リアル幼馴染の距離感に乾杯ーータイ俳優フォース・ジーラチャポン&ブック・カシデットと、二人のデビュー作『Enchanté』から振り返る
デビュー作『Enchanté(アンシャンテ)』、続く主演作『A Boss and a Babe』で魅せたチャーミングな演技で不動の人気を獲得した、タイの人気俳優、フォース・ジーラチャポンとブック・カシデット。彼らにとって日本初となるファンミーティング 『Force Book 1st Fan Meeting in Japan』が、7月16日(日)、横浜新都市ホールで開催された。それに先立ち、来日間もないフォース&ブックにインタビューを敢行! ファンミーティングに懸ける意気込みや、ファンへの想い、ドラマ撮影時の裏話などをたっぷりと語ってくれた。さらに後半にはファンミーティングのレポートも。This is フォース&ブック! ぜひ、最後までお読みください。
フォース、ブック
――ようこそ日本へ! タイ本国のみならず、アジア各国で人気を博すお二人ですが、今回、日本でファンミーティングを開催すると聞いた時、どう思われました?
フォース:とても嬉しかったです。大好きな日本でファンミーティングができるなんて、最高に幸せです。僕らのイベントに参加するため、日本のファンの方々が、タイまで来てくれていることを知っていたので、「いつか僕たちが会いに行こう」と思っていました。その思いが叶い、今回やっと来ることができて本当に嬉しいです。時間の許す限り、日本のファンの皆さんと一緒にいたいです。
ブック:僕も同じ気持ちです。本当に嬉しいです。ファンの皆さんのおかげで日本に来ることができました。僕たちがファンミーティングを開催することで、日本のファンの皆さんが喜んでくれたら、僕たちも幸せです。実は僕、海外旅行自体が初めてで、最初に行きたい国ランキング第1位が日本だったんです。この機会で来ることができました(笑)! ずっと居たいです。
フォース、ブック
――私たちもずっと居てほしい気持ちです。ここでお二人のキャリアを振り返っていきたいのですが、幼なじみだったのですよね? 幼稚園から高校まで同じだったと聞いています。
フォース:そうです。初めて話すエピソードがあるといいのだけれど…… 全部話しちゃってるな(笑)! 今はシュッとしていますが、子どもの頃のブックは、柔らかくてふわふわしている印象でした。
ブック:同じ学校には通っていましたが、クラスが違うしグループも違ったので、あまり交流がありませんでした。時々話したりしていたかな? いずれにしても、今ほど濃密な付き合いではなかった。だからGMMTV(所属事務所兼テレビ制作会社)で再会したときはとてもビックリしました。
フォース:(再会した)その日は『Enchanté』の相手役を紹介してもらう大切な日だったので、朝からとても緊張していました。事務所でドキドキしながら待っていたら、向こうから相手役が近づいてきて、パッと見たらブックでしょ? 「オーマイガーット!」って叫びました(笑)。
――それぞれ叫びながらの再会だったのですね(笑)。幼馴染だけれど少し離れている期間もあったなんて、まさに『Enchanté』のストーリーと同じじゃないですか。
フォース:『Enchanté』のことは、全部覚えています。僕たちを成長させてくれた大切な作品です。
ブック:撮影当時、僕らはデビューしたばかりで、無我夢中で日々を過ごしていました。ワンシーン、ワンシーンが目の前でクルクル動いていく感じ。パラパラ漫画みたいにね。戸惑うことも多かったけれど、全部を二人で一緒に乗り越えたという気持ちがとても強いです。
フォース:強烈に覚えているシーンが2つあります。屋上でのキスシーンと、アートギャラリーでのキスシーンです。特にアートギャラリーの場面は、外で雨が降っているあの感覚も一緒に覚えています。
ブック:僕も初めてのキスシーンだったし、アートギャラリーでの撮影は忘れられないですね。役者として挑戦したシーンです。僕たちの挑戦を気に入ってくれる人がいたら嬉しいです。
フォース、ブック
――主演2作目となる『A Boss and a Babe』のお話も聞かせてください。日本のファンは親しみを込めて「ボスベブ」と呼んでいます。
フォース・ブック:ボスべ……ボスベブ! 言えた! ボスベブー(笑)。
フォース:日本で人気があると聞いてはいましたが、本当にたくさんの日本人が観てくれていますか(笑)? 本当に?
