超豪華キャストとド派手アクションで魅せる胸アツ人間愛!ディズニープラス史上、最大級の規模で描く『ムービング』が話題沸騰中

現在、ディズニー公式動画配信サービス「Disney+(ディズニープラス)」のコンテンツブランド「スター」で独占配信中のドラマ『ムービング』が反響を呼んでいる。韓国の人気ウェブ漫画を実写化した本作は、特殊能力を隠して生きる3組の親子が、謎の組織との闘いに挑んでいくアクションヒーロードラマ。ディズニープラス史上、最大級の制作費が投入され、豪華キャストが集結したことでも話題になった。
早くもドラマの魅力にハマってしまった韓流ライターとKstyle編集長が対談を実施。推しキャラ、推しキャスト、そして後半の見どころまで熱く語り合った。


◆ストーリー
 体が宙に浮く特殊な能力を隠し、母とふたりで平凡に暮らす高校3年生のボンソク(イ・ジョンハ)。母ミヒョン(ハン・ヒョジュ)は、ボンソクの体質が世間に知られないよう、厳しく自己管理させてきた。ある日、ボンソクのクラスにヒス(コ・ユンジョン)という女子生徒が転校してくる。

 ヒスは、チキン店を開業したばかりの父ジュウォン(リュ・スンリョン)を気遣い、塾代のかからない体育大学への進学を決意する。放課後、毎日トレーニングに励むヒスと、彼女をそっとサポートするボンソク。ある時、ヒスの目の前で宙に浮いてしまったボンソクは生まれて初めて秘密を打ち明ける。実はヒスにも自然治癒能力という特別な体質があった。互いに秘密を共有し合ったふたりは親しくなっていくが、学級委員長のガンフン(キム・ドフン)がヒスに意味深な視線を向けてきて……。
 
 一方その頃、かつて安全企画部の特殊要員だった人物が次々と暗殺され、ミヒョンとジュウォンは、胸騒ぎを覚える。彼らには子どもたちも知らない過去があった――。

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韓国版アベンジャーズ!?豪華すぎるキャストに高まる期待





野田:ハン・ヒョジュ、チョ・インソン、チャ・テヒョンと、豪華スターが揃いましたね! 高山さんは、このキャスティングを聞いたとき、どう思いましたか?

高山:この3人だけでも驚きでしたが、リュ・スンリョンとリュ・スンボムも参戦するということで、「韓国版『アベンジャーズ』がはじまっちゃう!?」と思わせてくれるテンションでした。最近はOTTサービスが増えた影響もあってか、宇宙に行ったり怪物が出てきたり、能力系だったりとSFジャンルの領域が増えてきたじゃないですか。そんななか、特殊能力を持った人たちのアクションヒーロードラマと聞いて、彼らがどんな演技をしてくれるのか、期待せずにはいられなかったです。



野田:私は原作漫画を読んだことがあったので、豪華キャストが発表されたとき、すごい力の入れ具合! と思いました。ただ、漫画のイラストのイメージからはハン・ヒョジュやチョ・インソンが高校生の親を演じるとは想像がつかず「誰がどのキャラ? どこに出てくるの?」と、疑問符だらけだったんです。だからハン・ヒョジュが、主人公ボンソクの母親、ミヒョン役で登場したときは、一瞬、目を疑っちゃいましたね。

高山:確かに高校生のお母さんというのは意表を突かれますよね。

野田:中盤に独身時代のエピソードが出てきますが、そこはやっぱり、きれいで凛としていて。このためにキャスティングされたのかなと思いました。

高山:チョ・インソンは、ボンソクの父親ドゥシク役、つまりハン・ヒョジュとは夫婦の設定ですが、久々のドラマ復帰が話題になりましたね。



野田:2016年の『ディア・マイ・フレンズ』以来ですね。前半、なかなか出てこないので、今か今かと待っていたのですが、8話でいきなり飛行機と同じ速さで登場したときは、度肝を抜かれました(笑)。おもに過去のエピソードに登場するキャラでしたね。キレのいいアクションあり、甘く切ない恋愛あり、40代の男の色香がダダ洩れしていて、ファンとしては嬉しかったです。

高山:ヒスの父親ジュウォン役で登場するのはベテラン俳優のリュ・スンリョン。彼はこれまで泣かせる役から悪役まで、しっかり地に足の着いた役が多かったですよね。幅広い役をこなす俳優ですが、能力系キャラのイメージはなかったので、かえって新鮮でした。

