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イーロン・マスク氏が、「Twitterでテスラに関する投稿をツイートする時に審査を受けること」を義務づけるアメリカ証券取引委員会(SEC)との合意を不服として行った異議申し立てが、裁判所により却下されました。

Elon Musk Loses Appeal of ‘Twitter Sitter’ Dispute With SEC Over Tesla Posts - Bloomberg

https://www.bloomberg.com/news/articles/2023-05-15/musk-loses-appeal-of-twitter-sitter-dispute-with-sec



Elon Musk still needs 'Twitter sitter,' judges rule

https://www.cnbc.com/2023/05/15/elon-musk-still-needs-twitter-sitter-judge-rules.html



マスク氏は2018年に、テスラの株式の非公開化するための「資金を確保した」とツイートして同社の株価を釣り上げたとして、SECから詐欺容疑で訴えられました。その後マスク氏とSECは和解しましたが、これによりマスク氏はテスラに関するツイートをTwitterに投稿する際は、それをテスラの弁護士や幹部に審査させることを義務づけられることになりました。

テスラのイーロン・マスクが詐欺容疑で証券取引委員会に訴えられる - GIGAZINE



テスラに関するツイートを自由に投稿できない、いわゆる「Twitterシッター(Twitter sitter)」と呼ばれる合意要件を不服として、マスク氏は裁判所に異議申し立てを行いました。伝えられるところによると、合意ではテスラの情報や資料を含むマスク氏のツイートにはテスラの事前承認が必要で、その承認者には特定の上級幹部も指定されているとのこと。

マスク氏の弁護士であるアレックス・スピロ氏は、2月に公開した書簡の中で、「SECとの合意に関する条項はマスク氏の言論の自由と権利の侵害に当たり、違憲である」と述べています。

マスク氏側の主張に対し、ニューヨークにある連邦控訴裁判所は2023年5月15日に、2018年以降SECがマスク氏のツイートに行った調査はたった3件、つまり問題の発端となった「資金確保」ツイート、テスラの年間生産台数について虚偽を記載したツイート、そしてテスラ株の10%を売却することに言及したツイートのみだったことを指摘。「各ツイートが同意協定に違反している可能性は高い」として、SECの調査は妥当であり悪意あるものとは言えないとの認識を示しました。

その上で裁判官らは、(PDFファイル)判決文の中で「『SECが同意協定を利用して、憲法で保護されたマスク氏の言論に対して悪意のある嫌がらせ調査を行った』というマスク氏の主張を支持する証拠は見当たらない」と述べて、マスク氏の主張を退けました。



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Twitterでのマスク氏の言動は、これまでもたびたびSECや投資家たちをやきもきさせてきました。マスク氏は、問題の「資金確保」ツイートを巡って投資家から訴えられた2月の裁判で、「マスク氏に法的責任はない」との判決を勝ち取っています。また、ツイートで仮想通貨のドージコインの価格を乱高下させたことに関する訴訟でも、「詐欺行為を証明できない」として批判をかわそうとしています。

今回の判決について、マスク氏の弁護士のスピロ氏は「私たちはさらなる審査を求めて、政府による言論の制約という重要な問題について引き続き注意喚起していきます」と述べて、上訴する考えを示唆しました。