――もちろん! 本当です!
フォース:やったー! 嬉しいです!
ブック:(日本語で)ボスベブ、かわいい(笑)。
――すごい! もう覚えているなんて、さすがです! 『ボスベブ』では、ニュー・シワット監督と初めてお仕事をされましたね。
ブック:P’ニュー(ニュー監督)は、プライベートでも一緒に遊んだことがあるくらい大好きな、なんでも話せる監督です。ボスベブの撮影初日、僕はとてもナーバスでした。僕が演じたシェーをどのように表現すればいいのか、考えれば考えるほどわからなくなってしまって。現場に入ってもシェーを掴めず、緊張を通り越しパニックに近い状況でした。P’ニューとの仕事も初めてだし、前作とはスタッフも違うし。過度に自分を追い詰めすぎてしまい、現場で泣いてしまったんです。その時にP’ニューが「大丈夫、大丈夫、大丈夫だよ」と、ずっとそばにいて励ましてくれて……。あの日をきっかけに、P’ニューととても親しくなり、信頼できる大好きな監督になりました。
フォース:あー、思い出した! 10テイク撮った日だね。撮影初日、僕が演じたボスがソファで寝ているところにシェーが来て、ボスの頬にチュッとキスをする場面です。ファーストカットでしたし、ブックが緊張しているのは分かっていたので、P’ニューに「このシーン、僕はずっと眠れてラッキーだから、10テイクくらいお願いします」と冗談のつもりで言ったんです。そうしたら本当に10テイク撮ることになった(笑)。監督は「うーん、違う」、「これも違うね」と、どこがどう違うのかわからないけれど、とにかく「違う」と言うし(笑)、そのうちブックもリラックスして楽しみ始めて、チュッとする毎に「(唇を吸う音を立てながら)んあー!」とか「んふー!」とか「あふー!」とか言うんだもの。大変でしたよ。あんなにナーバスだったのに、すっかり楽しんで。
――ハハハ(一同爆笑)。
フォース:それがもう面白くって。(しばらく真似をする)。最後のほうは頬が腫れちゃうくらい真っ赤になりました(笑)。あのシーンでブックは完全にシェーを掴んだように思います。
ブック:10テイクだった? 20テイクくらい撮ったかも。アハハ!
ブック・カシデット
――貴重な撮影初日のお話を、ありがとうございます。それぞれ、好きなシーンもぜひ教えてください。
ブック:ボスを後ろに乗せてバイクで爆走するシーンです! 犬に追いかけられながら走る撮影は本当に楽しかったです。
フォース:(ブックに向かって)俺は怖かったんだよ(笑)! 撮影前にP’ニューがブックに「バイクの運転したことある?」と尋ねたら、ブックが「運転したことはあるけれど、上手くないですよ、全く上手くない」と答えたんですよ! 自信満々に! そんなの聞いちゃったら、心の中は「オーマイガー! 」です。冷静に演じていましたが、心の中は震えまくっていました(笑)。
ブック:でも楽しかったでしょう?
フォース:確かに楽しかったけど、怖い思い出だよ(笑)! 僕が好きなのは、ボスの初登場シーンです。スーツをビシッと着て、香水をこう(香水を振る仕草)かけるところです。「俺、ハリウッド俳優みたいじゃん」と思いながら、シュッシュしていました。
――本作では一週間、俳優たちが共同生活する番組『SAFE HOUSE season2』で一緒だったGMMTV所属俳優のマイク(・チンラット)やドレーク(・サッタブット)、『Enchanté』でも共演したフルーク(・プーシット)とタッグを組みました。現場はどんな雰囲気だったのですか?
