塩分を過剰に摂取したらどうする?

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「塩分が多く含まれる食べ物を一度に多く食べてしまった」「ラーメンのスープを飲み干した」「食べ物にしょうゆをたくさん付けた」など、塩分を過剰に摂取してしまうことがあります。塩分を多く摂取すると喉が渇くだけでなく、病気のリスクも指摘されています。

 塩分を過剰に摂取してしまった場合、何をすべきなのでしょうか。なかざわ腎泌尿器科クリニック(石川県野々市市)の中澤佑介(なかざわ・ゆうすけ)院長に聞きました。

カリウムが含まれる食べ物を摂取すること

Q.1日の適切な食塩の摂取量について、教えてください。

中澤さん「日本高血圧学会は、1日6グラム未満の摂取を推奨しています」

Q.塩分を過剰に摂取した場合、どのようなリスクがあるのでしょうか。

中澤さん「高血圧症のリスクが高まるほか、まれに血液中のナトリウム濃度が高い状態となる『高ナトリウム血症』にかかることがあります。高血圧症が原因で全身の血管がダメージを受け、心臓や腎臓、脳などにさまざまな合併症を引き起こすので注意が必要です。

そもそも、腎臓でつくられた原尿は糸球体でろ過された後、99%が体内に再吸収され、残りの1%が老廃物や水分とともに尿として排出されます。食塩を多く摂取すればするほど、食塩に含まれるナトリウムが体内に再吸収されます。

ところで、高血圧症には、塩分の影響を受けやすい『食塩感受性高血圧』と、塩分の影響を受けにくい『食塩非感受性高血圧』があると提唱されるようになり、それぞれ要因は異なります。食塩感受性高血圧は、塩分に含まれるナトリウムの再吸収、食塩非感受性高血圧は、血管の収縮が要因だといわれています。

いずれの高血圧症の患者も、血圧が正常な人よりも食塩に対する感受性が高いため、減塩に取り組むことで特定の降圧薬の効果が増強されます。そのため、治療において、減塩に取り組む必要があると考えられています」

Q.塩分を過剰に摂取してしまった場合、どのようなことをすべきなのでしょうか。

中澤さん「塩分を取り過ぎた場合は、カリウムを含む野菜や果物の摂取がお勧めです。カリウムには、食塩に含まれるナトリウムを体外に排出させる働きがあり、取り過ぎた塩分を調節するのに役立ちます。ホウレンソウやアボカド、バナナ、干しブドウなどがお勧めです。また、食事の際にできるだけ塩分の摂取量を減らすように努めてください」

Q.塩分を過剰に摂取してしまったときにやってはいけないことはありますか。

中澤さん「医師の指示を受けているとは思いますが、腎不全や心不全の人は、水分が体内にたまってしまうため、水を大量に飲んではいけません。ただし、脱水が原因で高ナトリウム血症になることがあるので、腎不全や心不全などの持病により水分の摂取量が制限されている人以外は、水を積極的に飲んだ方がよいでしょう」