新潟2歳Sを勝利したアスコリピチェーノ(撮影:小金井邦祥)

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【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆血統で振り返る新潟2歳S

【Pick Up】アスコリピチェーノ:1着

 道中は中団に構え、直線で外に持ち出すと、逃げ粘るショウナンマヌエラをゴール前でとらえました。

 父ダイワメジャーは2歳戦の強さに定評がある種牡馬で、2015年にはディープインパクトを抑えて2歳種牡馬ランキングのトップに立ちました。

 母アスコルティはタッチングスピーチ(ローズS)、サトノルークス(菊花賞2着)などの半姉で、2代母リッスンはサドラーズウェルズの娘。母方にサドラーズウェルズを持つダイワメジャー産駒は成功しており、これまでJRAの2歳GIを制したメジャーエンブレム、アドマイヤマーズ、レシステンシアの3頭は、すべてこのパターンから誕生しています。

 ダイワメジャー産駒の2歳牝馬にはもう1頭、ボンドガールという大物候補がいますが、実績面ではアスコリピチェーノが一歩リードしました。2歳GIを獲ってもおかしくない配合構成の持ち主なので、今後のさらなる成長が期待されます。

◆血統で振り返るキーンランドC

【Pick Up】シナモンスティック:2着

 8番人気ながら2着に逃げ粘りました。7月以降3戦目で、それでも使い減りするどころか自己最高馬体重を更新。よほど体調がいいのでしょう。デビュー戦から34kgも成長しています。

 函館2歳Sを勝ったリンゴアメ(父マツリダゴッホ)の半妹。父ジョーカプチーノは、その父マンハッタンカフェとは似ても似つかないスピード型で、洋芝向きの特長を備えています。

 3代母メイワキミコは、不良馬場の皐月賞を制したハワイアンイメージの半姉にあたる良血で、スプリンターズSを2回制し、現役生活を通じて3回レコード勝ちを果たしました。ギャラントマンを父に持つ持込馬だけあってパワーにも秀でており、1977年に中山ダ1200mで樹立した1分09秒2というレコードタイムは21年間破られませんでした。

 シナモンスティックは、3勝クラスまで出世したマイネサヴァラン(父マンハッタンカフェ)の4分の3妹でもあります。同馬は不良馬場で2、3着となった経験がある道悪巧者。シナモンスティックは前走までの18戦、すべて良馬場でしたが、潜在的な道悪適性が高かったということでしょう。