ブック:現場はとても楽しかった。うるさいくらいかな(笑)。ああ、会いたくなっちゃうな。普段から皆と仲が良いし、全部が全部楽しかったです。彼らとのシーンはとにかくずっと笑っていました。ドレークとはシリアスなシーンばかりだったけれど、現場では一緒になって騒いでいました。今でも『(日本語で)ボスベブ』の撮影現場に行きたいと思っています。それくらい彼らが恋しいです。
無意識に同じポーズをとるフォース、ブック
――画面からも仲の良さが伝わってきました。
フォース・ブック:(日本語で)ありがとうございます。『ボスベブ』、大好きです(笑)。
――日本語がどんどん出てきますね(笑)。
ブック:いらっしゃいませ! 乾杯!
ブック:(フォースに向かって)かわいい?
フォース:カッコ良い(笑)!
フォース・ブック:最高、サイッコー!
ブック:ドキドキ、ド、ドンキ?
フォース:ドンキじゃない(笑)! ドキドキ!
ブック : そうか(笑)、ドキドキする、ね。覚えました(笑)。
フォース・ジーラチャポン
――ハハハ(一同爆笑)。お二人の息がピッタリで、漫才を聞いているようです。もっと聞いていたいけれど、次回作『Only Friends』の意気込みも、ぜひ、お聞かせください。
フォース:(日本語で)オイシイです(笑)。トップ(フォースの役名)をぜひ応援してください。可愛がってくださいね(笑)。
ブック:もしかしたらティッシュを用意しないといけないかも。ちょっと泣けるかもしれません。それくらいこのドラマは熱いです。挑戦したことがない役だし、飽きさせませんよ。ネタバレはこれくらいにするので、放送を楽しみに待っていてください(笑)。
フォース:P’ジョジョ(ジョジョ・チカコーン監督)と初めて一緒に仕事をさせてもらったのですが、脚本を読んだときに、「やりたい! 」と強く思いました。それくらい面白かった。もう半分くらい撮影しました。8月12日(土)から放送中です。楽しみにしていてください。
――間もなくですね。楽しみにしています! さて、今回の来日中に、時間があったらどこか行きたいところはありますか? もしあれば教えてください。
ブック:『君の名は』の聖地巡礼がしたいです! 調べたら、東京や長野にあるみたいで。映画のラストシーンで出てくる階段、そこに行きたい。もし今回行かれなくても、次にプライベートで来た時に、必ず行ってみます。
フォース:僕は大阪にある「居酒屋とよ」に行ってみたいです。Netflixのドキュメンタリー番組『ストリート・グルメを求めて』を見た時に知ったお店なのですが、店主が素手で魚を炙り、寿司も握る、まさにゴッドハンドの持ち主で。営業時間が短いみたいだけれど、ぜひ行ってみたいです。
ブック:火を手で? ほんとに? 燃えるじゃない。
フォース:それが全然熱くなさそうで、マジックみたいだったよ。あとは、ストリートフードが食べたいです。
フォース、ブック
――ありがとうございました。楽しいお話をたくさん聞かせていただきました。最後になりますが、日本のファンの皆さんに一言お願いできますか?
ブック:僕たちにとって初めての海外ファンミーティングを日本で開催出来て本当に幸せです。日本人のファンの皆さんがSNSに投稿してくれるたびに見ていました。応援してくれてありがとうございます。これからもよろしくお願いします。
フォース:皆さんに会いたくて、僕たちは日本に来ました。とても幸せだし、皆さんにも幸せになってほしいです。一緒に幸せになりましょう!