野田:確かにそうですね。私はむしろ、リュ・スンリョンがチキンを揚げている姿に映画『エクストリーム・ジョブ』を思い出して、ニヤけてしまいました(笑)。狙ったわけではないと思いますが、反応した人も多いのでは? お店にかかってきた電話に「死んでも新鮮なフレッシュチキンです」と真顔で応答する台詞には、思わず噴き出しましたよ(笑)。



高山:ハマり役と言えば、暗殺者フランクを演じたリュ・スンボムもですね。彼がドラマに出演するというだけでも驚きでしたが、「映画ではなく、ドラマでいったい何をしてくれるの!?」と最初から期待値高めでした。高校生たちのほのぼのとしたシーンのあとにフランクが現れると、突然、ハードなシーンが繰り広げられて、ゾクゾクせずにはいられなかったです。彼のアクションは、韓国ノワールややくざ映画っぽさがあり、スリル満点。想像以上に激しくて本格的だったので、アクションが好きな方には楽しみポイントになるんじゃないでしょうか。

野田:フランクは原作にはないオリジナルキャラクターなんです。今回、漫画原作者であるカンフルさんがドラマの脚本も手がけたのですが、「フランクはリュ・スンボムさんしかいない!」と、最初から彼が演じることを念頭に置いて書いたそうですよ。フランクが醸し出すあの不穏な空気は完全にスリラー。怖すぎました(笑)。



高山:ドラマには3組の親子が出てきますが、そのひとり、学級委員長ガンフンの父ジェマン役のキム・ソンギュンも印象的でした。彼は『応答せよ1994』『恋のスケッチ〜応答せよ1988〜』などで韓ドラファンにはおなじみですが、最近では『D.P.-脱走兵追跡官-』のシーズン2がはじまって、さらに顔を広めましたね。

野田:ジェマンは、他人とコミュニケーションを取ることが苦手ですが、心はとてもピュアなお父さん。後半にガンフンが幼い頃のエピソードが出てきますが、息子に対する純粋で深い愛情に泣かされました!

高山:ジェマンの特殊能力は、その屈託ない笑顔とは真逆の怪力パワーです。家族を守るために、咄嗟的な行動を取ってしまうキャラなので、いきなり横跳びしてバスにしがみついたり、地下水道で水しぶきをあげながら闘ったり、突然、豹変していろんなことしてくれます(笑)。その俊敏な動きはまさに『ハルク』『アベンジャーズ』のようなアメリカンコミック系! ディズニー作品らしさを感じました。

旬な若手俳優も集結!高校生のフレッシュなエピソード





野田:高校生を演じた若手俳優たちも、それぞれによかったですよね。初めての友だち、恋の芽生え、親との葛藤、進路の不安。フレッシュ感がみなぎっていました。

高山:特によかったのはヒロイン、ヒス役を演じたコ・ユンジョンです。『還魂2』のときは、時代劇衣装にメイクもしていて、まるで天女のように透明感のあるイメージでした。本作では前髪をばっさりおろし、肌の質感やもっちり感など、ナチュラルな役作りで高校生を演じていたので、最初、気づかなかったんです。てっきり「コ・ユンジョンに似た若手女優が出てきたな」と思っていたら、本人でした(笑)。



野田:コ・ユンジョンは天衣無縫の美しさがありますよね。体育着姿も似合っていました。1996年生まれで、同い年の女優だとムン・ガヨン、キム・セジョンがいます。彼女たちに続くブレイク女優になりそうですね。

高山:同じく子ども世代の主人公ボンソクを演じたイ・ジョンハは、どこかで見たような気もしつつ、初めて知った俳優なので、とても新鮮でした。気になってプロフィールを追ったりしましたが、2017年にはオーディション番組『The Unit〜アイドル再起プロジェクト』にも出ていたんですね。



野田:ドラマでは『それでも僕らは走り続ける』や『わかっていても』に出演していました。『わかっていても』は、出演量はごくわずかですが、年下男子役としてヒロインと印象的なやりとりがあり、「なんて純朴で可愛い青年なの〜」と思っていました(笑)。『ムービング』では役作りのためか前作より少しふっくらとしているので、よりあどけない印象。キャラとしての純真さと一生懸命さが際立っていて、キューンときました(笑)。ボンソクが腹筋運動するヒスの足を押さえてあげるシーン、韓ドラあるある場面ですが、やっぱりドキドキしちゃいます。

高山:高校生役ではほかにも、ガンフン役のキム・ドフン、ギス役のシン・ジェフィら20代の俳優たちが出演しています。それぞれに初々しさをしっかり反映させていて、役作りの徹底ぶりを感じました。コ・ユンジョン以外は、ほぼ初めて見た俳優だったのですが、回を追うごとに愛着が湧いてきて、キャラとともに俳優として好きになっていけたのもドラマの醍醐味ですね。

推しキャラは?超S級特殊能力に大興奮





野田:韓流スターからベテラン勢、旬の若手キャストと贅沢なキャスティングで楽しませてくれる『ムービング』ですが、推しキャラでいうと誰ですか?

