東京工業大学学術国際情報センターは5月18日、新しいスーパーコンピューター「TSUBAME4.0」を2024年春の稼働に向け、構築を開始すると明らかにした。演算精度は「富岳」に次ぐ2位相当を見込むとしており、科学技術計算・ビッグデータ解析・AI用途で役立てていくとしている。

東京工業大学、NVIDIA Hopperベースの新スーパーコンピューター「TSUBAME4.0」 画像は完成予想図

これまでTSUBAME1.2ではTesla、TSUBAME2.0ではFermi、TSUBAME2.5ではKepler、TSUBAME3.0ではPascalが代々採用されており、今回Hopperベースの新GPUが採用されることになった形。政府調達はHPE(日本ヒューレット・パッカード)が落札しており、米NVIDIAも協力して稼働に向けた構築が進んでいくという。

主要な構成として、計算ノード部にはHPE Cray XD6500シリーズを240台採用。計算ノードごとに第4世代AMD EPYCプロセッサを2基、NVIDIA H100 TensorコアGPUを4基、768GiBの記憶域、NVIDIA Quantum-2 InfiniBandネットワークインターフェイスを4ポート搭載する。ストレージはCray ClusterStor E1000で構成しており、44.2PB分のHDD領域と327TB分のSSD領域に接続し、各計算ノードごとに1.92TBのNVMeストレージに接続。ノードはInfiniBandによるネットワークで相互に接続され、SINET6を経由して東工大すずかけ台キャンパスから直接インターネットに接続される。

倍精度理論演算性能はTSUBAME3.0の約5.5倍となる66.8Pflops、AI向け性能は同約20倍となる952Pflopsを見込んでおり、x84_64ベースのCPUとCUDA対応GPUを継承して今までのプログラム資産をそのまま流用できる。

情報理工学院 情報工学系に所属する秋山泰教授は発表に寄せて、「我々の研究グループでは、次世代医薬として期待が集まる環状ペプチド創薬の研究にTSUBAMEを活用してきました。『従来の数百倍の計算をすれば現象を再現できるのではないか?』『数百例の網羅的計算を示せば予測能力を定量的に証明できるのではないか?』 研究者も悩むそのような世界初だらけの大胆な挑戦にも、常に相棒になってくれたのがTSUBAMEです。大幅に高速化されるTSUBAME4.0では、さらに大規模な分子シミュレーションと、そこから予測モデルを生み出す深層学習技術の融合により、知的な創薬支援が実現できると期待しています」と述べている。