2023年3月21日フランス・ブロワ市で結婚された、床バレエトレーナーの竹田純さんとインテリアデザイナーのクリスさん。先月には『新婚さんいらっしゃい!』国内収録初となる同性婚カップルとして出演を果たし、2人の幸せな姿が話題になりました。

ジュンとクリスインタビュー「結婚したことでより“家族”だと感じた」

そこで今回は「ジュンとクリス」をクローズアップ。今後ますますの活躍が期待される2人のフランス暮らしや、結婚生活についてたっぷりお話を伺いました!

【写真】インタビュー中も仲のよい2人

●環境に合わせて自分からポジティブ思考に変えていった

――4月に発売した、ジュンさん著書の『マネしたらやせた! 30秒だけ床バレエ』には、“上品やせ”が叶うエクササイズが満載ですが、ほかにも生き方やふるまいなど、メンタル面に関しても書かれています。ジュンさんは幼少期からポジティブな方でしたか?

竹田純さん(以下、ジュン):じつは違うんですよね…。今でこそいやなことは“寝たら忘れる”みたいな性格ですが、15歳くらいまでは「なにがしたい」といった欲はとくになくて、いろいろなことを諦めていました。

その考え方が変わったのは、バレエを学ぶためにフランスに渡ったとき。それこそ、ポジティブな方向に変えていかないとやっていけないような環境の中にいたので、「寝たら忘れちゃう」っていう習慣に自分からしました。同時に、「逆にこういう世界があるんだ」って知ったことで、「人生って楽しいんだ!」ってことにも気づいたんです。

――確かに単身で渡仏されて、ネガティブな気持ちのままだとより大変なことになりそうですよね…。そのあと、ジュンさんは1度日本に帰国されて、再び2019年にフランスに移住されましたが、きっかけみたいなものはあるのでしょうか?

ジュン:最初に住んだときの経験って自分の中ですごく吸収されているんですよね。ヘミングウェイも小説のなかで書かれていますが、パリジャンも「パリに1度住んだ人は、パリに戻ってくる人が多い」と言っていて。だから27歳のときに日本に帰国したあとも、頭の片隅に「自分もいつかフランスに戻りたいと思うんだろうな…」というのはあったんですよ。

そうしたら、時間が経つにつれてやっぱり、だんだんとフランスに行きたくなってきて(笑)。クリスとは日本で出会っておつき合いをしていたのですが、ある日「フランスに転勤になる」と聞いて、その場で「私も行きます!!」って言いましたね。

――ジュンさんは、移住に迷いはありませんでした?

ジュン:まったくなかったです。ちょうどクリスの転勤の1年前くらいに東京に床バレエのスタジオをオープンして経営に携わってましたが、即答できるくらい渡仏に迷いはありませんでした。

●フランスと日本で違うと感じた文化

――フランスと日本では文化など違うことも多いかと思いますが、驚いたことや記憶に残っていることはありますか?

ジュン:今は普通になりましたけど、最初にびっくりしたのは「自由」すぎることですね。表現もそうだし、体も言葉もそう。ルールがないというか…。

クリスさん(以下、クリス):たしかにルールはそこまでなくて、なんでもオープン。隣に住んでいる人でも気にかけるし、仲よくする。会ったらお互いにコミュニケーションもとったりしますね。

ジュン:あと、フランスではなにごとも2か月待ちは普通かな…(笑)。なんでもスムーズにいかないんですよ。メールはつながらないから、意外かもしれませんが今でも電話社会。

また、日本でなにかお願いされたときって、肯定の「Yes」から始まるケースが多いと思いますが、フランスでは否定の「No」からはじまります。ルールはその人自身が決めるから、関係性がないと難しい。ただ、打ち解ければスムーズに進むので、「つながり」みたいなものが大切なんです。

●諦めていた夢がかなうなら、自分も夢を見たい!

――3月にフランスで籍を入れられましたが、2人の「結婚」にいたるまでのストーリーを教えていただけますでしょうか。

ジュン:もともと結婚に対してすごく憧れはあったものの、「できないよね…」と諦めていました。でも2013年にフランスで同性婚が認められたことで、「自分も夢を見ていいんだ!」、ってなったらやっぱり実現したいですよね。だから、私がクリスにビヨンセの『Single Ladies』という曲をずっと歌っていたんです(笑)。

クリス:毎日毎日ね(笑)。

――ジュンさんは、“結婚したい”という気持ちを込められて歌われてましたか?

ジュン:もちろんです!

クリス:僕たちは2016年に出会いましたけど、そこから半年という早さでプロポーズしました(笑)。

――プロポーズの言葉を伺ってもよろしいでしょうか?

ジュン:指輪と一緒に「Will you marry me?」って。もう、即答で「Yes!」って答えました(笑)。プロポーズはされたものの、そのときは日本だったのですぐには結婚とはいきませんでしたが、指輪とプロポーズの言葉があるだけでも結ばれた感じがして、安心したし、うれしかった。

ただ、「いつかは結婚したい」と思いはありましたよね。フランスに転勤になった際も、別に結婚のために行ったわけではないからすぐにとは思っていませんでしたが、プロポーズから7年も待って…今年の3月21日に結婚しました(笑)。

――そこから結婚に踏み切るきっかけみたいなものはあったのでしょうか?

ジュン:2021年にグレイハウンドという犬種の“ビジョン”という犬を引き取ったのが大きな転機で、2人でビジョンと生活していくうちにもっともっとファミリーのようになっていきました。だから、そこから自然な流れで結婚しようとなって…結婚はビジョンのおかげでもあります。

●結婚したことで、より「家族」になった

――結婚してみて、なにか生活は変わりましたか?

ジュン:結婚して本当によかったですね。つき合った年に婚約指輪をもらって、ずっと結婚しているような感覚ではいましたが、実際にしてみると家族になったというか、ソウルメイトでベストフレンド、“言葉がなくても分かる”ような感じでリラックスします。

クリス:ずっとカップルだったけど、結婚して「家族」って感じはすごくする。だから結婚の前とあとでは結構違うかも。

ジュン:結婚してなにかがガラっと変わったというよりは、自然な感じでその生活になっていった感じです。ただ、クリスを紹介するときの言葉が「My husband」とか言えることが、自分の心に響く。結婚式のときはあまり実感がありませんでしたが、そのひと言を言うだけで、「結婚したんだ!」って自覚も出ました。

クリス:僕はそこが大きいかな。結婚する前は「ジュンくん」って紹介していたけど、今は「My husband JUN」って言えます。心の中でプライドをもって、そう言っています。

――最後にお伺いしたいのですが、一緒に暮らしているとパートナーに不満がたまってしまう場合もあるかと思います。そのときに、2人のように結婚生活を楽しく過ごすためにはなにに気をつければいいと思いますか?

ジュン:これは私の意見だけど、多分パートナーのいいポイントを見つけないといけない。そういういいところを見つけて感謝を伝えていくと、パートナーも心が満たされて、対応が変わってくると思います。「give&take」という言葉がありますが、takeから入るとgiveできません…。だから先に相手にgiveをしないといけないと思うんです。

最初は「なんでやってくれないの?」みたいな感覚があってつらいかもしれないけど、結婚したからいいこともあるはず。そこから入ると自分もラクになるし、いいことが積み重なっていくと思いますよ。

そう満面の笑みで答えてくれたジュンさんとクリスさん。これまで数々の困難を乗り越えて、幸せのかたちを築いていった2人の優しい人柄は、見ている人の心を温かい気持ちにしてくれ、だれかを好きになることの大切さや尊さを教えてくれました。ぜひ、今後の2人の活動に注目してみてくださいね。