高山:魅力的なキャラが多いので悩ましいですが、リュ・スンリョンが演じたジュウォンですね。職と住まいを転々としながら、男手ひとつで苦労してヒスを育てたお父さん。大学受験を控えたヒスのためにソウルで始めたのがチキン店ですが、なかなかお客さんが来なくて、しょんぼり待ちぼうけをくらうクスっとさせるところも含めて、ぐっとくるシーンが多かったんですよね。

野田:全編通してみると、主人公はチャン・ジュウォンとも言えますよね。



高山:安全企画部に所属していた過去のエピソードもよかったです。最初はミヒョンとドゥシクが互いに意識し合っていることに気づかず、自分だけ蚊帳の外でちょっと拗ねたりしていて。次第に脇で静かに見守る姿勢を見せていくのも、演者がリュ・スンリョンなだけに新鮮でした。さらに遡ったエピソードでは、当たり屋でお金を稼ぎ、無敵の怪物としてやくざ組織に買われていた独身時代も描かれます。一方で、ヒスが生まれる前の恋模様もあり、紆余曲折、壮絶な人生を経て、今にたどり着いたことが徐々に分かってくるので、余計に感情移入してしまいます。ジュウォンの人生だけで一本の映画が作れそうですね。

野田:私の推しキャラは、チャ・テヒョンが演じたイナズママンことケドです。彼は静電気を発生させる特殊能力の持ち主ですが、チャ・テヒョンが登場する度に、ほっと安らいでしまう、あの感覚はなんなのでしょう!?

高山:それは私たちが『猟奇的な彼女』の頃から、刷り込まれているからでは!?



野田:なるほど! まさにそれです!(笑)。ケドは、イナズママンといって、日本でいう「うたのお兄さん」スーパーヒーロー版のような役者の仕事をしているのですが、舞台上でもバリバリ静電気を発生させちゃうので、危なっかしくて解雇されてしまいます。再就職先もなく、「自分は誰にも必要とされていない」と自暴自棄に追い込まれていくのですが、ある日、ふとしたことで自分の能力が困っている人の役に立ち、それがきっかけでバスの運転手に採用されます。彼のように社会で孤立していく人を取り上げ、「人生何があるかわからない、諦めちゃいけない」というメッセージを投げかけてくれたのは、心がぽっと温まりました。父親が殺されて、数日のあいだ仕事を休んで復帰した日には、常連客のボンソクが乗車際に「姿が見えなかったので心配でした」と、何気なく声をかけるんですね。ケドは、自分が他人から心配される人間であることが嬉しくて涙ぐむのですが、これが実にジーンとくるよいシーンでした。

高山:感動的でしたよね。そしてケドといえば、子役を演じたのはキム・ジュン君! 可愛かったですね。

野田:『賢い医師生活』のウジュ君! ワンシーンでしたが、出てきたときは嬉しかったですよね。幼稚園児役から小学生役に成長していたのも乙です。もちろん愛らしさは健在。癒されました。



高山:推しキャラのほかに、推し能力についても語らせてください! 終盤に登場するある人物ですが、その人の特殊能力が、もうぶっ飛びすぎていて(笑)。こんな隠し玉を出されたら、こっちはどう戦えばいいの? こんなのありなの!? という超S級特殊能力を使ってきました。あれは、漫画ならではの発想。しかも決戦の場が学校なので……どうなっちゃうの!? と、いい意味で裏切られました。最後の最後までワクワクさせられます。

野田:あの特殊能力は原作には出てこないんですよ! もしかしたらドラマのほうがもっと漫画チックなのかも?(笑)。さすが、ディズニープラス史上、最大級のスケールと言われるだけありますね。ちなみに私の推し能力は、ヒス親子やフランクのような治癒能力。怪我しても傷が一瞬で治っちゃうなんて、無敵すぎます!

