中距離向きスピードが持ち味で、激しい気性を伝えます。サンデーサイレンスを経ないヘイロー系はパワフルなタイプも珍しくありませんが、サンデー系は芝向きがほとんど。たとえば、サンデーを介したヘイローのクロスは日本向きのスピードや素軽さを表現しやすい配合パターンです。

◆血統に関する疑問にズバリ回答!

「なぜ非根幹距離が得意な種牡馬がいるの?」

 根幹距離とは400mで割り切れる距離、非根幹距離は割り切れない距離のことです。1400m、1800m、2200mなどは非根幹距離です。GIレースは根幹距離で行われることが多く、非根幹距離のGIは、2500mの有馬記念をはじめ5レースしかありません。

 個人的に、根幹距離・非根幹距離という概念を、自分の血統論に持ち込んだことはありません。かなりザックリとしたとらえ方ではありますが、非根幹距離は小回りコースや癖のあるコースに設定されていることが多いので、たとえばスピードの持続力や器用さを武器とするタイプはそうした条件を得意とするでしょう。ダイワメジャーなどは、芝1200m、芝1600m、芝2000mよりも、芝1400m、芝1800mのほうが連対率が優れています。ただ、こうした種牡馬であっても、たとえばサドラーズウェルズを入れて底力を強化すれば、マイル戦の大舞台でも十分戦えます。父だけで判断するのではなく、配合全体を眺めて適性を見極めることが重要でしょう。