来日直後だというのに疲れを一切見せず、明るくインタビューに答えてくれたフォース&ブック。眠気覚ましのコーヒーをフーフー冷ますフォースに、「そんなもの、一気に飲んじゃえよ! 」と、コップを奪った途端「アチっ! 」と慌てふためくブック。話せば話すほど彼らのペースに飲まれていき、気づけばスタッフ一同大爆笑。インタビュー撮影中も、「イケてる」、「カッコ良い」と覚えたての日本語で茶々を入れあう二人の姿に、彼らの愛される理由がすべて詰まっているように見えた。快進撃を続けるフォース&ブックから、ますます目が離せない。
●初めての日本のファンに「会いに来たよ!」
会場の様子
続けて 『Force Book 1st Fan Meeting in Japan』の様子もお届け。夏本番を迎えた横浜のこの日の気温は36度。立っているだけで汗が噴き出す猛暑日であったが、会場前はパラダイス。冷房の効いた快適な空間には、ファン有志によるフォトセッションコーナーが用意されており、写真を眺め、涼を取り、ファン同士が交流しあっていた。ふらりと訪れた人がフォース&ブックの写真を見、「素敵ねえ」とつぶやく。まさにパラダイス。
会場に足を踏み入れ、ふと場内を見渡すと、女性ファンはもちろん、男性ファンも多く、各々はやる気持ちを抑えながらフォース&ブックの登場を待ちわびていた。開演時間を10分ほど過ぎた頃、場内の照明がゆっくりと落ちた。期待に高鳴るファンの歓声と共に『A Boss and a Babe』の主題歌「My Luck」のイントロが流れ、素肌に黒いスーツを纏ったフォースとブックが登場。沸き起こる歓声に笑顔で手を振り、オレンジと赤のサイリウムに染まる会場を見渡しながら、肩を抱き合い、嬉しそうに歌い上げた。
曲が終わると、司会進行を務める島津見に誘われ、会場中央の椅子に腰をかける二人。「日本でファンミーティングが開催できたことが何より嬉しい。日本の文化、人、街並みがとにかく好き。映画『侍』も好きです」とファンに手を振りながら話すフォース。続いてブックも「僕たちのファンがこんなにいるなんて本当に嬉しいです。日本のみんな、ナーラック(タイ語で「かわいい」という意味)。ああ「ほんやくこんにゃく」があればいいのに。みんなと通訳なしで直接話がしたい!」と語る。本イベントは全編撮影OKのため、彼らが動くたびに一眼レフのシャッター音やスマホ連写の音が広い会場に響き渡る。その音に反応し、ファンに笑顔で手を振る二人。ファン同様、彼ら自身もこの日を楽しみにしていたことが伝わってくる。
幼少時のそれぞれの印象を尋ねられると、フォースはマジマジとブックを見つめ「お金持ちの家の子という感じでした。お餅みたいにプクプクしていた」と答える。一方、ブックは「フォースはいたずらっ子だった。人をからかうことが大好きで。今も昔もそれは全く変わらない」と答えた。
ブックの答えは「ABDC」、対する問題の写真は5枚……
続いてゲームセッション。16年の付き合いとなる幼馴染の二人に用意されたゲームは「タイムラインパズル」。スクリーンに映るそれぞれの写真を古い順に並び変えるというもの。罰ゲームも用意されていると聞き、俄然張り切る解答者・フォース。スクリーンに映る幼少時のブックの写真を見ながら、スラスラとボードに順番を書いていく。「なんで僕より早く書けるの? 」と慌てるブックに一同爆笑。2問目は、フォースのインスタグラム写真5枚の並べ替え。ブックが自信満々に答えるも、まさかの不正解。「ちょっと! フォースが間違えているでしょ!?」、「俺は間違えてないよ」、「いや、間違えてる!」と口論が勃発! 配信番組でよく見る光景が目の前で繰り広げられたことに、会場は大興奮。フォースが「間違えてないですよ、ね? 」とブックを諭し、拍手喝采。3問目は、ジムに通うフォースの写真の並べ替え!