特殊能力の裏に隠れた親と子の苦悩と愛





高山:この作品で描かれる特殊能力は、みんなが羨み、憧れるスーパーヒーローという単純な描き方ではなく、生きづらさの象徴となっているのが特徴ですよね。
ちょうどこれから配信されていく回で、親世代の過去が明らかになりますが、高校生と親たちは、ただ平凡に生きていたいだけ。そんな彼らの背後に巨大な敵が見え隠れして、謎の勢力に巻き込まれていくのは、なんだか可哀そうでした。いったい彼らは、何に追われて、何と闘っているんだろうと、はっきりわからない恐ろしさがあり、後半以降も続きが気になる展開でした。いろんな伏線が出てくるので、どこに繋がり、どうやって回収されていくのか、最後まで細かく見ていきたくなるんですよね。

野田:予告映像をみると、飛ぶわ、撃つわ、爆破するわと、壮大なアクションサスペンスに思えるのですが、実際には親子愛、人間愛がかなり濃厚に描かれています。高校生ふたりの恋と成長の物語もあり、これぞ韓国ドラマ! というヒューマニスティックな作風だったのが意外でした。



高山:それぞれの家族の物語には、ぐっと刺さる台詞も多かったですよね。家族愛、友情、人間愛、いろんな愛の形があふれていました。特殊能力をもった子どもたちが、生きていくうえでの葛藤や苦悩に晒され、そこに恋や友情が生まれる。またそんな子たちを親が必死に守ろうとする。様々なヒューマン要素が散りばめられていました。

野田:特殊能力は、一般的には羨ましいと思われる能力かもしれませんが、能力を持つがゆえに命を狙われたり、普通の暮らしができなかったり、孤立するしかなかったり。社会で生きづらさを感じている人たち、疎外されている人たちにスポットを当てる優しいドラマだなと感じました。特殊能力はあくまでも個性への比喩であって、多様性の理解、共生社会へのメッセージを盛り込んでいますよね。



高山:宙に浮いてしまう自分を、ずっと変人だと思い込んできたボンソクが、生まれて初めて、ヒスに秘密を打ち明けたとき、ヒスは「変じゃないよ。ちょっと違っていて、特別なだけ」と言ってくれます。メッセージが込められた素敵な台詞でしたね。

野田:そんなヒスにも、人に言えない秘密=体質があって、ふたりは秘密と苦しさを分かち合うことで絆を深めていくんですよね。ネガティブな思い込みから解放されて、互いに成長していけたのは胸アツでした。

高山:成長でいえば、高校生になったボンソクが、はじめて母親ミヒョンに反発するシーンが印象的です。学校でヒスが危険な目に遭ったとき、助けられなかったことが悔しくて「いつも母さんは、僕を縛り付けて押さえつけていた! 本当だったら僕だって飛べるのに! 助けられたのに!」と泣いて。もちろん母親は、息子のためにと能力を封印させてきたのですが、ボンソクに守りたいものができてからは、もう抑えることができません。これを機に能力を開花させていくボンソクが、大切な人を守ることができる人間に成長していく過程は感動的でした。

多様性の理解、共生社会へのメッセージ





野田:私は、第2話に登場する精肉店のシーンが印象的でした。ボンソクがまだ幼い頃、ミヒョンはボンソクが宙に浮かないように、おんぶ紐でがっちり固定しておぶって歩くのですが、そんな姿を見たお店のおばさんはボソッと「その子、障害でもあるの?」と。ミヒョンは怒って「障害はありません。もし本当にあったらどうするんですか?」と突っかかります。ちょうどそこにおばさんの息子が帰ってくるんですが、その子には障害があって……。ミヒョンは我が子が特別な視線で見られたことに嫌悪感を抱くのですが、おばさんは、しっかりと我が子の特性を受け入れ、自然に接していました。

高山:絶妙な描き方ですよね。

野田:何が子どものためなのか、子育ての真髄が散りばめられているようで、身につまされます。精肉店のおばさんの台詞は本当に秀逸で、おんぶ紐からはみ出しそうなボンソクと、ミヒョンの疲れきった表情を見て「子どもが窮屈そうだよ。お母さんも手放したら楽になるよ」と諭してあげていました。あのシーンは、子育てに悩んだことがある人には沁みるのではないでしょうか。



高山:ガンフン親子のエピソードもよかったです。父ジェフンは、どんなことがあっても息子との約束を必ず守ろうとするんです。この時間に帰ると言ったら必ず帰る。子どもは言葉通りに受け取るので、帰りをちゃんと待っています。そんなシーンを見ると、些細なことでも、子どもとの約束は守らないといけないなと気づかされます。『ムービング』に出てくるお父さん、お母さんたちは、みんな子どもとの向き合い方がとても真摯。だからこそ、感じ入ることが多かったです。その究極は「子どものためなら怪物にもなれる」というフレーズですね。一貫性のあるテーマになっていました。親、子、友だち、同僚を守るためなら能力を惜しみなく使おうとするのが、このドラマの特殊能力者たちです。

