お盆が近いこの時季、意識するのが身内の不幸です。もし、大切な人や身内が亡くなったとき、そつなく対応できる自信はありますか? 人が亡くなると、悲しみに明け暮れる暇もなく、死後の手続きや弔いの準備など「すべきこと」がたくさんあります。いざというときに慌てないためにも、「人が亡くなった直後、なにをしなければいけないのか」を、この機会に一度確認してみませんか。

家族が亡くなったとき慌てないために知っておきたいこと

相続実務士の曽根恵子氏が監修する『【図解】身内が亡くなった後の手続きがすべてわかる本 2024年』(扶桑社刊)より紹介します。

●病院で亡くなった場合の対応

人が亡くなった場合、病院で亡くなったか、そうでないかによって、最初に「すべきこと」が変わってきます。まずは、病院で亡くなった場合について説明します。

死後、遺体は病院の霊安室に運ばれます。しかし、いつまでも病院に置いておくわけにはいきません。たいていは自宅に搬送することになりますが、自宅に運び込めない場合は、葬儀会社や民営の施設などを確保することになります。このあたりの情報は病院側が持っていることもあるので、まずは病院に相談するといいでしょう。

 

遺体を搬送する際には、病院が紹介してくれる葬儀会社に頼むのが一般的です。自家用車で運ぶこともできますが、ご遺体の搬送には慎重を期さなければなりませんし、気持ちが落ち着いていない状態での運転は事故のリスクも高まります。また、搬送途中に警察に呼び止められると、面倒な説明をしなければならないなど厄介です。死亡診断書を持っていなかったら非常に面倒なことに巻き込まれます。ここは搬送に慣れた専門家に頼むのが無難です。

遺体を安置するときも注意点があります。とくに夏場は冷房の調節が必須になります。また、枕飾りを施したいという人もいるでしょう。これらについても、インターネットで調べることができますが、葬儀会社が多くのノウハウをもっています。

●病院以外で亡くなった場合の対応

 

自宅など、病院以外で亡くなった場合は、病院で亡くなったときと対応が変わってきます。24時間以内にかかりつけ医にかかっている場合は、その医師に連絡します。医師が事件性なしと判断すれば、死亡診断書を発行してくれます。

また、24時間以内にかかりつけ医にかかっていない場合は、警察への連絡が必須になります。警察が到着するまでは、ご遺体はもちろん、周りのものも動かしてはいけません。大切な身内をそのままにしておくのは心苦しいかもしれませんが、我慢してください。

警察が到着したら、警察の指示に従ってください。事情聴取が行われますが、あわてずに警察の質問に答えていきましょう。

ここからあとの準備は、病院で亡くなっても、病院以外で亡くなっても同じです。

●葬儀と火葬の準備をする

 

葬儀や火葬の準備もしなければなりません。葬儀の内容については、故人の意向もあるかもしれません。遺言書やエンディングノートがあるかどうかを調べましょう。エンディングノートは、パソコンやスマホに保存されている可能性もあるので、忘れずに調べてください。

葬儀会社も選ばなければなりませんが、搬送を依頼した葬儀会社に頼まなければならないということはありません。ほかにすべきこともあるし、気持ちも混乱しているため、搬送を頼んだ会社に頼むという流れに傾きがちですが、料金や実績、信頼度などを比較検討して、慎重に選びましょう。

火葬するためには、火葬許可証が必要になります。そのためには、役所へ死亡届を提出しなければなりません。死亡届は、死亡診断書と一体になっていますので、病院で受け取ることになります。死亡診断書は主治医が記入してくれますが、各種手続きに必要になるので、10枚ほどコピーをとっておくことをおすすめします。

なお、死亡届の提出と火葬許可証の取得は葬儀会社が代行してくれることが一般的です。

菩提寺がある場合は、菩提寺にも連絡しておきます。葬儀や火葬の際の読経を頼んだり、火葬後の埋葬などについて相談しなければならないからです。菩提寺の住職は、こういったことには慣れているので、先方主導で話を進めていけばいいでしょう。

●葬儀の概要と日程を決める

 

葬儀会社を決めたら、葬儀の概要を決めていきます。通夜を行うのか、告別式のみにするのか、告別式は一般葬にするのか家族葬にするのかなど、故人の遺志も踏まえて決めていきます。

葬儀の日程ですが、親しい人や遠方の親族などが参列しやすい日を考慮しますが、なにより優先されるのが火葬場の空き状況です。また、葬儀や火葬は葬儀会社の協力なくして行なえないため、具体的な日程は葬儀会社の都合に左右されます。

 

ここまでが、人が亡くなった直後に「すべきこと」です。相続実務士の曽根恵子氏が監修する『【図解】身内が亡くなった後の手続きがすべてわかる本 2024年』では、死亡後の手続きなどについて詳しく解説しています。大切な身内が亡くなり、気持ちの整理がつかないかもしれませんが、落ち着いて冷静に対応することが何より重要です。