どれも似たような写真ばかりの難問に会場は大爆笑。フォースも大笑いしながら「これはブックにちょっと時間あげて」と自ら運営に提案。必死に答えを考えるブックだが、見事、全問不正解。「何一つ合ってないじゃん」と笑いが止まらないフォースであった。最後の問題はブックの寝顔写真の並べ替え。更なる難問に会場の笑いも止まらない。「あー、笑いすぎた」と当人たちも大はしゃぎ。「タイムラインパズル」は、大盛況のうちに幕を閉じた。
熱気冷めやらぬ中、次に披露された曲は、ナノン・コーラパットの「Just Friend?」。笑いで包まれていた会場に、彼らの美しい歌声が響いた。
素晴らしい歌のあとはフリートーク。司会の島津から、覚えている日本語を聞かれ、フォースが「こんにちは、ありがとう」と言うと、ブックも負けじと「ありがとうございます」と答える。ブックが「可愛い」と言えば、フォースが「愛してる。大好き」と答え、「ですね。です」とブックが言えば、「あー、です、です」とフォースが答える。息ピッタリな二人のやり取りに会場も大爆笑。司会の島津も思わず「見ていて尊い」と声を漏らす。その後、二人揃って大好きな動物の話に。「猫と柴犬が好き」と語るブック。フォースは「僕は猫を4匹、犬を1匹飼っています。猫の名前はパオフェイ、タイガー、パンパン……。最後の名前、わかるよね?」と、ブックにいきなりの無茶ぶり。「わかるよ、パオフェイに……パオフェイに……」と言ったきり、答えられない。「正解はガーフィールドでした」と告げられ悔しがるブック。会場は笑いの渦に包まれた。
続いてゲームセッション「相性ゲーム」。二人の間に〇×が描かれたボードを挟みいれ、問題が出題される毎に〇か×のボード前に移動し解答する、というもの。ボード越しでも近い距離なのに、二人の答えが揃うと更に顔が近づいてしまうのだ。早起きが得意か、運動が好きか、という質問に続き、3問目は「海より山が好き」というお題。ここでフォースが奇襲に出る。山が好きな彼がまさかの海を選択し、ブックに寄せてきたのだ。この奇襲に誰よりも驚いたブックは、目の前に迫るフォースの顔に向かって「違うでしょ! お前が好きなのは山だろ、間違えたんだろ? 」と大騒ぎ。「スキューバーダイビングの資格を取りたいなと思って」と、しれっと答えるフォースに、会場も大いに沸いた。4問目は「甘いものが好き」。ここはブックの逆襲。甘いもの好きな彼が、フォースに寄せるため×を選択。「最近甘いもの好きじゃない。運動したくて」とまで言ってのけたが、フォースから「日本でめちゃめちゃお菓子食べてたじゃん」と突っ込まれ、「だってしょうがないじゃん。日本のお菓子美味しいんだもん」と子供のように答えるのだった。
次のお題「旅行より家でゴロゴロしたい」を聞いた途端、会場に向かってニヤリとほくそ笑むフォース。無言の予告に会場が沸く中、自らの答え「×」を選択する素直なブック。同じく×を選択中のフォースは唇を突き出し、正解を待っている。ボードがなくなり目の前にフォースが現れた途端、「お前、違うだろー!」とブック大絶叫。フォースも思わず爆笑。「そうですね。違います。家は寝るだけのもの、ごめんなさい」と懺悔。その後も数問続き、最後のお題は、「日本が好き」。もちろん二人とも〇を選択し、ブックは目つぶしのポーズでフォースを待ち受ける。全ゲームが終了し、結果発表。フォース18ポイント、ブック13ポイントでフォースの圧勝であった。
罰ゲームは、勝者フォースが、敗者ブックの顔中にトマトシールを好きなだけ貼り、その姿をファンが撮影する、というもの。「ああ、これはもう絶対に調子に乗ってくるわ……」とつぶやく、あきらめ顔のブック。そのとおり、ノリノリでブックの顔にトマトシールを貼るフォースと、無抵抗で貼られ続けるブックに、会場から「かわいい!」と声が飛び交う。トマトシールでいっぱいになったブックを引き連れ、ステージを所狭しと練り歩くフォースに、突如シールを貼り始めるブック。「あれ? 僕、負けてたっけ?」とおどけて見せるフォースであった。
3曲目は、ジェミナイ・ノラウィットの「Hook」。ファンサービスをしながら丁寧に歌い上げる二人。後方スクリーンに、彼らの代表作『A Boss and a Babe』内、EP2のキスシーンが映し出されると、悲鳴にも似た絶叫が会場を包んだ。