野田:能力を隠してこそ生きていける彼らにとって、ある意味、皮肉なことですよね。これも第2話ですが、幼いボンソクが、いばってヒーロー気取りする友だちを負かそうと、高い場所から飛び降りるエピソードがあります。ミヒョンは「大事なのは共感力。人の気持ちを傷つけるなんて英雄じゃない!」と叱りつけます。彼らの能力は、人を傷つけるため、殺めるためではなく、愛する人を守るためにあるというテーマが、ドラマの根底に脈々と流れています。



高山:今、社会が抱える話題や課題をいくつも投げかけてくれますよね。ヒスが転校するきっかけになった高校のいじめ事件も印象に残りました。誰もがいじめを黙認するなかで、勇気を出して助けようとしても、自分だけが悪者扱いされて学校を追い出される理不尽さ。

野田:勇気を出して告発しても、別の人がターゲットになるだけで「高3だから、黙ってやりすごすのがいちばんいいんだ」なんて言われてしまいます。正義をふりかざしたところで、誰の幸せにもならない。罪悪感や自己満足ではなんの解決にもならない、ちっぽけな自分を突きつけられるエピソードでしたね。

高山:それでも、転校先で友だちができたこと、一緒に学食を食べる姿には救われる思いでした。いじめられていた子が、ヒスを追って転校してきたのも感動的でしたね。そう、このドラマにはちゃんと救いがあるんです。だから、続けて見たくなってしまいます。

愛と助け合いを描いた深い人間愛!エンドロールの後も必見





野田:現在は、中盤まで配信されていますが、今後、後半からラストに向かってどんな点が見どころになりそうでしょう。

高山:家族の物語から始まり、学校、国を背負った組織、極秘ミッション、国と国……と回を追うごとに描く規模が大きくなり、ハードなシーンも増えていきます。チラチラと小出しにされていた学校の謎が一気に解けていきますね。

野田:学校には、怪しい人物が満載でしたよね! 子どもたちを守りたい人と利用したい人が入り混じっているようでした。

高山:中盤から後半は、3人の親の過去を中心に描かれますが、再び現代のタイムラインに戻ってきてからは、親世代をつなぐ組織の脅威と、それとはまた違った巨大な闇勢力が子ども世代に覆いかぶさり、ラストの壮大な闘いに繋がっていきます。それぞれの特殊能力をもった人たちの「総力決戦」は、空中戦、頭脳戦、地上戦、なんでもありと見応えありますよ。

野田:そこにまた、さまざまな立場の人たちの細かい物語が紡がれるのが泣かせますよね。ただ闘っているのではなく、彼らがいまここでこうしているのには理由や背景があり、そこにも切ないエピソードが……。能力者でもなく、怪物でもなく、組織や国のためでなく、結局は人間対人間の、愛と助け合い、パートナーシップの物語を描きたかったのかなと思いました。私にとって『ムービング』は、深い人間愛のドラマでした。
ちなみに、最終話のエンドロールが流れた後も、とても大事なシーンがありますので、見逃さないでほしいところです!



(執筆:野田智代)

【プロフィール】
■野田智代(のだともよ)
韓流編集者・ライター。90年代の韓国留学経験を活かし、様々な韓国情報誌を歴任。現在は韓流自分史プロデューサーの肩書で、韓流ファンの想い出を1冊にまとめる「韓流自分史・メモリアルブック」制作サービスを展開中。配信ラジオ「韓LOVEステーション」パーソナリティ。YouTube番組「韓流プロフェッショナル」運営。

■Kstyle編集長 高山(たかやま)
2011年のWebサイト立ち上げから携わり、数々のアーティスト、俳優にインタビューを実施。Kstyleを中心にインタビューやコラム、LINE LIVE、YouTubeコンテンツを企画。10年以上韓国エンターテインメントに携わる。


■配信情報
『ムービング』
ディズニープラス スターにて8月9日(水)独占配信開始
全20話/初回7話まで一挙配信、8話以降は毎週水曜2話ずつ配信
<キャスト>
リュ・スンリョン『エクストリーム・ジョブ』『バトル・オーシャン 海上決戦』
ハン・ヒョジュ 『トンイ』『W-君と僕の世界-』『ビューティー・インサイド』
チョ・インソン 『その冬、風が吹く』『安市城 グレート・バトル』『モガディシュ 脱出までの14日間』
イ・ジョンハ 『わかっていても』
コ・ユンジョン 『還魂2』『Sweet Home−俺と世界の絶望−』
キム・ドフン 『今日のウェブトゥーン』『フェイスレス 顔のないボス』
監督:パク・インジェ、パク・ユンソ『ザ・メイヤー 特別市民』『キングダム2』
脚本:Kang Full
■関連リンク
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