空港内の「飲食店」、価格が高い理由は? 出店するメリットは? 専門家が解説
旅行時に空港内の飲食店を利用したところ、繁華街の飲食店と比べて価格が高いと感じたことはないでしょうか。ネット上では、「空港内の飲食店は高い」といった内容の意見が多く上がっています。
なぜ空港内の飲食店は、価格を高く設定する傾向にあるのでしょうか。また、空港内で飲食店を経営するメリットはあるのでしょうか。飲食店専門経営コンサルタントの成田良爾さんに聞きました。
多くの“見込み客”が存在
Q.空港内にある飲食店の多くは、繁華街の店舗よりも価格を高く設定していますが、なぜでしょうか。空港内に出店するメリットも含めて、教えてください。
成田さん「空港内にある飲食店の多くは、繁華街にある一般的な飲食店よりも初期投資が多くかかるほか、地代(家賃や共益費など)や販促費などの経費が高く、健全に経営するためには一定の売り上げを立てなければなりません。損益分岐点をしっかり計算した上で、座席数や客席の1日当たりの回転数を考慮し、客単価を設定しています。
ただ、空港は多くの人が行き交う分、外国人観光客などによる利用が多く見込まれるので、空港内への出店は、利益を向上させるチャンスでもあります。また、空港内には、競合他社の店舗が少ないケースが多く、強気の価格設定をしても客の来店は十分に見込めます。そのため、飲食店は必然的に価格を高く設定する傾向にあるのです。
このほか、空港内に店があることで、企業イメージや認知度が上がるのも、空港内に出店するメリットといえます。
空港内の飲食店と同様、テーマパークや観光スポット、サービスエリアなどにある飲食店も、一定の来店客が見込める分、価格を高く設定する傾向にあるでしょう」
Q.では、チェーン店が空港に出店する場合、繁華街の店よりも価格を割高に設定しても問題ないのでしょうか。それとも、繁華街の店と同じ価格帯に設定した方がよいのでしょうか。
成田さん「チェーン店の場合は、他のグループ店との兼ね合いや店舗のブランディング効果の優先のほか、セントラルキッチン(飲食店やスーパー、学校など、複数の場所で提供される食品の調理を一手に引き受ける施設)の利用により、食材原価を抑えることが可能なことなどを理由に、仮に空港内の店舗が赤字だったとしても、そこまで価格を高く設定しない傾向にあります。最終的には企業ごとの経営判断になるでしょう」
Q.空港内では、どのような店を出店すると売り上げが見込める可能性があるのでしょうか。
成田さん「ターゲットの客層と客数の関係性が重要だと私は考えます。フライト前の利用を想定して、提供に時間がかからないメニューを提供できる業態や、外国人向けのメニューを提供できる業態など、客層を想定した出店は必須です。
また、個々の客席の広さのほか、厨房スペースと客席スペースの割合など、客数に影響を与える要素も十分な考慮が必要です。このターゲット客層と客数のバランスは業態により異なりますが、逆にバランスさえよければ、どんな業態でも売り上げは見込めるでしょう。
これは、テーマパークや観光スポット、サービスエリアなどにある飲食店にも当てはまります」