最後のフリートークは、ファンからの質問コーナー。「五人のブックと5歳のブック、どちらが良い?」という質問に即座に「5歳のブック」と解答するフォースは、「五人もブックがいたら面倒を見切れない」とお気持ちを表明。逆にブックは「僕も5歳のフォースを選ぶ。フォースが五人もいてはいけないよ。今、ここにいるフォースが大切だから」と解答し、会場から拍手が沸き起こった。「自分だけが知っているお互いの一面は?」という質問には「普段はかわいいけど、最近はカッコ良い」(フォース)、「面倒見が良いところ。今回、僕は初めて日本に来たので、どこか行きたいと思っていたら、眠いはずのフォースが30分だけ観光に連れて行ってくれた」(ブック)。「おすすめのタイ料理を教えて」という質問には「チキンガパオライス」(フォース)、「ナマズの素揚げとカオニャオマムアン」(ブック)と答えた。
次の質問「『ボスベブ』の再現シーンが見たい」に、会場からどよめきが。再現シーンに選ばれたのは先ほど会場に流れたEP2のキスシーン! 会場も大沸騰。照れるフォースを後目に「位置が悪い」、「お前、こっちだろ」とテキパキ動くブック。「今、ボスを降臨させてるから待って」と天を仰ぐフォースを見て、ブックが大爆笑しながら「ねえ、セリフ忘れてるんでしょ」と突っ込む。「あ、待って。降りてきた」と再現するも、笑ってしまい、うまく出来ない。何度目かのテイクでやっとセリフを言い終えた次の瞬間、フォースがブックの頬にキスをしたのだ! 絶叫とシャッター音が響き渡る場内。まさにカオス! 一番驚いていたのは何を隠そうブック自身だ。「ビックリするじゃん!」と大騒ぎ。そんなブックを見て大笑いするフォース。「しんどい……、ふぉすぶ、しんどい……」とシャッターを切りながらつぶやくファンの声に、頷くことしかできなかった。
「おすすめのタイ語を教えて」という質問に「ジュンマーク(超すごい。超イケてる)」(フォース)、「フィンマーク(超好き)」(ブック)と答え、ファンから「1,2,3」の掛け声を教えてもらった二人の音頭によるコールアンドレスポンス。ファンの発音が素晴らしいと喜ぶ二人は「SNSに投稿してね」と茶目っ気たっぷりにアピール。「次回作『Only Friends』の見どころは?」と言う質問にすぐさま「フィンマーク」と答えるブック。続いてフォースも「ジュンマーク」と答えてみせた。最後の質問は「ドラマの撮影現場でハグしている二人を見てしまった」というもの。「上手く役に入り込めない時にお互いでエネルギーを送りあうんです」と、フォースが真摯に答え、「フィンマーク」とブックが締めた。
ファン有志によるサプライズ動画がスクリーンに映し出される。肩を抱き合い真剣に動画を見た二人は「ナーラック。コープクンマーククラップ(素敵。ありがとうございます)」と言い、会場のファンと一緒に写真撮影を行った。「今日は本当に楽しかったし、嬉しかった。こんな僕らをサポートしてくれてありがとう」と、言葉を紡ぐフォース。彼の言葉に呼応するかのようにブックは「本当にありがとうございます。こんなに大勢の人に僕らが愛されるなんて思ってもみませんでした。僕らを待っていてくれてすごく嬉しかった。みんながいつも僕らに笑顔をくれることに感謝しています。ああ! 時間が経つのが早すぎる。次は観光しにくるからね。約束します。見かけたら声をかけてね」と話す。会場からも「ありがとう」、「ジュンマーク」と声が溢れる。
「歌える人は一緒に歌ってね」というフォースの掛け声とともに、最後の曲「Second Thoughts」が流れると会場から大歓声が。ファンの歌声とサイリウムの光に包まれ、ステージを降り、客席を回るフォースとブック。ファンとハイタッチをし、一人一人の顔を見つめながら伸びやかに歌い上げた。最後は二人揃って「ありがとう! またね、さようなら!」と日本語で挨拶し、ファンミーティングは大盛況のうちに幕を閉じた。多幸感に満ち溢れた素晴らしい90分だった。フォース&ブック、ジュンマーク! フィンマーク!
取材・文=渋谷のりこ 写真撮影=大橋祐希(インタビュー)、オフィシャル提供(イベント)